詩人:さみだれ | [投票][編集] |
目を逸らしたくなる行いが
正しいことなら
自然なことなら許せたの?
耳を塞いでも響く声が
笑っていても
押し殺しても聞こえる
僕は絶対平気じゃないよ
けど動けやしない
手を伸ばしても届かないのにって
君が見てる世界全部が
美しいなら
壊れないなら許せるの?
君がうたう歌に世界が
笑っていても
知らんぷりでも聞きたい
僕は絶対正気じゃないよ
けど戻れやしない
手を伸ばしても届かないのに
さあ幸先の悪いこの”僕”を導く
最後の文句を絞り出せ
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浜辺で波の音を聞いているような
木漏れ日に目を細めているような
エデンの園は幸せの檻で
この心はひどく静かで
魂はまだそこにいる
明日のことも
昨日のことも忘れ
ここにいたいと思う
駆け出した軽い足のように
好きなものを手にしたように
喜ぶときにはいつも
時間なんて忘れて
明日のことが
昨日のことが
なにもかも奪うけれど
ここにいた心だけは
在り続けるから
幸せの檻を出ても
幸せになれると言い
あなたと私は歩いていきました
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千の言霊よりも
耐え難い思慕
夕焼けこそあれど
落日はない
この視覚に訴える
尊きあなたの幻さながら
口にすることもない
忘れた名前とも似つく
億万の言霊よりも
失い難い幸福
白む空に凛と佇む
遠き日の終わり
やがて没す
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精神が離別
肉体は可哀想
その感情の起点
空虚な私の何
種がなければ花は咲かず
種とは私
私は精神を失った
にも関わらず肉体が可哀想に思える
可哀想、可哀想ね
篭の外からの声
可哀想ねって言ってる
それは見ているだけの目
見つめるでも睨むでもなく
ただの石ころ
私も同じように見ているなら
私は石ころ
芽の出る邪魔をしている
そうして這い上がった目は
歪な形で笑える
色も変だし
項垂れてるし
可哀想、可哀想ね
精神が離別した私は
何を蔑むのだろう
ただ生まれたという価値しか持たない傍観者共は
何を哀れんでいるのだろう
離別した精神は
肉体を愛するくせに
離別した肉体は
精神を嫌うくせに
この篭の中には
大した哲学はないのに
私は無機質で
空虚でなければならないのに
この感情はいつ形を成し
どこから始まったのだろうか
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汗くさいシャツ洗って
ほどよくほつれた体
気持ちまでどっか行ってしまわないように
トロピカルサイダー
朝には濁ってしまう
よくない背景の次は
つまらない博愛主義
絶対零度の夜
何万光年の持久走
コースがわからなくなってしまわないように
足りないね
切っ先鋭いアウトサイダー
錆びてるくせに泣く
泣くくせによく切れる
湿っぽいシャツ着て
くたびれた肩を回す
気持ちまで振りほどいてしまわないように
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しゃがんで拾った
お月様の手
嫌だ、嫌だと拒んだ
その手を拾った
友達がほしいの?
いらない、つまらないもん
ひとりでヒーローごっこ?
見つからないように
こっそりと
見上げて思った
お腹が空いたね
カレー、ハンバーグ、お寿司
何が食べたかったんだろう
後ろにひっついた
お日様の背中
嫌だ、嫌だと泣いた
その背中はあったかくて
窓の隙間にはまだ
昨日の夢が詰まってる
眠らなきゃいけない
そうじゃなくて
まだ、まだ見ていたい
お月様の手
力一杯握ってる
どこにもいかないよ
それでも黙って握ってる
半べそかいて握ってる
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あなたは手を取って
僕はその手を今もまだ握ってる
ここにいる?
なぜあなたの寝息も
青い月明かりも無いのだろう
世界は希望に溢れて
可能性なんてどこにでもあるのに
僕のことだって見えてるはずなのに
気が付けば
あなたは手を離して
ここにいない?
その声が聞こえなくなり
その言葉を忘れられずに
私は背を向けて
みんなの輪を離れて
眠りにつく
あなたは幸せだった
僕は終わらないと思った
ここにいる
当たり前や常識が
永遠を否定する世界において
なお当たり前や常識を唱うのであれば
永遠なんてものは生まれない
僕もあなたも終わったんだ
青い夜に
ふと隣を見る
ここにいない
その白い頬が星の色に染まる
起きてほしいとつつく指先は宙をさ迷い
ただ私だけがここにいる
やがて朝がきて
夢を忘れて
そうやって生きていくことが当たり前なら
私は永遠だ
ずっと一緒にいよう
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机の角に積んでる
私たちが苦しまないように
有限だから心配ない、と
あなたは言っていた
世界の美しさは引き出しの奥?
それが嫌でよく泣いていた
有限なのに… 有限なのに!!
あなたはさみしそうな顔をした
何を見ているんですか?
この心を解き明かしてよ!と
私に期待しているんですか?
なぜ悪いことや惨たらしいことが
私たちの目に見えるところにあるのか
なぜ幸せや良いことが
目に見えないようになったのか
有限なら
いつか無くなるなら
いつか無くなるから!
それがさみしいと思えるものを
見ていたいと思う
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この心を例える事象はない
あなたを思うときに夜の闇があって
この心なんて怖くて歩けない
美しいものが見えない
この詩だって光をなくし
もう二度と会えないと
言われてるような
涙が溜まっても落ちない
この目にはもう残ってないのか
手を伸ばしても何にもつかめない
この影がちょっとでも伸びたなら
まだ少し勇気があれば
この夜なんて眠れなくなるのに
どれだけあなたを思っても
この心が歌ってはくれなくて
”それでも”とまだ
あなたに言われてるような
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何にもないのに
あなたはいたから
守られてきたんだって
なんだか情けなくなって
二度と聞くことのない声も
一度きりの言葉も
全部
あなたは与えていたんだ
こんな僕に
生きることが
ただ生きていくことが
あなたに与えられる言葉に代わる
悲しいと
寂しいと言えるから
ちゃんとあなたに応えてるから
どうか
ずっと一緒にいてほしい
もう手を繋ぐことはないのに
あなたはいつも寄り添ってくれた
そのあたたかさがあるから
僕はまだ