詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
今ふるさとでは
夏の日射し浴びて
人々が歩き
挨拶を交わしてる
昔の仲間たちは
それぞれの町に帰り
なつかしい歌と
ざわめきを愛してる
晴れた午後には退屈なほうがいい
東向きの部屋で
ごろりと横になる
さあ思いきって
雄渾にペンをふるえ
空に手紙書こう
今ならば届くから
──────
──────
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・
石に刻んだみ仏は
いつも静かに笑ってる
時は無慈悲な鑢(やすり)です
知らず知らずに削ります
誰のせいでもないし
誰を恨むでもないけれど
人よ覚えていてほしい
こんな小さな祈りだけれど
──────
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・
風になるよりあなたは速く
みどりの風のなかに駆け出す
ラララ不思議な風景が僕の前に広がる
大きな樹木の下に立って
空に手紙を書いてるあなた
ラララ恋かもしれないね
恋ならいいのにね
美しい辰砂たち
だから
愛してる
だから
愛してる
あなただけが意味を持つのだ
だから
夢みてる
だから
夢みてる
あなただけに日々は微笑む
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・
甘やかな眠り つかの間の憩い
幼い頃まで 時間を戻そう
なお善き言葉を
疑いもせず
信じて笑った
私はどこに?
いまの私は罪人(つみびと)?
★★★★
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・
今も忘れない
爽やかな憧れ
僕の好きだった
伸びやかな光
友達のままで
違う町にいる
いつか会えるかな
晴れた朝の庭で
僕の記憶は
色褪せないよ
信じているよ
君は変わらないと
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・
恋の一つや二つなど
とるにたりないことだけど
世界はまだ暗く──君の愛撫を待っていた
夜明けの不思議な光が君の輪郭をなぞれば
歴史は武器となり──君の正義を押し付けた
肩に
髪に
腕に
胸に
ふりつもれよ微粉末
僕の敵は僕が倒す──安心して
君が守る君の世界
理想は現実の鏡
・
・
主題もなしに小説を
書いた人たちが増えすぎ
世界は甘くなり──君の殴打を待っている
8分19秒 光が旅するあいだに
遺伝の拡散(核酸)は──君の嘔吐をうながした
膝に
腰に
尻に
臍に
ふりかかれよ深層水
君の敵は神が殺す──むごたらしく
僕は阻む僕の世界
理想は現実の鏡
・
指に
爪に
眉に
舌に
ふりしきれよ真菌類
神の敵の名前は神──間違いなく
僕は妬む君の世界
理想は現実の鏡
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※太陽光が地球に届くまでが8分19秒です。
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夜が明ける 夜が明ける
さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい
話しなさい 話しなさい
今見てた夢をささやくように
涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに
・
・
悔やみなさい 悔やみなさい
死んだ人たちを
思い煩って
信じなさい 信じなさい
疑うことより やさしいはずよ
泣いた日もあるし
泣く日もくるし
それでもあなたは
止まれないから
死に至る病
何度もかかる
それでもあなたは
止まれないから
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いくつも
橋を過ぎ
小川は
町に出る
夢みてた人は──
今も夢のなか
かすむ笑顔のように
今も夢のなか
・
・
別れは
華やいで
小さな
家のそば
聞こえればいいね
さよならの声が
夢の流れはやがて
深い海になる
・
・
たくさん
人が死に
たくさん
川になる──
出会えたよろこび
なくしたしあわせ
すべてこの川のなか
すべて流れてる
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*この川の名は若菜川。河口は長崎市の茂木(もぎ)地区です。
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・
どこかに
私を望まない人がいるなら
すべての愛を(無)にする冷たい視線を浴びたい
どこかに
私を許さない人がいるなら
言葉の刃物をみがいてむごく殺してかまわない
独りよがりの道徳
哲学のない疑惑
寒い心の裂け目に
罪が細くにじむ夜へと向かう──輪廻
・
・
こころを
閉ざして見えてくるものがあるなら
阿吽(あうん)の呼吸をはずしてユングの海で溺れたい
邪悪が
土星の力を得たというのなら
レーキを投げろ
農夫たち
愚者の咎めを気にするな
芸術を楽しむには人は黒くなりすぎた
言葉が通じたうちに蝋燭(ろうそく)を点すべきだった
ユウレカ! ユウレカ!
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・
夜を走るなら
月に背を向けろ
けばだつ心に
月は優しすぎる
楔(くさび)を打ち込め
胸の真ん中に
呼び捨てにできる
名前はもうない
澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ
みな幸ある人でいるか
流れにまかれる影でないか
そこは寒いのか
温もれないか
・
・
誰も顧みぬ
僕の歌だから
誰も顧みぬ
君のために唄う
鏡よ砕けろ
正義を示すなら
翼を得るとき
僕は駄目になる
澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ
失うものはせめて少なく
見落とすものはせめて小さく
そこは遠いのか
触れあえないか
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