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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[835] 超現実
詩人:さみだれ [投票][編集]

雲が膨らんで
パンって弾けたんだ
きっと誰かがトゲを刺して
傷つけたのだろう
避けたのだろう

そうして信じるもののいなくなった
孤独の沖で
いつかの人魚が浮いている

浮いている



ああ、そうだよ
私の脳はこれ以上
現実を脚色することはできない



事象の側面に穴が開いて
みんな外へ抜けたあとに
神様はぽつんと胡座をかいて
何を思うだろうね

この現実なんてものは
付加価値でしかないんだと
私は思うよ

町中に貼られたポスターは

君を騙る

そしてまた
信じるもののいなくなった
孤独の沖で
人魚が浮いてしまうのだろう

2014/09/22 (Mon)

[834] 見えなくなった星の話
詩人:さみだれ [投票][編集]

何も特別なことはないんだ
そう思えたら
当たり前のことが霞んでいく
一秒前の君はいなくて
“大事にしてた“と
言う僕さえいなくて
子供たちは町を歩く
不思議なことを
特別なことを通りすぎて
もう大人になる頃だろう

行く手を阻む黒い靄が
ずっと晴れない
何も当たり前のことはないんだ
そう思えたら
特別なことが霞んでいく
昨日の夢がポスターになって
町中に貼られた
そんな世界を置き去りにして
僕は俯いて歩く
いつかの子供たちとすれ違い
僕は俯いて歩く

2014/09/21 (Sun)

[833] リウム
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さみしそうに天蓋を覗く
あなたと目が合う夜明けに
銀色の風が町を吹き抜け
僕は凡人になった

友達は恋人と家族になり
新聞はパンダの赤ちゃんを一面に
公園でおじいさんが猫を撫でていて
隣家の子供が騒々しく出かけていく
夜間トラックはコンビニに駐車されて
思い出したかのように鳩が鳴き始める
上司は娘と不仲になり
テレビは新法案のことばかり
ビルの窓には気怠そうに煙草をふかす若者がいて
大学生はサボりを決めた

さみしそうに天蓋を見上げる
僕の体を風が透過して
銀色の夜明けを終えた


2014/09/14 (Sun)

[832] 流星の泣く声が聞こえたら
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流星の泣く声が聞こえたらいいのにね、と
彼女は私の隣で呟いた
窓に手を置いて身を乗り出して
目を閉じる彼女の横顔から
私は何も察することができない
私は私ひとりの世界しか見ることができないと
諦めてしまったから

彼女から見た空は
私が見ている空と違いないのだろうか
ときどき不安になる
私は彼女の何もかもを知らないのではないか

流星の泣く声が聞こえたら
私は真っ先にあなたの方を見遣り
流星の泣く声が聞こえたら
あなたが何を思うのかを知りたい

2014/09/02 (Tue)

[831] 天使の内臓
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「私の存在はこんなにも有意義だよ
だから私を買ってよ
あなたにとって私は慰めになるよ
だから私を買ってよ
私の言葉はあなたのためになるよ
だから私を買ってよ
私の存在はこんなにも有意義だよ
だから私を買ってよ!」

「やだよ、気持ち悪い」

2014/08/31 (Sun)

[830] ナルキッソスの耳元に
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真実の愛とやらをどうかお聞かせください
あなたのその流暢な日本語で
私の魂を虜にしていただきたいのです
私は愛情を知りません
この間地球の上に大きな腫れ物ができたことなら知っています
しかし愛情を知りません!
私の脳に絶えず生まれてくる
新鮮な理、新鮮な感覚
新鮮な闇を殺している内に
うっかり愛情さえも断ったのでしょうか
あなたの語る愛とやらが
この上なく普遍的でつまらないものであっても
私には大きな糧となりうるのです
あなたの言葉の並び
美しいから私を虜にします
あなたの言葉の選択
正しさ故に私を虜にします
あなたの言葉の深み
こんな私にも触れられるソコがあったなんて!








そう
君を称えているのは
君だよ

2014/08/28 (Thu)

[829] 心訪れ
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ただ笑いたかった
何も持たなくても
空っぽの心に
触れてくる手が心地よかった

あなたの手にした剣は
誰かの心に刺さったまま
「そんなこと」と忘れて
あなたはまた新しい剣を買う

“ここにいたい“
と願う
あなたはそんなこと知らないでしょう
ただ笑いたいだけ
薄汚いなりでも
空っぽの心に
手が生まれてくる

あなたが誇った強さは
誰かの背中に乗って詠ったもの
鼻を折ってみれば
あなただって私と変わらないでしょう

ここにいたい
ただのわがままを
あなたは願いもしないでしょう
昼の喧騒を
頬杖ついて眺めて
「つまらない」と呟く
君だって同じ

心がどこへでも行けたら
翼をもてたなら
私はようやく
あなたと笑いあえる?
心がいつでも変わらず
色を持たないなら
私はついに
ひとりぼっちになるね

存在の定義すら
怪しくなってくるね

ただ笑いたいだけ
そのためのクオリアを
空っぽの心に
染み渡らせて
触れてくる手が心地よかったんだ


2014/08/28 (Thu)

[828] 無題
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呼吸を始めた日
白いカーテンの向こうに
絶対の幸福があると
私は信じた

星がめぐることすら
他愛ないことのように思えて
私の心は浮遊し
口元は微笑んでいただろう

アカシックレコードが
この世にあったとして
幾度となく生まれ変わっても
気にしないほどに
真新しい私は唯一無二の生命だ

そして
私は
なぜ

泣いているのだろ

2014/08/26 (Tue)

[827] こたえ
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命の終わりに
あなたがいてくれれば
何もかもが
よかったと思える
この気持ちを
ふと忘れてしまう
命の冷たさには
心底嫌になる
あなたはどうなの
と、聞いてはみても
世界のどこにも
あなたの面影はない
それでも
いつか
と、信じる私を
いつか
思ってくれたなら
よかったと思える
そんな命だよ
これは

2014/08/22 (Fri)

[826] 神様の在り方
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君は目を瞑ってていいよ
悪いものは何もないよ
手探りに歩くこともやめれば
傷つくこともないよ
そのうち日が沈んで
その事にも気づかず
君は星に踊らされることなく
ずっと起きていられるよ
思い出せるなら
思い出していなよ
君のひどい人生が
今日死んだんだよ

私は愛情を嫌った
世界の終わりを望んだ
いつまでたっても変わらない君を
私は神様だと疑ったりもした

君は目を瞑ったまま
楽しそうにお話をせがむ
明日の天気を気にしてる
紅茶にとけたジャムの味
「好きよ」と頬を染めて
私は耳を塞いで
世界の終わりを望んだ
そんな私の頭を撫でて
君は神様に代わって言う
「好きよ」と頬を染めて

2014/08/17 (Sun)
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