詩人:さみだれ | [投票][編集] |
それは連続して
我を強調するもの
それは逸脱して
常識をすり替えるもの
それは最も怠惰するもの
最も矛盾されるもの
滑稽なのは
許容量があまりにも小さいこと
そして気づいていないこと
何者にも当てはまること
何者にも染められないもの
何者にも信じられることが
何者にも伝わらないこと
それは音の響きを伴い
無意識の海を泳ぐもの
それは諧謔を交え
愚弄する哀れなもの
それはいつか消える
雲のように絶えず形を変え
何者にも触れられるもの
知り得ないものを思うもの
慢性化した不条理にも
優しい響きが見えかくれする
そんなもの
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私がここにいることが
私の気持ちのあらわれです
決して楽ではありません
しかし重たくも暗くもないのです
君がさ迷う夢の話を
無意識に思い出すとき
それが雨音とともに
私の心の小さく開かれた隙間へ
ふっ、と現れる
なぜかは知りませんが
私はそれを大事に抱え
決して離してはいけない!
そう感じるのです
私の心には絶えず雨が降ります
あなた方は雨を"悲しい"と思うでしょうね
または"楽しい"と感じるのでしょうか
私の心には雨が降ります
とても短い
けれど永遠にも思えるそれが
愛おしいのでしょうね
きっと
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"帰りましょう
私のふるさと
無機質な匂い
太陽のまだ遠い
私のふるさと
帰りましょう
幸せなんて
ありはしないのだから
ただひとつ仰ぐ
生命体の原初
そのままに
歩けば遠いけれど
決してたどり着けないわけではない
帰りましょう
私のふるさと
魂の寝床へ"
やわらかい布団
どこまでも沈んでゆき
頑なな意思は
重くのしかかる
派手な色をした概念
彼らは好んで身につけた
淡い気持ちには
濃い味つけをした
臨場感のある正義
神の悪意
なんでもないことを
輪郭や色をつけて楽しんだ
それは神話作り
宇宙が膨張しているなら
それに比例して
彼らの持論も膨張している
不可視すら
彼らは信じなくなった
「ねぇ
見てごらんよ
こんなにも素晴らしいものを
僕たちは見つけたんだよ
それだけでも価値があるんだけどね
羽があれば
きっともっとよかっただろうね
簡単な話だ
僕たちはもう
帰らなきゃいけない
だから歩いていかなくちゃね」
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家の前の道路を
昨日の夜 宇宙人が手をあげて渡っていた
そんな事があったとしても
私はいつも通りに目を覚まして
顔を洗いコンタクトを入れるよ
その時 玄関の前で
妖精が派手に転んだとしても
私は今日の運勢を見て
どうでもよさそうにしながらも気にして
ラッキーカラーを探すよ
昨日の夜 宇宙人が手をあげて渡っていた
家の前の道路を
車が走っていく
私は歩道を少し急ぎ足で歩く
ビルの15階の窓に幽霊が映る
そんな高いところに目線がいかないのは
もうすっかり大人になったってことかな
後ろを追いかけてくる妖精の足音が
聞こえない騒がしさ
私は当たり前に未来人のそばをすれ違い
当たり前に異世界人をよけて
今こうしてるときにも
屋根の上にはUFOが降りているのかもしれないのに
見えないんだ
それがとても悲しいことだとわからないんだ
家の前の道路を
宇宙人が手をあげて渡っている
車なんて一台も来ちゃいないのにね
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なんにもない夕暮れに
突き刺してくれ
反転する僕の世界が
君の世界に変わる
突然夜が来なくなって
眠れなくなって
夢のない僕の瞼が
君を見ることはなく
病めることのない朝なら
それもいいけど
君を思うさみしさが
僕の心を離れる
なんにもない夕暮れに
別れを告げて
あるはずない僕の世界が
君の世界だと知る
喜びばかり溢れる夜
眠れなくなって
夢のない僕の暗がりに
君を見ることはなく
魔法の過ぎたいたずらか
反転する世界
君の世界に変わる
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恍惚は行き場を探して
探しながら安定を失い
よく人を傷つけているね
脳の中のつまらないものが
つまらないものを狙って
追い回しているね
単独ではそれができない
世界とか狭すぎて人なんてはみ出ている今
できないことを望んでるね
宇宙の外側にいるのは
当然私ではないから
私は世界の内にいて
できることを増やしていくよ
あなただって当然
宇宙の内側にいるのだから
できることを見つけてね
暖かいものではないよ
ひどく冷たい話だけれど
あなたの手は
今目の前のカップを取るだけで
精一杯なのだから
諦めているのは
私のような人間の手を
取れないあなたの心
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止んでね夜は
暗くなるから
布団の中まで
冷たくなるね
僕は寝言を
よく言うけれど
君の耳まで
届かないよう
壁に向かって
夢を見るよ
甘えん坊の
雨のコ呼んで
布団の中まで
冷たくなるよ
そしたら少し
涙ぐんでね
朝まで君の
背にくっついて
雨のコの声
しなくなってね
太陽がとても
いたずら好きで
僕の布団を
取っちゃったんだ
だから夜は
止んでね夜は
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詩って難しいね
胸のうちをさらけ出せば
性格なんかを否定されて
ありもしない理想を見れば
逃げていると罵倒されて
音調よく韻を踏めば
うまいうまいと誉められるけど
ただ長い語り口調は
詩として読んではもらえない
恋愛だけが人生ならば
その道を歩けばいいし
倦怠ばかりで満たされたなら
退廃主義を取り入れればいい
なのに詩ってうまくいかない
あなたの心の移ろうように
うまく捉える術がない
なのに詩って不思議だね
読んでもらえるものだから
読んで書くのが楽しいのだから
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ロボットは思う
”気にしてほしい”
基板の中で得た気持ち
焼けるような空
ロボットはいつも
あなたを気にしている
大事なネジが抜けていても
あなたへ向かう足だけは動く
けどね
ロボットは脆くて
ロボットは心を持たない
与えられた知識
焦げる基板
あなたを気にしているのに
手が動かなかったり
あなたが気にしてくれているのに
ありがとうって言えなかったり
だから
ロボットはいつも
あなたのそばにいて
与えられた知識でも
あなたのそばにいて
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ニンジンを食べられない女の子は
”食べるまで座ってなさい!”と叱られ
一時間後
涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔になりながら
ニンジンを食べた
ニンジンを食べられない女の子は
”食べるまで座ってなさい!!”と叱られ
一時間後
親の見ていないところで
ニンジンを捨てた
ニンジンを食べた女の子は
翌日から叱られる前にニンジンを食べるようになった
ニンジンを捨てた女の子は
翌日から冷蔵庫を漁りニンジンを捨てるようになった