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剛田奇作の部屋


[157] コスモタニア(彼女の名前)
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

なんとなく買った新発売のブルーの豆電球は


彼女の部屋に、意外によく似合った


裸足の足をベッドの中で擦り合わせながら
見上げる青いランプ


深海を漂う、
一人ぼっちのクラゲみたいに頼りないブルー


狭い部屋を
ひそやかに浮かび上がらせる


開けっ放しのドアの向こう

開けっ放しのピアノ


貼りっ放しの古い映画のポスター

黒い紙面にブルーが反射して

何かを映し出そうとしているようだった


首の角度を変えると消えてしまう

ブルーの映像
透き通る残像

それは

グランドキャニオンみたいな崖にも

清らかな夜の入り江にも

静かに躍動するアクアリウムにも


見えた


お酒は、少しも飲めないけれど

碧いカクテルがここにあれば

どんなに素敵だろうかと

彼女は思った





2009/01/21 (Wed)

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