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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[846] パープルの手帳
詩人:さみだれ [投票][編集]

覚えたことより
忘れたことの方が多くなり
私は
人間らしさを
なくしてしまいそうで
ふとした瞬間
肉塊となる
ここにあった心は
どうしたのだろう
せっかく
幸せとわかり合えたというのに
君の名を
もう二度と呼べない悲しみを
どこに放ったのだろう
私は何だったのだろう

風がそこにあるわけを
風は誇らしげに語る
そして悪戯に
私の意味について問う
ベージュの
しかし赤く巡る血肉の
動力炉をつつきながら
甘ったるい匂いをもって

私は
この星の記憶を
どれだけ奪っただろう
私は
この星に対し
どれだけの責任を押し付けただろう
その代償がこの様なのだから

(以下余白)

2014/12/10 (Wed)

[845] やんわりとした終末
詩人:さみだれ [投票][編集]

星のお母さんが来て
「帰ろう?」と手を差し出す
僕らの町の一番高い
銭湯の煙突が潰れた
人差し指は学校の方へ
お兄さん指は隣町へ
お姉さんは川を塞いで
弟はスーパーの看板に
僕の家は気づけばとうに
お隣さんと同じ家
僕らはどこにも帰れないまま
星は太陽に手を振って
「バイバイ」

2014/12/07 (Sun)

[844] U
詩人:さみだれ [投票][編集]

時折振り返ってる
あの子の背中に張りついた
優しい悪魔があの子自身には見えない

時折しゃがみこんでる
踝に爪を立てた
優しい悪魔があの子自身には見えない

今夜 空が光って
あの子はどこへも行けない
優しい悪魔が僕らには見えない

薬が切れて愚図りだす
おかしなことを考えてる
いつだってそうだ
怯えていた

でたらめに走ってる
あの子の首を絞めてる
優しい悪魔があの子自身には見えない

振りかざした手が光って
その手を強く握る
優しい悪魔が僕らには見えない

混ざり合う境界で
冗談を囁く
優しい悪魔があの子には見えない
僕らにはずっと見えない

薬が切れて愚図りだす
不思議なことを考えてる
いつだってそうだ
怯えていたよ

2014/12/05 (Fri)

[843] T
詩人:さみだれ [投票][編集]

ハットを被った彼は陽気者
だから補色は 世界の終わり
だってそうでしょう?
今日で世界が終わるなら そうでしょう?

私の目は茶色
俯いてばかりだから
きっと地面の色になっちゃったんだね

夜明けを歩む彼は陽気者
だから補色は 世界の終わり
ありったけの未来も
今日で世界が終わるなら 思い出も

彼が悪い訳じゃない
私の目がいつだって
土色に濁っているから
きっとこんなになっちゃったんだね


2014/12/01 (Mon)

[842] いつか君を見つめる詩編へ
詩人:さみだれ [投票][編集]

今日の星空を育てよう
毎夜、誰もなくさぬように

風道の野花を連れ出そう
いつか、ここで会うために

純粋無垢な青い瞳よ
まだ、暗い道はない

燦々とそそぐ陽の赤よ
夕べ、触れたもろ手のぬくもり

「今日の星空を育てよう」
毎夜、誰もなくさぬように

いつか君が見つけるだろう
遥か、遠くの星に惑いて
たゆたう詩編の一片を

2014/11/30 (Sun)

[841] 詩人の心5
詩人:さみだれ [投票][編集]

深い深い谷底に
ニュアンスを敷き詰めて
私達は大きく手をふり
満足気に歩いていました

私は地の底から
あなたへの愛情を掘り起こし
掘り起こししておりますが
それはなんてことはない
エゴと呼ばれるものでした

毎夜、あなた方を殺しにかかる
不可思議な劣等感を
梢に留まる小鳥のように
大事にしていたと思います

まだ
ここに
私はいない
そのような日が
あったと確かに思います

海辺に放る瓶詰めが
私達の詩であるから
ゼロの思い入れを
空に飛ばしたいと私は願ったのです

世界は美しい
ただそれだけを大地に埋めて
私はあると誓います

「いつか君を見つめる詩編へ」

今日の星空を育てよう
毎夜、誰もなくさぬように

2014/11/23 (Sun)

[840] グロー
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朝起きて
まだグズる僕の背中
毛布越しに蹴り飛ばす君が
誰よりも一番早く
朝焼けを見るんだって
飛ばしているんだ 君の声が

何百年ぶりだろう
楽しそうな君が
何よりも一番近く
感じられることが嬉しい!

朝起きて
けたたましい目覚まし時計
蹴り飛ばす毛布を捕まえる君が
誰よりも僕よりも早く
朝焼けを見るんだって
駆け抜けていく 君の声が

世界中どれだけ
悲しいことが溢れて
敵ばかり増えて 堪えられなくても
誰よりも一番近く
感じられることが嬉しい!
この日の空を
僕らは見つめて
手を繋ごう


飛んでいくんだ 君の声が

2014/11/21 (Fri)

[839] メモリー
詩人:さみだれ [投票][編集]

今にも壊れそうな時計塔
石畳の隙間から伸びていく草
まるい空には虹が架かって
知らない鳥が飛んでいく

誰かが言っていた
「いつか見離されるから
僕らは何をやったっていい」

誰かが笑い飛ばしてた
「それが今なら何をするんだ?」

時計塔の下で祈る人
屋根の上に突き抜けた木々
大きな空には虹が架かって
月が小さく影をひそめる

2014/11/18 (Tue)

[838] 空へ
詩人:さみだれ [投票][編集]

あの頃僕は泣き虫だったな
背も小さくてケンカも弱くて
一人で歩く帰り道がさみしくて
あの時君はどんな顔してただろう
隣同士の席は嫌じゃなかったかな
僕はヒーローみたいに
誰かを守って
君を守って
それができるほどの勇気はなかったんだ

あの頃の空は飛行機雲が
長くのびるほど広くて
首が痛くなるまで眺めて
あの日の君はどんな気持ちで
飛行機雲の先にいたんだろう
暗い教室の中に
笑い合う声
僕は眺めて
「いつか好きだと言う」くらいの勇気しかなかったんだ

あの頃の僕は泣き虫だったな
背も小さくて優しくもできなくて
それでも君は笑ってくれて
それが嬉しくって
君を守れるくらいに強くなろうと決めたんだ
飛行機雲が空を切って
遠く遠くへのびていく
首が痛くなるくらい見ていたのは
涙を堪えるためなんだろう

2014/11/16 (Sun)

[837] 時の価値
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愛されない生き物だと笑って

あなたは去っていく

どれだけの時間が

この生き物を作ったのだろう

愛されたいからと笑いかけた

あなたが遠くなる

これからの時間が

過去を突き落として

見下げるように


愛するために生まれたんだ

あなたは胸を張る

いつかの時間が

光のように折れて

愛されるべきだと謳った

あなたの涙が

頬を伝う時間が

作り物だとしても



指折り数えて待ってる

この時間が好きなの

あなたは知らないね

ずっとね

2014/11/14 (Fri)
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