君は俺よりもずっと出来た人間だし

俺は君よりも随分と腐りきってる

だけど俺が君に強気で接するのは

君より俺の方が君を愛してるからだ

煙草を嫌いな俺が

吸っていい？と聞かれて

駄目だと言わないのは

「吸って死んで二度と吸えなくなっちまえ」と

強く願ってるからだ

鎖さえ無い首輪では

君の自由など奪いきれない

僕は ただこの家で

鈴が鳴るのを待っている

その傷口から零れてゆく

小さな弱さや 哀しい言葉

すべてを塞いで飲み込もう

君を 癒したいよ

病みさえしない生活では心が退化してゆくよ

他人に触れない毎日が僕を消化してゆくよ

自分に宛てた手紙が影を捕まえるんだ

そこで知る物はすべてガラクタでしかないけれど

ひとりでいるよ
ひとりでいるよ
ひとりでいるよ

君は

君はひとり船を降りて

水平線に消え去った

僕は本当は君となら

海の底 沈んでもいいと思ってた

病んだ心で笑いたい

汚れた体で祈りたい

歪んだ愛で眠りたい

哀しい歌で終わりたい

二人は何故繋がっているんだろう
言葉も笑顔も交わす事のない毎日で

二人の終わりはどうして告げられるだろう
突然に何も信じられなくなるのか
そろそろと心を蝕まれるのか

しかし僕は不思議と恐くはない
きっとそれ程に君が僕の中にいる

ずっと僕の中に君がいて
僕が育て 僕を育てた
それは いつまでも消えない

二人は何故繋がっているのだろう

責めない 当て嵌めない 逃げ出さない
受け入れて 信じて 守って
その光 祈りの力

その結果 ささやかな 絆

二人の終わりはどうして告げられるだろう

僕は終わる事さえ 不思議と怖くはないんだ

惨めで
報われない
悲しくて
哀しくて
救われない
済われない
掬われない
それでもいいと思ってる
それでいいと思ってる
踏みにじって
引き裂いて
そうして傍にいて
嘘のキスをして
気紛れな愛を囁いて
そして撤回して
嘘を吐いて
嘘と解る嘘を吐いて
愛しているとか
離れないとか
殺してやるとか
幸せな嘘を吐いて
冷たい手で
冷たい目で

嗚呼、でも

望まない
願わない
求めない
触れることも
呼ぶことも
見つめることも
忘れることだけ出来ないけれど
惨めで
報われない
悲しくて
哀しくて
救われない
済われない
掬われない
それでもいいと思ってる
それでいいと思ってる

あの人の写真を燃やしました

大好きだった白い肌も冷たい目も

小さな炎に熔けゆく彼が
業火に灼かれる罪人みたいで

未だ少し倦んでいた弱い心も
黒い灰になって死んだ気がした

もう悲しい夢も見ないでいいの