詩人:はるか | [投票][編集] |
ふる ふる 冬の
いたずらに、雨
肩におちて
音がしずかに胸にふる
昨夜みた夢は
つめたい水の底
うすい膜
いちまい隔てて
とおい向こう岸
窓の雨つぶを
小さく丸でかこむと
ゆびさきが泣いた
はら はら 涙は
行きさきも知らずに
落ちていく
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いち、に、さん
片足でジャンプ
揺れてはねる前髪を
空気といっしょに
まきあげた
悲しいことは
悪いことじゃないから
うつむかなくて
いいんだよ
心は上へ
上昇気流の風を
よもう
加速つけて
スタートライン
引きなおしたら
もう
涙なんて
必要ないくらい
あげて、あげて
まきこんで
人も未来も
きっとこの手でって
いうくらい
たかく、たかく
息を吸って
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たとえ言葉を交わさなくても
遥か遠くに離れていたとしても
たった一度でさえ
この髪をゆらす
風のように
目が合ったとしたら
私はきっと
あなただと気付くでしょう
運命だとか
人が作り上げた言葉に
惑わされることなく
雑踏を掻き分けるような
人込みの中でさえ
私はきっと
あなたを
見つけられる
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一年ぶりね
覚えていてくれたの
嬉しいわ
あなたは相変わらずね
何がって?
なにもかもよ
私も変わらないわ
髪もそのままだし
したいように生きてる
私たち
何かを失くした気がしてたけど
何も失くしてなんか
いなかったのね
痛いのは
ひとつずつついた嘘
バラさずに胸に
刺したせい
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指からこぼれ落ちる砂
ただ黙ってみてる
ごめんねと言ったのは私
寄せてはひいて
溢れてくる心
左右の波が
ぶつかり とけた
パウダーブルー
多分、決まりきったこと
なるようにしかならない
形にしたくて
運命と呼んだけど
似合わなすぎて笑っちゃうから
別の言葉さがしてた
砂はこぼしたの
持って帰らないように
理由を聞かないあなたには
答はいらないだろうと
笑ってみせたあたしの涙
渇かずに
胸に 今もあるから
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「雨がすごいよ」
外を見る
そんな気配はまだない
車を飛ばす速度と
雲のながれは
どっちが早いんだろう
雨足が強くなる
あの人の空だろうか
繋がってるって言った
ありがとう
もう
追い越さなくていいから
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私は魚だった
釣り針を口にくわえて
今、釣りあげられるところ
周りには知人 友人 家族
手をふり 私もふり返す
私は抵抗するでもなく
しょぼくれてもいなかった
私はただ
何かを探している
すごく途方もないような
あるかないか分からない物を探している
此処じゃないどこか
此処にはないなにか
いらない物が多すぎる
上辺だけの微笑み
蔑み、へつらい、傲慢、卑屈、支配
人の我が儘を
歪んだ観念を
まとめてみんな
振りはらいたいだけだ
詩人:はるか | [投票][編集] |
人ごみを二人で歩く
きれいに着飾った人や
不思議な雑貨屋さん
信号待ちの車の渋滞とか
すぎていく笑い声
甘ったるい匂いに
少し体をかたむけながら
ちぎれ雲を目で追う
あの人はななめ前
よそ見ばかりの私を
目で確かめる たまに
私はすこし後ろ
寄り道ばかりして
背中を見失う いつも
二人歩きは楽しい
街中のかくれんぼ
紛れて見えなくなったら
探しにきてね
詩人:はるか | [投票][編集] |
ありがとうなんて
あなたが言うから
のどまで出かけた言葉
思わず飲みこんだじゃない
あきらめ顔で 空を見て
くちびるの端っこ
きゅっと結んだ
いたずらめいた風
少しだけ乾いた
手の平をかすめる
寂しくないなんて
あなたに届くまえに
嘘だとばれるけど
けど
あなたを思ったら
きっと あたし
笑うんだろう
泣きながら
それでも
笑ってしまうんだろう
詩人:はるか | [投票][編集] |
ジャッ ジャッ
ザッ ザッ
ジャッ ジャッ
ザッ ザッ
手の平きざむ
規則ただしいリズム
母さんとおんなじ音
『お米はね、こうやって研ぐんだよ』
あかぎれた指先が
散らばるつぶを
思いどおりにあやつる
『水を切るときは手を必ずそえてね、こぼさないよに大事にするの』
見よう見まねで
ふれた米は
あたしの小さな手を
簡単に すりぬける
『だんだん出来るようになるからね』
って笑った母さん
ジャッ ジャッ
ザッ ザッ
ジャッ ジャッ
ザッ ザッ
釜の中に皆が見える
美味しいねって笑う
みんなの顔がある
母さん
今なら
あたし分かるよ
母さんの気持ち
ようく分かるよ