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和泉の部屋  〜 新着順表示 〜


[17] ドロップ
詩人:和泉 [投票][編集]


失くしたものに番号をつけるなんて
キリないし

両手で掬(すく)えるだけ掬(すく)おうと
欲ばかり

指の間から
溢(こぼ)れているのに
気付かないくらい


番号をつけなきゃ
並べられないし

失くすばかりの私を見て笑う人がいることに
傷付いて


巣くう喪失感から
救って なんて
また頼って

救う なんて
したことないくせに



失くしたものに番号をつけるなんて
キリないし

溢(こぼ)れないように
掬(すく)うなんて
できないけれど


せめて
一粒でも
残せたなら

2006/06/25 (Sun)

[15] 老婆の休日
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年の数よりもの読み潰した本

皺の数よりもの記憶(おもいで)


いち
にい
さん と
繋がっていく絆


大きな家に入りきらなくなった愛は
皆にお裾分け



温かい家も
今では記憶と私と

我が家の様に入ってくる白猫と

まったり ぽかぽか
うたた寝中


そんな
老婆の休日


2006/06/23 (Fri)

[14] 壁掛け時計
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秒針の音(ね)
眼に映る時は
スローに
スムーズに

時を止める魔法なんて
誰も知らない


世界中の時計を壊したところで

ただ時間がわからなくなるだけのこと



ジャストで鳴り響く鐘の音は
あまりの大きさに
誰も近寄ろうとはしなかった

2006/06/23 (Fri)

[13] 
詩人:和泉 [投票][編集]

この保たれた距離は
臆病の証


崖から落ちかけて
掴んだ“誰か”の手

振り払われたら
拒絶されたら と
汗ばむ掌


離れた距離からじゃ
声も届かないのに
保った距離は縮むことなく


けれど
“誰か”が微笑みながら言った




そんなに離れていたら
ワタシが落ちそうになった時
誰が助けてくれるの と

2006/08/06 (Sun)

[12] ノ・インスタント
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思い出を抱き締めたら溢れ出して
両手から漏れるそれらを必死に掻き集めた


失くしたくはない と
頬を濡らしながら
抱えきれないものばかりで





求めるのは
誰かが差し出してくれる器と

共有しよう と
微笑む顔

2006/06/21 (Wed)

[11] レイン
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ここにいるよ と
主張する微かな太陽の光

重たい壁で閉ざされた
天 と 地


繋がりたくて降る雨さえ
私は掴むことができなくて




今日は雨と天気予報は告げていたのに


まだ私のところには
天と地を繋ぐロープが降りてこない


2006/06/21 (Wed)

[10] 恋愛小説
詩人:和泉 [投票][編集]


閉じた本は
寂し気に私を見ていた
背表紙が泣いている


挟みかけのしおり
読みかけのストーリー



本当は
この物語の結末を知っている

2006/06/21 (Wed)

[8] 裁縫箱
詩人:和泉 [投票][編集]


絡まった糸をほどくのは困難で
小さな穴からは
何も見えない
針山に
ぽつんと一本

掛け違えたのは
ボタンが真っ直ぐについていなかったから

ほつれた裾は
元には戻せない


絡まった糸は
更に絡まる




どこで
間違えたのだろう


2006/06/19 (Mon)

[7] ボイス
詩人:和泉 [投票][編集]


果てしなく続く地平線

喉が潰れるほど叫んでも
目眩がするほど叫んでも

“声”は
返ってこない


あの人や
この人や
その人の

間に出来た
大きな
大きな壁は

私の“声”を遮る


己の“声”だけが
虚しく響く




どうせなら
一人で叫んでいるほうがよかった?

2006/06/19 (Mon)

[6] 檻之中
詩人:和泉 [投票][編集]


檻の鍵を壊す“力”だって“可能性”だってある


足りないのは
“勇気”

満たすのは
“恐怖”



慣れた檻から
“外”に出ることに躊躇う

2006/06/18 (Sun)
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