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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[643] 死に至る道
詩人:さみだれ [投票][編集]

希望や理想などはよそに
死に至る道は続いている
その先から帰ってきたものはいない
だから誰も何も知らない
みな思い思いの歩幅で歩き
異なる時間を走っている
列も順番もない
だから誰も勝てない
何せ真っ暗な道なので
孤独に進むしかない
遺伝子レベルでの洗脳か
生命の宿命か
何も知らないうちは
何もできない
だからこうして
流されているのか
私の意思などはよそに

2013/01/19 (Sat)

[642] うつつ
詩人:さみだれ [投票][編集]

痩せた細い指が
月の輪郭をなぞる
その向こうにある星を
見定めるための望遠鏡か
夢との距離を測るつもりか
しかし指は すっと落ち
地面を指したまま
それっきり動かなくなった

あざといものは言う
彼の者の死は非常に残念であったと
それは世論であった
哀悼の言葉を
あらゆる人種の
あらゆる民族が口にした

丸々と太った指が
子供を殴り付ける
他人を顧みず助け合おうと言う
主体性とエゴイズムの狭間で
気持ちよさげに漂っている

彼の者の
痩せた細い指が
あなたの輪郭をなぞる
その奥で生きる心を
捉えるためのルーペか
可能性との時差を測るつもりか
しかし指は すっと落ち
もうあなたの前に上がることはなかった

2013/01/11 (Fri)

[641] たぶん二〇年後くらい
詩人:さみだれ [投票][編集]

例えば誰かが下手くそな恋の詩を書いたから
「これが詩なら」と下手くそな恋の詩を書く
その連鎖が今日にいたり
子供たちには歴史になる
小さな妥協が世界を変えるんだよ
あなたはそれでも下手くそであり続けるの?

流行り廃りのように
気まぐれなものならいいさ
固定された軸が
人の流れにはあって
その軸に羽がついたなら
もう諦めるしかないね

いつまた悪い種が出るかわからないから
土を殺したんだ
自己保身のためだけに
大勢の人が飢え死にしたよ
ねえ
いい種をちょうだいな

こう見えて落ち着いている
宇宙全体が
だから私たちのほんの小さな一歩が
些細なものに感じる
違うよ
宇宙には摩擦がないから
一歩がずっと続く
永遠なんてスケールになるかもしれない

こんなわけわからん詩も
明日には木星までいくよ

まだわかんない
行けたらいいね
いつか

2013/01/08 (Tue)

[640] 質問です
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どこをどう読めばそんな解釈になるのでしょうか

どこをどう読めばそんな意図に気付くのでしょうか

知ったかぶりはもうたくさんです

私はただ純粋に他者の不幸せを願っているだけです

祈祷ですよ

自己満足に通じるものでしょうか

どんな立派な建前も自己満足でしょう?

子供っぽくイタズラしますか

賢人っぽく厳かに?

どれほど読めば神様になれるでしょうか

私は無知です

およそ見当もつきません

2013/01/06 (Sun)

[639] そらのはなし
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すぅ、てさ
息を吸い込んだら
星間ガスが肺に溜まって
君の知らないところで星が生まれたよ
そっと目を開いたら
彗星が入り込んで
君の願いを聞くどころじゃなくって
これが理なんだ
君は涙を流しながら言う
メタンがこぼれ落ちる
僕のは一酸化炭素
もう
二度と会うことはない
って
君は
僕は
思った

バルジに行くまでの
長い時間
月の海を見ていた
君と僕が
まだ生物だった頃
よく月を眺めては
あれはウサギの耳だ
とか
あっちは静かの海ね
とか
そういった話をしていた
晴れた夜には
毛布を持ち寄って
飽きもせず一晩中眺めていた
僕はたまに君の方を盗み見ては
君と君の向こうに広がる数多の星ぼしに
慈愛のようなものを感じた
今でも
そのときの光景を思うと
幸福感で満たされる
やはり
君が好きだったんだ


ただ
ここには
君が思う幸せはないのだろう
喜びも悲しみも
すべてを背負うことができる
勇気も
無機質なスペクトルと化した
僕には


2013/01/05 (Sat)

[638] 銀河の面汚し
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ほんとうはね 君は火星からきた未来人なんだよ
「あの星がもうじき死ぬんだ」とか「あっちにブラックホールができてさ」とか
君は地球が水飴に包まれる未来から来たらしいね
木星ほどある巨大な箸で絡みとるんだ!
なんて言っても所詮無理な話だよ
地球の人ってさ
みーんな忙しいんだって
恋だのなんだのに人生の半分使ってさ
夢を見ることに残りの半分を使うの
残らない人生を後悔しても
その頃にはろくに体も動かせないし
ひとりでは何にもできなくなるんだ
地球が水飴に包まれたって
彼らには甘くもないし ベタベタでもない
水飴をどうすれば化粧や衣服にできるか
そんな会議で半世紀を費やすんだよ
ねぇ、火星からきた未来人ならさ
地球を爆発させられないの?
こんなくだらない星 壊さないと
バラバラにしてさ
よその星に分けてあげようよ
この木も この石も この海も この町も
地球にはもったいないからさ
お祭り騒ぎだね
あと何センチ 太陽に近づいたら
明るく輝いて、燃え尽きるんだろう?
あと何センチ 月に近づいたら
仲良く寄り添って、砕けるんだろう?
僕たちはあと何万年
こんな日々を続けるんだろう?
君たちはあと何万年
こんな日々に付き合うのだろう?
ねぇ、火星からきた未来人さん
いつ水飴に包まれるのかな?




2013/01/04 (Fri)

[637] spec-26.
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楽しいことや
踊り出すようなことが
あなたの心を
優しく撫でてくれたら
こんな命だって
軽く捨てられるのに

どうして
あなたとの間に
途方もない距離があるのだろう
新幹線や飛行機では
全然足りない
永遠に歩けるほど
長い命でもないし

あなたが目を丸くして
美しい景色に魅入っているなら
あなたが耳をすませて
りりん、と鳴る心に
うっとりとしているなら
こんな命なんて
いつだって捨てられるのに



2013/01/04 (Fri)

[636] グリーン
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傷つくのが怖いから
あなたは歩くことすらできない
周りは針の山
その向こうに何があるか
あなたはその目に映すこともできない
立っていられるという安心感に
あなたは溺れてしまい
血みどろになって這っていく人を
蔑むばかりの日々
あなたは知っているだろうか
あなた以外の心を
その奥行きを

あなたはなにもしていない
だから何も変わらないし
わからないんだ



2013/01/03 (Thu)

[635] 心の音
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私は
海を見下ろし
失った心の奥を
チリン、と鳴らすのです
海面を縫うように
光が揺れたり
魚がはねる度に
波紋が遠い国まで
誰かを運んでいるのだろう
そういう
背の高い
広い気持ちが
音を出しているのです
また
空では雲がもつれ合い
太陽を怒らせています
しかし
私はその一幕にすら
音を聞いている気がするのです

私たちが作り上げた概念が
なんの意味も持たないのが
時の流れと言うものでしょう
今吹く風が
声をかけてくれる
そんな心の音を
私たちも奏でましょうね


2013/01/02 (Wed)

[634] ルナリアン
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あなたは今夜
世界に一人きり
友達も恋人も家族も
いなくなった
あなたはさみしさのあまり
大声で叫ぶけれど
あなたのまわりには
光すら来てはくれない
あなたは唄を歌ったり
懐かしい記憶を辿ったりする
そして
それも空しいだけだと知り
ついに静かになった
すべての音が止み
視界も塞ぎ
動くこともやめた
そして最後の一粒が
空を濡らしたとき
あなたはどこか
遠いところへ歩いていくのだった

2012/12/27 (Thu)
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