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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[293] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

コーヒーの隣に妖精が座る
器用にスプーンで混ぜている
灯りを離した
暑そうだったから
そして最後に魔法の粉を入れる
それが楽しみなんだ

仕事から帰ると
妖精は決まって寝ている
すっかり冷えた夕食にラップをして
ひっくり返した茶碗の上で気持ちよさそう
夢を邪魔しないように
そっとベッドに連れていった
そして食べる夕食が温かく思えて
今度は一緒に食べようって思った

寝る前におやすみ
布団をかけ直してやる
たぶん妖精は誰よりも早起きで
どこよりもうまいコーヒーを淹れてくれる
そしてそれが当たり前じゃないことに気づいたとき
なんだか嬉しくて顔を合わせられないんだ

2011/09/26 (Mon)

[294] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

ハーブしか育たない星でも
人は生きていた
ウランとヘリウムの大気
それでも生きていた
夫の遺影と子供の走り回る音
灰に近い白の人間
この星にはもう彼らしかいない
それでも生きていた
もしこの星の裏側に
息を潜めて隠れてるなら
出てきてほしい
そんなに大きな星でもないから
出てきてほしい
私はもうここを去る
別れのあとには出会いがある
だから共に生きてほしい

2011/09/27 (Tue)

[295] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

生きたい場所がわからない
生きたい時間がわからない
宇宙はひとりだからさみしい
地球は誰かがいるから煩わしい
できるなら夢
目の覚めない現実
それがいい

捨てる勇気もないし
適応できる自信もない
それらを奪ったのはあなた
大嫌いなあなた

状況が一変
鳥になったなら
風に乗って行けるのに
星になったなら
眠ったまま過ごせるのに
状況は不変
人でいる限り
そんなこと思いながら
人でなければならない
そんなこと思いながら
かじるんじゃなかった
あなたが差し出した知恵
知らなきゃよかった
いつか死んじゃうこと

2011/09/28 (Wed)

[296] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

"あなた"という何かを信じることが
馬鹿馬鹿しくなってきた
"あなた"という何かの輝きなど
太陽のそれに比べれば可愛いものです
"あなた"など私にとっては所詮その程度の存在
だからどうでもいいのです
心などというものは距離や時間には遠く及ばない
無価値なもの
"あなた"という何かが訴える心なんて
飽きたおもちゃのように
いつか捨てられるのです
だからもうどうでもいいのです
"あなた"が生きているという根拠なき存在の認識
つまらない時間でした
無駄な時間でした
"あなた"という何かが私に与えたものは
見えないものを信じるなということ
そして今やそんなことすら
意味のない言葉の羅列へと化しました
"あなた"という何かを信じること
恐ろしい呪い
タイムスリップ
滑稽な人形
"あなた"という何かの輝き
夜にすら目立たなくなりました


2011/09/28 (Wed)

[297] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

神様、夢を見てるなら
消えていく前に触れてよ
ほんの少しばかりの
優しさがあれば怖くない
つまらないものは追い出したよ
二人で秘密のお話
長くならないように
手を繋いで言葉を送るよ

神様、世を見てるなら
すれ違うときは声をかけてよ
わずかばかりの
勇気があれば怖くない
何もないならよかったよ
二人で最初のお話
短くならないように
嘘を並べて本当を隠すよ

神様、今に見ててよ
消えていく前に触れるよ
空になった心の
無限の可能性を信じれば
出会ったばかりでもわかり合えるよ
二人で毎日のお話
いつまでも続くように
神様、お祈りしておくよ

2011/09/30 (Fri)

[298] ポエム
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目の前にある現実を悪く言うことでしか
自分の存在を確認できない
悪いのは世の中じゃない
悪いと思い込んでいる自分
またわからないふりしてる
本当は知ってるくせに
どうなりたいか
どうしたいか
とっくに気づいてるくせに

2011/10/01 (Sat)

[299] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

生きた詩を書けない
どことなく死んでいるから
あらゆることが残酷に思えて
一色になって
またそのうち光りだすだろう
そう思っていた
それは間違いだった

死んでしまっては生きられない
もう詩は過労で倒れた
二度と覚めることのない夢
見られますように

ただ息だけは止まない
心臓の音も
そのたびに懐かしく思う
生きていた日のこと
詩は体を置いて
魂を飛ばした
そしていよいよ見えなくなる
そう、詩は死んだ

2011/10/03 (Mon)

[300] 星に願いを
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夕べ
打ち上げた
宇宙船は消えた
どうか
叶いますように
願いを携えて
遠く
おぼろげな星に

晴れて
まぶしい
笑顔も素顔も
たまに
見せる悪魔の羽も
どうせ
その言葉が
すべてを台無しにする
今日も
昨日も明日も

夕べ
打ち上げた
宇宙船は消えた
どうか
帰ってきますように
流星
月の輪
色とりどりの星座
どうか
叶いますように


2011/10/04 (Tue)

[301] アロマ
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何の花かはわからない
木や草かもしれない
ただその匂いは優しくて
懐かしい記憶をノックする
帰りたいとは言わない
ただ忘れたくはない
いくつ年をとっても
その匂いを感じていたい
もう現在と未来しか希望はない
だから過去を絶望したくはない
忘れたくないと思えるように生きろ
その匂いはそう言っている気がする

2011/10/05 (Wed)

[302] 月の裏
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あの月が
実は飛行機みたいに
色んなところに行けるものなら
手を伸ばして
掴めないほど遠く
揺らいでいるのなら
自慢げに輝いている理由が
わかるんだと思う

空が転んで
泣いているのが
ほっとけないくらい
お人好しな幽霊と
雲が止まれなくて
助けを呼んでるのが
聞こえないくらい
不安定な学生の
頭の中は広大な原っぱ
ときどき星が落ちている
それが延々と輝いていると気づいたなら
嫌いなものも好きになれそうな気がする

まぶたの裏に隠したビー玉が
見つかってもいいように
生きていよう
ああ、きっとそれがいい


2011/10/07 (Fri)
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