詩人:さみだれ | [投票][編集] |
優しい存在が私を殺す
無性に嬉しくて堪らない
まだ見ぬ希望?
遠くはないだろうね
僕は背中を無くしたんだ
羽だって生えやしないよ
飛ぶことさえままならないけれど
可能性ならまだあるさ!
たちまちそうなる話じゃない
つまり夢
滑稽な作り物
いざないたまえ〜
ここにいるよっ
それは優しい優しい
愛されなきゃいけないモノ
おいでませ!
ここですよ
影の懐に飛び込みなさい?
愛されて疲れちゃうわ
だったらねぇ
ここにきなよ…
腹一杯ご馳走するよ
素晴らしい価値観
安心の命
低価格の満足をあなたに!
それは優しい優しい
愛されて当たり前のモノ
(よくできた擬態とは違うわ)
願うなら好きになさい
ほ〜ら早く早く!
始まるなら唐突がいいのかな?
そう思うならさぁ
ここにきなよ…
三日月なんて
すごいとんがってるよ
思い出だって待ち兼ねてるよ!
なんてったって
優しいんだから
ぐずぐずしてないで
ね
私が天秤を揺らしたから
世界は暗転してしまい
みんな夜の底に身をおいたのです
彼が座標に示したから
世界は居場所をなくし
みんな宙を漂うのです
君が手紙を寄越したから
世界は言葉を失い
みんなひとりになったのです
彼女が死を見詰めたから
世界は動かなくなり
みんな道に迷うのです
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難しいことを考える時間は終わりました
私は青い空がなぜ青いのかを考えるのではなく
ただ青い空を飛んでいる鳥を眺めます
私が神様然としていても私はやはり神様ではないので
人間に落ち着こうかなと思います
恋の楽しさをあらゆるものに例えられる感性を
人生に疲れないためにも
養っていきたいものですが
何せ歯痒い思いなどもう勘弁願いたいのです
大の字に寝転がることすらできないのであれば
人間というものはひどく敏感になりすぎたのではないでしょうか
しかし世界にひとりきりというわけではないので
どうしても窮屈に思えるのが世の不便です
とっても面倒なのです
私たちは公平に陣取りすらできないのでしょうか
あるひとつの天体が役目を終えました
奇跡の星と称され大切にされてきたはずのその天体は
今ではメタンや炭素が綺麗に畳まれた布団のように重なりあい
とても苦しそうに息をしていました
不気味な大気が地表を覆い隠し
衛星は見限りました
支配者は誰でしょうか
私は顔も名前も知りませんが
ここにいてもいいのでしょうか
ただ与えられたものを手に取り
与え続けていますが
この果てなき茶番をどこで終え
そしてその後には何が残るのでしょうか
人間らしく考えることすら空しく思えてきたのです
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あなたを思う日に
あなたが幸せなら
私は毎日
あなたを思っているから
安心してください
魂がぽろっと落ちて
私の目が一切光をうつさなくても
心のどこか知らないところで
あなたを思っています
生や死など放ってしまって
それでもあなたが幸せならば
私はいいのです
しかし
私は生きなくてはなりません
いいえ
私は生きたいのです
何よりあなたのそばで
あなたの幸せを共に感じたいのです
不規則な風に身を踊らせても
あなたの心にはおよそ近づくことはできません
生真面目な音に付き従っても
あなたの心など離れていくばかり
私が生きるのは
不鮮明な湖のほとり
月影の目になりながら
あなたを思っています
それは今日であり
昨日までと
そしてこれからでしょう
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真っ平らな世界に生まれたかったね
静かな海に溺れたかったね
孤独は嫌だと言いたかったね
半月の兎は餅をついてはいなくって
ただうなだれているだけなんだよ
なら僕は!
そう思う気持ちばかりが寂しくて
死にそうだ と
あなたは希望ばかり歌って
僕はそれが妬ましいと嘆く
あなたは愛されて!
僕は愛されていないと
しくしくと雨が降るそばで
楽しそうに笑って
ターンを決めるなら
僕は傘の中にあなたを入れて
帰ろうって誘うけれど
僕にはもう希望なんて!
そう言えば
あなたは楽しい詩を書いてくれるだろうか
ただこの孤独だけが
空梅雨の夜に乗っかって
僕みたいな人を拐っていく
約束だよ♪
楽しそうに話すあなたに
僕は声をつまらせて
”悲しみは有限でなければならない!”
あなたを愛する気持ちが
化石となって
何万年…何億年…
ぼろぼろになっても
あり続けることを誓う
僕はシロウサギだ!
この夜にうまい餅をご馳走する
そして五月雨だ
永遠の憂鬱を流してやる
そしてあなたへ
おやすみなさい
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俺は帰りたいだけだ
月や海でもない
あなたのもとに
夜の中を
駆けていって
あなたの体を抱き締めて
それが世界の何であれ
あなたを愛していることに変わりはない
けれどこの目はもう開けていられないし
足だってあがらない
だからこうして
あなたを思いながら詩を書き
夢に期待するんだ
青い部屋に
あなたの枕元に
俺の心がほんの少しでも残っていれば
難しい言葉が必要じゃない詩は
この一編のみ
あなたを思う詩は
たくさんあるのに
帰り道がまだ見つからない
この詩の行方も
今日の夢のことも
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世界を呪い歌う人魚が
苦しんでいるのはなぜなの?
話もできない木のことが
気になる彼はおかしいの?
恋人が離れていく夕べが
忘れられないならどうするの?
身近にあるものを放り投げた
彼女の手には何が残るの?
場違いな白蛇が
居場所を見つけられないのはなぜなの?
有意義な時間に満足した
彼の生き方に無駄はなかったの?
愛するものを探す宇宙人は
今何をしているの?
絶対に終わらない王政が
廃れたのはなぜなの?
気持ちの奥底には
一体何が潜んでいるの?
ありきたりな話を好むのは
いけないことなの?
優しくしていれば
寄り添ってくれるの?
不名誉な死を遂げた
あの老人には会っちゃいけないの?
雄弁に語るのは
傷つきたくないからなの?
滞る時間にすら
満足しないのはなぜなの?
頑なに守ってきたものが
失われた少年の末路はどこ?
新しいものに惹かれた
ゴブリンの思い出はなくなったの?
夢に閉じ込められた
妖精の遊び場を奪ったのは誰なの?
いつか死ぬ運命に諦めた
私の目を見たくないのはなぜ?
必ず幸せになるなら
彼の目に流れるそれは何?
それでもなお世界を呪い歌う人魚が
泣いているのに
私の詩は不愉快になるばかりで
その歌を満足に歌うことも
もうやめた
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眠る前に
語りかけてくるそれは
猟奇的で
人間がもつ喜びや幸せとは
縁遠いものでした
彼は
脳を支配する
その機会をうかがい
監視しています
科学ではどうすることもできません
そして
それは他人の認識をもたず
またもたれないので
やはりどうすることもできません
かなしいことに
彼は人格へ干渉をはじめ
こころを爪で掻きます
カリカリ、カリカリ
そして
こころはみすぼらしい色をした
いびつな形へと変わることでしょうね
楽な道を
唯一挙げるなら
この身のすべてをあげよう
そう思うこころに
またつめをたてて
飽きないのだろうか
絶対の理性なんてないのよ
きえるべきはさ
彼じゃない
君たち
ここを彼にあげて
消えるべきなのですよ
たまには
自己を見違うくらい
いいでしょうに
世界のすべてを
憶測で語り
彼を忘れることが
低俗であるならば
やはり
暗いもりのなかを
手探りであるくように
やばんで
物知らずのほうが
幸せなのでしょうか
では
彼はなぜ
脳を支配する
狂気に至ったか
いい加減に気付かなくては
というより
認めなくては
それは全て
一切合切
何もかも
私の望みであり
あなたたちの最終進化であり
人類のもつ理性なのです
さて
眠る前に
語りかけてくるそれは
一体いつ
この腕を得るのでしょうか
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”愛してよ!!”
と
叫ぶ理由を
ここに置いておきます
それから
望むことをいくつか
向こうへ投げておきます
必要な努力を
懐にしまって
熱いアスファルトを
睨み付けます
いざ行かん!
色彩の方舟!
北へと進め!
やがて冷たい雨が
髪や肩を濡らし
目を開けるのもやっとの思いで
後ろを振り向きます
かつて天使と呼ばれた生命が
雨雲の向こうで顔をのぞかせ
とてもさみしそうにこちらを見ています
”さようなら”
と
手を振るそばで
いびきをかく賢人
航路は長いと
聞かされていたから
だから
私たちは
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ほんの少し
勇気があれば
大好きなあなたが
幸せになれたなら
ほんの少し
自信があれば
優しいあなたが
報われるなら
こんなに
あなたを考えることが
あなたに触れて
弾けたなら
ほんの少し
希望を抱いて
大好きなあなたと
幸せになれたなら
きっと
悪い人や
悪いことが
あなたを傷つけるけれど
ほんの少し
勇気があるから
大好きなあなたを
守るから
それは
夜を飛ぶ鳥のように
不確かな
星に向けての願い
見えないのに
ちゃんとわかるのが
あなたの影
その瞬き
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ウサギの耳を
子供たちは引っ張って
それはそれは楽しそうに笑っている
浮かない顔の
彼女の隣に
紳士はニタニタと笑い近づいて
肝心の主役は
隅の柱にもたれて
うつむいている
白いクロス
染みになったジュースを
名残惜しそうに見つめる
テラスには
罪人が頬杖ついて
夜の闇を気だるそうに見つめる
音楽は誰の耳にも届かず
ただ空気中に消えていくだけ
真っ赤なドレスは被っていた
特別なのは誰なのか
ウサギの耳は
たくさん汚れて
今はテーブルの下に
シャンデリアを
落とそうと企む執事も
今は招待客を見守っている
恋人は
背中を出して
男たちをたぶらかす
肝心の主役は
相変わらず隅の方で
暗く塞ぎこむ
世界の終わりを知らせる
鐘の音が聞こえる
それでもパーティーは続いた
誰かが帰るまで
世界は終わらなかった