ホーム > 詩人の部屋 > あいるの部屋 > 春雨

あいるの部屋


[297] 春雨
詩人:あいる [投票][得票][編集]




君はいきなり泣くんだ


いつも突拍子もない
君の
君による
君のためのリサイタル

ワ行に濁点をつけたような不器用な泣き声は
夏の嵐のようで清々しい


鳩が豆鉄砲をくらったのはつい先日のこと

パズルのピースだったり
迷宮だったり
自分を形成する
ナニカの在処を
まだなんとなく探してる


このなんとなくが諸悪の根源でさ
心の体積は変わらず
入れ物だけ大きくなって

今日を乗り切る知識だけを
頭に貼りつけて

そんなん必要ない
なんとなく


呆れるくらい晴れた空に
儚さをおもうようになった

科学的根拠に基づかない
基づきたくない


調律なんだよなきっと

なんとなくはなんとなく
あたたかくてさびしいんだ


君が泣く

泣けないボクのかわりに泣くんだって


切れたままのギターの弦でも張りなおそうかな

あれもしたいし
これもしなきゃな

さびしくてあたたかいな
とりあえずは
なんとなくつられて

泣いてみようかな


2020/02/28 (Fri)

前頁] [あいるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -