詩人:さみだれ | [投票][編集] |
これは眠りの前の戯言に過ぎない
私の心の醜さである
三日月踊る夜の散歩
地面のわからない気持ち
歩く速度も
これまでの距離もわからず
答えを欲しがる人の業
それが満ちて星は落ち
夜は誰の目からも逃げて
私はアルゴリズムを呪う
三日月いよいよ静かになれば
眠る世の拙い歩みを知り
私の心の醜さを
あれよこれよと掘り出しなから
満ちていく
汚さを誇るか
クソヤロウ
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時は残酷ね、と言う人
忘れてしまった恋を嘆いたり
二度と見られない夕焼けを探したり
百年生きたとして
同じくらい誰かが生きていればと
小さな団地の公園で
ため息まじりに呟いた
この苦しみがあと何十年も続くのかしら
君が今何を見ているか
僕にはちっともわからないよ
君が泣いていたって寄り添えないよ
天井に手を伸ばしても伝わらない
この心をずっと
時は残酷だ、と誰かが言う
声が届かない宇宙に向けて
思いの丈を答えにしたって
世界は形を変えないくせに
百年かけて届いた光はもう曲がりくねって
君にもわからないだろう
これが僕なんだと気づいちゃくれないだろう
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私の耳が聞こえなくなっても
あなたの音は目に聞こえる
私の目が見えなくなっても
あなたの顔は耳に見える
うっかり飲み込んだ色が
まっ平らに広がるのは怖いけれど
今はまだ触れていよう
君のにおいの丸い角に
あなたの姿が見えなくなっても
音はずっと忘れない
それは月によく似た音で
雨のように降り注ぐ
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月のうさぎに手を振り
私は旅に出た
たくさんの暗黒物質に
私の心はズタズタに引き裂かれる
アンドロメダの入り口をくぐる頃には
私は無機質なものに成り果てていた
(それでも…)と思う部分にヒビが入っている
クェーサーはまだあんなにも遠いのに
もし宇宙が私たちの妄想なら
果てなんてないほうがいいんだ
もし私たちの心があるなら
いや
ないほうがいいんだ
(それでも…)と思う部分に語りかける
クオリアの純粋を信じて?
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猫ニャーニャー
ゴロゴロ
この手が怖いのはお前だけじゃないよ
スリスリ
痛くないのか凄いなお前は
ニャー
くれてやるものがないんだよ
ゴロゴロ
ごめんよ
カリカリ
痛くないよ
カリカリ
痛くない
ニャーニャー
もう行きなよ
ゴロゴロ
ここには何にもないよ
スリスリ
俺はお前になにもしてやれないよ
スリスリ
ゴロゴロ
この手が怖いのはお前だけじゃないよ
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世界を半分にした片割れに
僕がいるのだとしたら
もう半分の世界には
僕はいないんだね
どんなに遠く地平線が広がっていても
そこから先へは行けないんだね
世界が僕の知ってるような
丸いものだっていうなら
どんなに遠くへ行ったって
ここに戻ってくるんだね
私はね
そんな世界は嫌
どんなに遠く歩き続けても
振り返れば別の景色で
そうやってずっとずっと歩いて
あなたに会いたいの
世界が折り重なるようにして”世界”があり
僕がそれに気付いていないなら
もうひとつの世界は
存在しないことになる
誰ひとりとして気付かなかったら
とてもさみしいことだと思う
世界が僕の知らないとこで
変わっているなら
どんなに遠く水平線が広がっていても
そこから先はわからないんだね
あなたひとりが信じるだけで
存在していける
そう信じようよ
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軽やかな羽毛の枕さ
捕まえられないくらい
指先を撫でるだけ
お堅い石の枕で
いい夢なんて見れるもんか
柔らかく包んでくれよ
うんと高く飛んでくれよ
地球にしがみついて生きてる
”ここじゃなきゃ生きていけない!”
そんな気持ちはチェストに仕舞って
宇宙の片隅でひとりきり
”こんなところでも生きてやる!”
そんな気持ちは羽毛の枕がさらったよ
夢でも見なきゃやってられない
今夜だって見てやるぜ
ロボットに乗った僕も
泣きじゃくる僕だって
目が覚めればもう見つからない
全部羽毛の枕がどっか連れ去ったんだ
柔らかく包み込んで
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君が好きだ
涙が出るくらい
暗くなるくらいに
この日の気持ちが
出掛ける前に
帰ってくる頃に
どうか神様
時間を止めて
背中をとんと押して
君の頬が
染まるくらい
甘い言葉を選ぼう
この月が
見えないくらい
遠く離れても
君が好きだ
涙が出る今を
忘れないように
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暗い森に置いてきた
誰かのために生きる決意
カラスの鳴き声を背に受けて
歩いていかなくちゃ
誰かを愛することもない
グラスの氷は溶けていく
泣いているのか
嬉しいのか
わからないままに
声をかけても
ここにはいない
あなたひとりが欠けた宇宙
暗い孤独の海に漂う
誰かを思う心ばかりが
光をもたず歩いている