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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[767] ワールド・エンド
詩人:さみだれ [投票][編集]

そのしがない老婦人は
孫にあげるプレゼントを探し町を歩いていた
その目には子供のような無邪気さを覗かせ
湧き上がる高揚を堪えながらもしかし軽い足どりだった
それでも世界は終わる
風船のようにふわりふわりと

彼女は約束の時間を気にしていた
バーで落ち合う恋人に嫌われないように精一杯のお洒落をして
その手には初めて繋いだ恋人の手の温もりがあり
思い出せば自然と出てくる笑みを堪えながらも心は踊っていた
それでも世界は終わる
カクテルが夕日色に染まる明けにはもう

家族で出かける初めての旅行
父はガイドブックを一心に読んでいた
母は眠る我が子の手を握り窓の外を眺めている
太陽は穏やかに空を青く見せて
その空を狼は木陰から仰いだ
それでも世界は終わる
初々しくはしゃぐように

パーティーはつまらない
いつも仲間はずれだから
私はさみしんぼうのうさぎなのに
いっつも「部屋にいなさい」 って言われるの
それでも世界は終わる
私がゴロンと横になると
世界は色とりどりにくだけ散るの
ニュースの終わりのように
とても静かに

2014/01/30 (Thu)

[766] ペーパークラフト
詩人:さみだれ [投票][編集]

この命のために
草花を焼き払い
この命のために
鳥を射ぬった
この命のために
川を塞き止め
この命のために
海を減らした
なのにこの命は
てんで役に立たず
月に吠えることしかしない

この命のために
誰か一人は死んだ
この命のために
粒子は集まり
この命のために
意思をもった
それでもこの命は
生きる糧を見失うだけで
よろよろと力なく崩れていくんだ
この命は

2014/01/29 (Wed)

[765] 終日のノクターン
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いのちの頬を
伝う琴線が
いつまでもあなたを奏でている
息をするように
咲いた花をごらん
いつからかあなたを待っているようだ
それはこの世界の
あなたへの愛情
空が続いているのは
あなたが帰ってくると信じたから

夜の背中を
さする風が
いつでもあなたを優しくさせる
眠るように
潜ったクジラをごらん
いつかまたあなたに会えると信じているよ
それはこの世界の
精一杯の愛情
空が繋いでくれたから
あなたはどこへ行っても
きっと迷わない

2014/01/24 (Fri)

[764] 戦争を詠う平和
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「いつか戦争がなくなるといいですね」と語る
私たちの世界平和

ミサイルを飛ばせば
月に行けますか
クレーターの真ん中に家を建てて
犬をね飼うんです
あなたたちのように
何食わぬ顔で余生を送ります
そのまま月ごとよその銀河に移りたいのですが
構いませんよね
もしあなたたちが滅亡したくないと言うのでしたら
そのミサイルに花をびっしり詰めこんで
天の川の方へ放りなさい
私たちの世界平和は
戦争と共に捨てるべきだと
私は思うのです

2014/01/23 (Thu)

[763] エンゼルランプ
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何も持たない空は
青くなかっただろう
彼女が見上げていた
あの星も暗がりへ
私が歩く
あの階段もどこにもなく
だから思うのか
星になりたいと
彼女が見上げていた
あの星ほど明るく

何も持たない人は
生まれてはこないだろう
彼女が見つめていた
あの頃の手のひら
私は今も
あの手を離さず
だから思うのか
「死にたくない」と
彼女が見つめていた
あの手ほど温かく
優しくあろうと

2014/01/21 (Tue)

[762] 死の乗数
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私を殺すのは私の詩だ
腹に突き刺さったナイフを抜くのは
君たちの詩だ
生きろと促すお前の声は
私の詩の残響に似てやかましく
ハウリングが高く高く高く
その首を思い切り絞めてやろうにも
私の詩が邪魔をして
自分は殺したくせに!!
私は何度も叫んだ
叫んだつもりだ
それでも私には死を与えてもらえなかった
(お前たちはたくさん殺したのに)
生きていれば…と呟くお前の声は
目まぐるしく色を変え私を蔑む
お前の手にしたそのナイフは
私の詩であり
君たちの詩である
私は今も叫んでいる
お前の首に手を添えながら

2014/01/14 (Tue)

[761] イフ
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私の記憶がたくさん消えて
言葉もたくさん無くしていって
あなたを思う夜の詩も
だんだん、だんだん拙くなって
そうしてあなたのことすらも
だんだん、だんだん思い出せずに
私の記憶は闇に食われて
ヒトであることすら無くすのだろう

あなたの顔が思い出せない
あなたの言葉が遠ざかる
あなたの手がわからなくなり
夕日の対岸のごとく彼方へ
この詩もまた同じに

2014/01/13 (Mon)

[760] あげる
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化け物でありたい
人を傷つけて笑えるように
フーガのごとく坦々と
人を傷つけて笑いたい
私の頭はタールの沼に
人を愛する肉がない
私の手は震え続けて
人を撫でることもできない
もういいや
夢で私を追い続けた影が
私を支配し隷属させようと
私にはもうどうでも
人間なんてみんなしんじゃえばいいんだよ

2014/01/11 (Sat)

[759] 無題
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パンを一口かじるだけが
あの子には永遠にも思える幸福で
世界の終わりがちらちらと
その背の向こうで顔を覗かせ
相対性理論を小バカにしたように
嘲笑うのです

私があなたを思うとき
星は木から木へと飛び回り
一番高い杉の天骨で
落っこちてしまうのです

明日友達に会うことが
あの子には一生分の幸福で
物語の終わりがもう
その次のページで待っていて
相対性理論は優しすぎたから
永遠にも思えるのです

2014/01/11 (Sat)

[758] 窓辺のミサ
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夜が明けるまで話をしようと
言えなかった僕は今じゃこんなだ
けどね神様
あなたも変わらない
僕と同じくらい悔やむ時があるだろう
どれだけ古い言葉や
優しい言葉を知ってても利かないこともあるだろ
死んだら雲の上に行けると言ってよ
生まれ変わるのはここじゃない場所がいいよ
夜が明けたらこの話はやめよう
信じられないことまで信じちゃうから
けどね神様
明日も変わらない
当たり前があの人に訪れると信じてる

2014/01/08 (Wed)
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