詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
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今も忘れない爽やかな彩り
僕の好きだった伸びやかな光
君が忘れたら季節は置き去りで
切り取られたまま埋もれてしまうだろう
僕はここで生まれたわけじゃなくて
はがゆくてもどかしい愛しかなくて
夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に
染まることしかできず
・
・
確かめたくても時は戻せないし
記憶にノンブル打つこともできない
僕はここに住んでるわけじゃなくて
柔らかく臆病な愛さえなくて
夜明けにはコバルト色
海騒げばさかな色に
染まるだけでもいいか
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伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ
祖先の祀(まつ)りを
忘れたせいだ
長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で
・
・
墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ
梵語のspellを
忘れたせいだ
因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で
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spell・・・呪文という意味もある。
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雨だれが庭を打つ
意味のない日曜日
自転車が濡れるから
買い物に出られない
歌は資源にならない
心は痩せてゆく
ここに神はいない
敵もいないけれど
ここに君はいない
時間を戻しても
ここに君はいない
◆
◆
読み飽きたはずの本
それなのに手に取った
猫たちは会いにくる
感情のない味方
樹々は試薬にならない
焦りがつのるだけ
ここに祝福はない
焦土は遠いけど
ここに惻隠(そくいん)はない
救いは未定義だ
ここに惻隠はない
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泣き濡れた町を
出れば逃れられる
行き先も知らず
飛ばせ 闇の果てへ
アクセルを踏み
悲しみこらえ
逃げる逃げるセリカ
養鶏場の前のカーブで
猫をはねたけれど
咎める人もいないのね
◆
◆
未練だけ残し
砂を噛んだタイヤ
反射して襲う
デリニェータの光
追いかけないで
あなたとわたし
今日で終わりだから
暴力さえも沈黙さえも
追いつけない彼方
取り戻せないあの影絵
★
泣き濡れた町を出ても
泣くと思う
行く先も違う自由な人でさえ
★
平成〇〇年の誕生日まで有効──
わたしの免許では
追いつけない彼方
追いつけない明日
追いつけない
あなた
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デリニェータ・・・ガードレールやトンネルの側壁にある小型の反射板
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弦(いと)に滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた
光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか
コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
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・
青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか
画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし
コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
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コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて
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夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後
そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり
──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
・
・
愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね
弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず
──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
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長崎県西彼杵郡長与町
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峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず
半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた
若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く
僕もいつか川を伝い
あの人の里へ
若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ
そして今日も
あの人とは会えないよと
告げた
・
・
許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい
若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた
若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ
僕もいつか川になって
あの人の許へ
若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く
そして今日は
このあたりで引き返せと
告げた
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経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる
学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる
不安な心のまま
この町に来ないでね
ためらう言葉なんて
定義不能だから
わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ
わかってくれるなら
◆
◆
済生会の門からは
悩みのない空が見える
杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する
彼女を想いながら
この町に来ないでね
未知数の愛なんて
二律背反だから
わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ
わかってくれたなら
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経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
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帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら
帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように
選ばないで
私はかなり希薄
飾らないで
あなたはきっと微弱
東雲(しののめ)の時まで
起きて 観てるから
星たちの空を記録してほしい
・
・
慈悲深い心で
門を叩くなら
閂(かんぬき)をはずし
裸身を温める
恋人を迎え
差別(しゃべつ)に親しむ
悲しみの部屋
咎(とが)めないで
私はかなり希薄
阿(おも)ねないで
あなたはきっと微弱
暁のときまで
正気でいるから
星たちの空を記録してほしい
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差別(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
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