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黒夢の部屋


[114] 逃避
詩人:黒夢 [投票][編集]

涙を流すほど悔しい夜も。


空を真似た狭い天井に伸ばした手も。


君の頬を伝った涙も。


それを拭ったこの指も。


全てが過去に消えてゆくけれど。





僕等には生きていく上で背負うリスクがある。


それはきっと、忘れること。


どれほどに大切なものでも


僕等はいつかその存在を忘れてしまうだろう。


記憶の片隅にその残像を鮮やかに残して。





あの日の僕を形成していた強く脆い想いが


きっと今の僕を迷わせる。


誰かに焦がれること。


誰かを想うこと。


きっといつの日も僕は繰り返すだろう。






消えゆく過去は未来に


小さな鈍い痛みだけを預けて。







消えていく今。


それでも見えない明日。


刹那のこの想いを ただ 抱きしめていたい。

2005/05/18 (Wed)

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