詩人:さみだれ | [投票][編集] |
青色を知りたいのに
きみはだまったまま
パラソルを広げて
僕を呼んでいる
名前なんて無意味だ
ぼくはまだ真っ白な
君を呼んでいる
どんな心音で
宇宙になりたい
そのてをつつみたい
星を数えながら
きみは眩しく放った
赤色は寂しいな
ぼくはまだだまったまま
跳ね上がる胸を
波に覆って
きみを読んで
ひとりきり
燃えて尽きそうな
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等しく生きるには言葉が必要で
私には当然それがない
私には言葉が必要で
あなたにはそれがない
正しさの奥に
雨が吹きざらし
沈黙も失われ
ただ自分のための嘘を
本心を?
王様は家来を殺し
誇らしげに笑う
私は他人を殺し
生きていると謳う
心をください
ただ等しく生きるために
私を見た、違うことなく
見てほしい
ここにあるものを
私が叫ぶ
ひたすら醜いものを
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彼を殺した
言葉の海に溺れてもがく
その姿を尻目に
あなたはあるいていく
私はひとり
この世界から抜けて出て
巡るべき輪廻に
身を預けようとする
勇敢であるといえるか
逃避だと笑うか
彼を殺した
その人を見ずして
私はひとり
彼を妬んだ
死にいくさまが
そのほほ紅に
手を添えてやりたい
そして殺したい
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虹色の輪郭に目を輝かせて
ふたりは夜の街の上
手をとり回りながら
滑るように 鳥のように
離れていく 営みの音、光、遠く
夢を見る
虹色の輪のもと
ふたりは夜を追い越して
たどり着く暁闇を前に眠るだろう
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世界はひとつじゃない
私はひとつじゃない
だからあなたはそこにいて
そんな風に笑うんだ
ごめんね
なんにもできなくて
まだイキテイルナラ
ふたりで笑おう
ひとつになって
世界にとけよう
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声にならない叫びが言葉だと知った
夢の夜
雨の中の人は何を見ていただろう
それは僕じゃなくて
僕が拒んだ他人だったのだろう
夢の終わり
声もでない静寂とともに
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息もできない時間の海
白い光の泡
海底都市は寝静まったまま
君とひとりぼっちでたゆたう
握る手もない時間の海
一際輝く大きな泡
うねりをあげる潮の中
穏やかに待ち続けている
本当はとてもさみしくて
溺れてしまいたいのに
本当にずっとそばにいたくて
手を伸ばしてみたんだよ
呼吸を覚えた途端
輝く光の泡を追って
足掻いて見つけた夜は
君とひとりぼっちで泣いた
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言葉を持たないままでいられたら
あの女の子はあんなに泣きはしなかっただろう
感情を持たないままでいられたら
きっと世界はこんなに美しくはなかった
私が人であり続けるために
泣いてみればいいのだろうか
私が人であり続けるために
高いところから見える限りの世界を見ようか
そうして知った心は
糸のように細くて
まっすぐに暗闇の向こうまで伸びて
それが唯一無二の
私だけの形だと知って
ようやく生きることができる
言葉を持つことができたから
あの男の子は泣きながら謝ったんだ
感情を持つことが嬉しかったから
ずっと世界は美しくあり続けるんだ
その心を抱きしめていたい
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ただひとり
私は誰を愛する?
脳にマグマが
あの子を溶かす
幸せな事象を
忘れたままに
神様に
すがる豊かなもの
妬ましく
斧を振り割った
ただひとり
彼女は誰?
閉じ込めて
笑うのは誰?
私は信じる
愛の尊さを
幸せになるための
孤独な目論見を
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世界が変わるよりも
花が咲くことを喜んでいる
息をしている今を
忘れるほど君を見ている
拙い言葉を海に放とう
浮いてきた言葉を掬い上げよう
そこから選んだものだけで
僕だけの船にしよう
世界が終わるよりも
生まれる奇跡を思っている
声に出せるだろうか
目の前で笑う君を見ている
やわらかい気持ちだけを
両の手のひらに包んだなら
あけ渡す瞬間だけを
二人の世界にしよう