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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[745] アウラ
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綿毛の中に
小さな家を
白いドアを開けて
お茶を飲みましょう
青いポットから
ピンクのカップへと
今朝の露で淹れた
紅茶を一口

地球は背を持たない
向かい合って語る
昨日の辛さ
今日の儚さ
明日の尊さを延々と

窓辺の花に
あなたはたどり着く
赤い花びらへ
さあ 眠りに行きましょう
琥珀の石畳を抜け
緑のトンネルをくぐり
やがてこの旅は終わり
その次へと日を跨ぐ

地球は腹を持たない
すべて教えてくれる
昨日の拙さ
今日の素直さ
明日の喜びをずっと

2013/12/02 (Mon)

[744] ラピスラズリ
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記憶がずっとあれば
私は優しさを忘れずに
あなたの顔を 声を 仕草を
話した言葉を忘れず

それでも人は忘れなきゃいけない
思い出を大切にするなら
あなたの優しさを 涙を 喜びを
話したかった言葉を大切にするなら

心のどこかにずっとあった
私の淡い恋心に
あなたの名前を それだけを いつでも
好きだった気持ちと眠らせてあげよう

2013/11/30 (Sat)

[743] モグラ心理
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病室の窓から入り込む風が
カーテンを揺らす
彼の手には詩集があり
次のページはなかった
彼はそのことに気付かないふりをし
同じ詩の同じ終わりを読み続けた

裁判長は決めなければならない
彼の者の罪の重さを
自分を正当化するための算段を何度もした
間違った決断をしたときのために
誰もが納得するだろうか
正当化が下手な言い訳にならぬように
裁判長は何度も繰り返し考えた

それでも人は変わらない
絶対的な流れの中にあって
変えられずに溺れている
それは自己陶酔の意でもあり
現実的な意でもある


2013/11/29 (Fri)

[742] スープ
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波がさらうのは
あなたの浮き足立った心
人間てね
翼を持つと醜くなるんだよ
だから飛べないように
波がさらうの
無様に溺れるあなたを
魚たちはクスクス笑ってる

世に想われなかった?
ちゃんと想われているから
歩くことを出来たのです
今はそれを素晴らしいと感じるとき
満足して眠りたいなら
地獄の峠を越えてからになさい

2013/11/27 (Wed)

[741] 凪ぎを知らない海
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ある夜
人よりも悲しみ
あなたは涙を流した
あなたの涙だけが一人歩きして
この海は広く大らかなのでしょう

何万年もかけて
人よりも強かに
あなたは優しさを殺した
その優しさが生まれ変わって
この山は大きく包むのでしょう

1パーセクの思い出を
人よりも大事に
あなたは心にしまう
決して落っこちて会うことはなくて
この星は近づくこともしなくて

時が過ぎれば
人ひとりいなくなり
あなたは微睡むように在った
あなたの時間だけが一人歩きして
今も世界は続いていることでしょう

2013/11/20 (Wed)

[740] バベル
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朧に霞む
虚構世界を
あなたは真っ白に見ている
私は赤
突き刺して突き放す影
とんでもない悪疾よ
道理にならないならば
真っ白に見える目を
ストライプの愉快な町で
見えぬ現をぼんやりと
心のない者のように
口をあんぐり眺めていなさい

千差万別
虚構世界を
優雅に過ごすためにこそ
優しさを
突き刺して頬張るべきで
しかしそれも悪疾よ
目に見えて然るべきものが
朧に霞む
あなたの白が
また青を飲み込み
満足そうに眠る様を
私はうっとり見ているのだから
これはきっと夢に違いない
”安堵した寝顔に
口をあんぐり開けて
心ないもの眺めていなさい”

2013/11/13 (Wed)

[739] フォレストガーデンの秋
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私は朽ちた
いかに取り繕うとも
その芯は…

枯れ葉ほど美しい死に様はない

野焼きにされるほど清々しいものはない

食われようと
踏み潰されようと

誰かひとりのためにはなろう


朽ちて失われ行くときに何がある

記憶をたどることしかしなくなれば

それはもう生きているとは言えないじゃないか


某が頬を掠めるも
私は見ていない
ただぽろぽろと思い出をこぼすだけで

2013/11/09 (Sat)

[738] 虹の羽
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ある日

空から羽が落ちてきました

その羽は最初青い色をしていましたが

僕の手に乗るとピンク色になりました

きれいだなぁと思った僕はお母さんに見せました

お母さんが手に取るとオレンジ色になりました

楽しくなって外へ出て友達に会いに行きました

その途中で出会った猫に羽を乗せてみると

昨日みた月の色になりました

今度は田んぼのカエルに乗せてみると

やっぱり緑色になりました

羽をメガネみたいにすると

くるくるころころ忙しそうに色が回ります


そうしているといつの間にか友達の家につきました

きれいな羽があるんだよ!

僕がそういうと友達は家から飛び出してきました

羽を友達の手にのせてあげると

羽は白い羽になり

ふっ、と風にさらわれました

2013/11/09 (Sat)

[737] そよ風
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いつも感じていた
暖かな日差しに
並木のそばを歩く
あなたの足音を

どこかで思っていた
涙の流れる頬に
冷たく触れてくる
あなたの手のひらを

青い空を歩いていた
そう思っていた
だけどそれはあなたが見ていた
夢の続き

いつも感じていた
凛とした月の光
思えば照らしてくれる
あなたと繋いだ手を

時は風と共に
過ぎ去るばかり
変わり続ける景色に
今日を感じている
あなたがくれた幸せも
その微笑みも
そばにたゆたう風に

2013/10/27 (Sun)

[736] ラクリモサ
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神様がついた嘘を真に受け
私は一生を棒にふる
時計が進む音を聞いて
”世界はいつまで続くのだろう”
追われる朝も追う夜も
どこかで途切れていれば
そんなところに君はいるのだろう

地面を歩け、と押さえつけられ
誰もが一生を歩いた
遠くへ行けば何かが変わる
”世界はどこまで続くのだろう”
優しい母も無口な父も
ずっと歩いているけど
いつも振り向いてこの手を取るけど

神様が話した昔の思い出は
とても寂しかったと覚えてる
時間が戻らない音を聞いて
”世界はどれだけ進んだのだろう
どれだけ泣いて辛い思いを抱えてここまで来たのだろう”
そよ風が葉を揺らす木漏れ日の中
星たちが集まり歌い出す夢の中
どこかで途切れていれば
そんなところに私は行くのだろう

2013/10/24 (Thu)
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