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和泉の部屋  〜 新着順表示 〜


[43] 額縁
詩人:和泉 [投票][編集]

ゆっくり変化する色に気付かないように
通り過ぎていった

カメラのシャッターを切るよりも
瞬きするよりも

一瞬は
あっという間で


加速する車より
ビデオテープの早送りより

一瞬は
あっという間で



その一瞬を惜しむより
その一瞬を求めるより

一生もまた
あっという間に

2006/07/17 (Mon)

[42] 白影
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闇夜に映える
あの長い影

踏もう と
追い掛けても
ひらひら と
蝶の舞い
もどかしく

鬼さん こちら の
誘い文句
触れようとすれば
逃げるくせに
空気のように
抱き締めること
できなくて

あの影は
闇夜で輝き
誘っては
日が昇るまで
舞い続け


影と影が重なるまで

2006/07/13 (Thu)

[41] 
詩人:和泉 [投票][編集]


振り返れば
求めに埋もれていた

誰か 誰か と
叫びながら


自分はその場で足を止め
振り返る誰かを求めた

小さな傷を大袈裟に
誰かが声を降らせてくれるのを求めた

その傷は
とっくにカサブタに化け


そっぽを向いて
誰かが背中を押してくれるのを求めた



気が付けば
求めで積み重なって


自分からは
怖い と
砂糖より飴よりも
甘い甘い甘え



今からの脱皮
自分から を

2006/07/13 (Thu)

[40] 憂き環
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忙(せわ)しない人の波に
飲まれぬよう

見えないところで
必死に足をバタつかせ

溺れかけても
近くに藁は見当たらない


手を差し出して
引き上げて


足が鉛のように重く
重りとなって
沼の底に引きずられる前に

2006/07/12 (Wed)

[38] 夢路
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あの日
終わりを見た夢は
涙の底に沈んだ

目覚めたあとの
空っぽな感覚

夢の中で
あたしは何かを失ったのだろうか



だが しかし
夢は記憶の奥底に消えていた

2006/07/10 (Mon)

[37] アイ
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瞳は僕を捕えているなんて
とんだ勘違い


わし掴まないで
心臓 痛みます
リズムを崩し
不安定です


その鋭さは
僕を呼吸困難にし

赤い頬も
暑さのせいにする


声が響くたび
比例して
高鳴るのは何ですか



瞳が僕を捕えているなんて
とんだ自惚れ


溢れるは
塩味スマイル


2006/07/08 (Sat)

[36] 蚊取線香花火
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渦巻いていた私の中のもやもやが
誰が付けたか分からない火で

ぽとり と
静かに消えてゆく


あなたが
私から離れていったのは

この渦のせいなのだろうか

2006/07/07 (Fri)

[35] ビニール傘
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素手で触れてしまったなら
傷付けてしまいますか

一定の距離が眼について
並ばないように足の速度を落とし
さらけ出さずに
行けるところなんてどれくらいあるのでしょう


何かを恐れ
足元ばかり見て
雨が止んだことにすら

気付けないなんて


2006/07/06 (Thu)

[34] 
詩人:和泉 [投票][編集]


誕生日にプレゼントより
母の日にカーネーションより
あなたからの電話が


母は兄の贈り物よりも
兄の声が聞きたいと



兄と話す母の顔は笑みで溢れ
“優しい母”の顔なのです


プレゼントよりも
カーネーションよりも
「元気?」の一言でも

2006/07/06 (Thu)

[33] 
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たまにちらりと見えるそれは
あまり見たいものではなくて

見て見ぬフリを
演じ

心の中でそっと呟く私は
笑顔を振り撒いて

気付いてないよ
傷付いてないよ
自分に暗示をかける


見え隠れするそれは
私にも有り得ることなのだろうか



彼女の笑顔
まるで静止画のよう


2006/07/05 (Wed)
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