詩人:黒夢 | [投票][編集] |
涙を流すほど悔しい夜も。
空を真似た狭い天井に伸ばした手も。
君の頬を伝った涙も。
それを拭ったこの指も。
全てが過去に消えてゆくけれど。
僕等には生きていく上で背負うリスクがある。
それはきっと、忘れること。
どれほどに大切なものでも
僕等はいつかその存在を忘れてしまうだろう。
記憶の片隅にその残像を鮮やかに残して。
あの日の僕を形成していた強く脆い想いが
きっと今の僕を迷わせる。
誰かに焦がれること。
誰かを想うこと。
きっといつの日も僕は繰り返すだろう。
消えゆく過去は未来に
小さな鈍い痛みだけを預けて。
消えていく今。
それでも見えない明日。
刹那のこの想いを ただ 抱きしめていたい。