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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[193] わからずやのダダ
詩人:さみだれ [投票][編集]

わからずやのダダは
眠れる場所がほしいと
森の中へ足を踏み入れた
町の人たちは
すぐに帰ってくるだろうと
眠らず宴を続けた

月が照らす切り株に
ダダは体を預けた
こっそり後をついてきた君は
彼を見つけられず
それはそう
ダダはもういなかった
誰の目にも触れられなかった

機械的な涙を流す
町の人たちの夜明け
そこに月はなく
夕べの跡が目立つばかり
森の中は静かに
君はひとり眠らずにいる

2011/07/28 (Thu)

[194] 絵のない詩
詩人:さみだれ [投票][編集]

悲しみを奪ってまでも
守りたいものってなんだろう
言葉を潰し歩いてまでも
得たかった幸せってなんだろう
古いものが偉いと思ってても
新しいものが輝いて見えて
いつのまにか真っ黒の瞳の中に
星がちらちら散っていた

間違いだなんて決めつけても
正しいことは怖くて言えない
言えないなら表しようがないよ
そんなことなら黙ってていいだろう
ただそこに立ってるだけで
生きてることになるのなら
誰だって死ぬことはしないだろう

さみしさを紛らせてまでも
守りたいものってなんだろう
嘘をついた口を洗ってまでも
気にしていたものってなんだろう
大切にしてないものほど
助けてもらってるものだろう
大切にしたいものほど
目に見える場所にあってほしいだろう

2011/07/28 (Thu)

[195] さかなの絵
詩人:さみだれ [投票][編集]

海の中で泳いでる
水面を凍らされて
息継ぎができないまま
とうとう魚になってしまった

さかなの絵を
書いてる少年の顔
曇ってる目の奥に
ひとが歩いてる

空の上で泳いでる
雲が汚れきって
同じ景色に飽きた頃に
当然鳥になっていた

土の中で泳いでる
アスファルトで真っ暗になって
目が慣れないまま
ついにもぐらになっていた

2011/07/28 (Thu)

[196] 白いワンピース
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青空に乗って
飛んでく帽子を
追いかける君は楽しそうに
砂に足をとられても
波がかかっても走ってる
つかまえたときに
僕に向かって胸を張る
いつまでも変わらないで

ときどき意地悪に
君を困らせるだろう
そのときはちゃんと叱ってほしい
ときどき下手っぴに
僕を困らせるだろう
そのときはちゃんと言うから
いつまでもそばにいて

青空に乗って
飛んでく心を
追いかける君は楽しそうに
つかまえたときに
僕にくれた心を
大事にしまっておくよ
いつまでも笑っててほしい

2011/07/30 (Sat)

[197] 無題
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鉛色の空の下には
黒とも白ともつかない
悲しそうに流した涙は
雨になることなく
時間があるから死ぬことが怖い
時間がなければ永遠に生きられたかもしれない

心を鋭利に研ぐ
ひとりになりたいがために
丸くなった言葉では
何にも届かないような気がした

2011/07/31 (Sun)

[198] いつも
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いつも優しいから
いつだって優しくなれる
どこにいても変わらないから
どこにでも行けるんだよ

いつもさみしがってるから
いつもさみしくないように
どこにいても呼んでるから
どこかで笑っててほしい

ふとしたときに思い出せるくらい
あなたは身近にいる
年をとっても忘れないように
あなたを思っている

いつか言える日があったなら
恥ずかしくても喉の奥から引っ張り出すよ
いつか言える日があったなら
どこにいたって聞こえるよ
あなたがそこにいるから


POET10YEARS

2011/08/01 (Mon)

[199] 夢喰い
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彼は彼女に惑わされ

夢に閉じ込められてしまった

窓から見える現実にも

彼は見向きもせずに

今もまだ彼女を愛し待っている

年老いたとて

彼は夢を夢と認めはしないだろう

彼女の膝枕で眠り

今もまだ彼女は彼の頭を撫でている

夢を見ているであろう彼の頭を

現実は光となり部屋に入り込み

眩しさに目覚めた彼を

彼女は二度と待ってはいなかった

2011/08/01 (Mon)

[200] ノイズ
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迷子の子供に自分の詩を見せたところで
その子は泣き止むのだろうか
今にも死にそうな誰かに自分の詩を見せたところで
その人は延命するのだろうか
愛のないセックスの最中に自分の詩を見せたなら
相手はどんな反応をするのだろうか
朝の目覚まし代わりに自分の詩を見せたところで
目を覚ましてくれるのだろうか
夜の眠れない閉塞感に
自分の詩は毒になるのだろうか

死にたいなら死ねばいい
ただそれだけのこと
幸せなら穏やかに
黙っていてほしい
耳に障るの
この詩は

2011/08/02 (Tue)

[201] 旅客機
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蜂蜜が垂れてる
月の裏側で
国を持たない人たちが
掬いとってる
生まれたときからの風習
当たり前
毎日が当たり前

海の固体化が進み
太陽は背を向けた
微笑みを欠いた人たちが
飛び込んでいる
生まれてからの非常識
信じられない
それを信じてください

壁から涙が零れるように
星がきらきら輝いて
物に命はないと信じた人が
掬いとってる
生まれたままの常識
疑わないことを
どうか忘れてください

2011/08/02 (Tue)

[202] トカゲの尻尾
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例えば星の明るい夜に
あなたの声を聞けたなら
それだけで昨日の悪夢も
昔の待ちぼうけも忘れられるのです
こんなにも幸せだと感じられることが
あなたのそばにあるのなら
それだけで悲しい歌も
鈴のように鳴るのです
私は私のことばかりを言うでしょう
例えそれは違うと知っていても
私はあなたのことばかりを話したいのです
あなたが私のことを話しているうちは

私は怖いのです
ただ不安なのです
裏切ることはしたくはないのです
だから突き放すのです
私は愛することに人一倍臆病なのかもしれません

例えば星の明るい夜に
あなたの心に触れたなら
触れた手を切り落とし
二度と生えてこないように
包帯を巻くでしょう
おそらく私は私の幸せしか見ていないのかもしれません
こんなにも月は近いというのに

2011/08/03 (Wed)
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