詩人:さみだれ | [投票][編集] |
普段見慣れたあの店も
イルミネーションで着太りしている
相変わらず風邪を引いたように
くたびれた僕がいる
詩の世界に迷い込んだのか
現実にいるのかわからない
遠くで消え入る落日を
美しいと思える心
手の冷たさ
行き交う車の音や人の声
確かなのは
今この時を信じられないでいること
それだけだ
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与えるのは何
見いだすのは誰
欲しがるのはいつ
聞き入れるのはなぜ
息苦しいのはどこ
必要なのはどうして
考えるのはいつまで
知ってる
だからこそ、でしょう?
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悲しいのか
悔しいのか
泣きたくなる
人前では泣きたくないから
ひとりっきりで涙を流す
弱い人間だ
人と関わるのが怖いくせに
人になつく動物
ひとりがいい
ひとりが心地いい
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いつから
いつからあなたは与えられなくなったの
心躍るプレゼントや
食べきれないくらいのご馳走
あなたはもう忘れてしまったの
埋めちゃだめなんだよ
思い出や幸福はさ
芽を出したらずっと見守ってあげなきゃ
今、雪が降ってるでしょ
あなたと他愛のない話をしてるでしょ
そんな小さなことでも
大切にしなきゃ
あなたは与えられないと駄々をこねるけどね
あなたが与えないと誰かは与えられないの
だからね
忘れないで
あなたは思いやりのある人だから
私は信じてるわ
忘れないで
私はもうすぐいなくなるけど
あなたは与えていて
私にそうしてくれたように
さようなら
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そこにあることの幸せを
私は知っている
あなたがいないことの空虚もまた
詩を書くことで私は逃げている
忘れたくはないから
忘れてしまえば終わってしまう
書いていなければ息が続かない
あなたに会えない
なんとなくそう思う
いつ死ぬのだろうか
存在しなくなるのだろうか
死ぬことであなたに会えるなら
私は死のう
存在のない世界でも
あなたに会えるだろうか
わからない
わからないけど
そこにいることの幸せは
私にとって確かなものだった
ならもう一度
その幸せを感じたい
今私にはその幸せがない
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あなたを思えることが幸せです
暖かい風を受け入れることが幸せです
冷たい涙を流せるのも幸せです
星がひとつ輝いている夜も幸せです
滞りなく変わる世界に
幸せは留まってはくれません
それでも時として幸せは訪れます
あなたが願うものが幸せなら
幸せの分の部屋を用意しましょう
朝起きたとき飲んだコーヒーが
今日あなたを幸せにしたり
見上げた太陽の眩しさが
明日あなたを幸せにしたり
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夕凪に人魚は琴を爪弾く
船乗りのいない孤独の沖で
ただぽろぽろと零れる
金色の鱗もやがて
水面に浮き 沈んでいく
神様すらその心は知りえない
少しずつ冷たくなっていく風を
人魚は歌うことで温めていた
何もいない孤独の海で
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透明人間のように
いないように扱われ
透明人間のように
見つからないように避けて
仮面をつけた人たちは
仮面のない透明人間を笑うだろう
笑わないのは見えないから
そこにいないから
透明人間のように
鏡にも映れずに
透明人間のように
言葉すら交わせずに
夢ばかり見ている人たちは
夢から覚めた透明人間を知らないだろう
知らないのは見えないから
生きてすらいないから
(私を見て)
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あなたがいなくなり
俺は慌てて探しに行った
森の中の階段
あなたは絵を描いていた
見つかったことにほっとして
絵を覗いてみると
向い合わせの二人
色を足していた
恥ずかしそうに頬を染めながら
微かな声で
好き、と言うあなたが
愛しかった
これも全部夜が生んだ幻
手に触れることもできない
暗闇のような恋
二度と見ない夢