詩人:さみだれ | [投票][編集] |
だんだんと遠ざかっていく
宇宙の始まりからゆっくりと
私の光は終わりに近づきつつも
燃えるような空の色を
保とうと頑張っていた
人である必要はなかった
何者でもよかった
ただ生きる夢を見ていたんだ
なんだっていいんだよ
限りあるなら終わろう
心なんて開け渡して
広がり続けるなら
ぎゅっと丸めて
庭に埋めてしまおう
やがて芽が出る
雨が降り 日が射す
少しだけ大きくなったら
空を見上げる
遠くて見えなくなった星を
なんとなく探す
風が吹き 季節が変わる
また少しだけ大きくなったら
君を探そう
遠くて見えなかった心を
露に映して
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遠く聞こえるよ
駆けてくる君の足音が
まだまだ影は見えないけど
確かに
転んでケガとかしてないかとか
ちゃんと野菜も食べてるかとか
まだまだ聞き足りないけど
もう行くよ
いつか聞かせてよ
あの子がどんな子だったか
いつでも思ってあげててよ
どうか
僕は遠いところで歩いてるよ
後ろに影を伸ばしてさ
たくさん歩いてきたんだよ
これから歩いていくんだよ
君はいつか思い出すだろう
こんな日の終わりを
きっと見つけてくれるだろう
僕の見ていた太陽を
どうか
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あなたの心に座り込む
孤独の虫が鳴いている
騒がしくて仕方ないな
追い出してしまいたい
雨の日は嫌い
歩く道がいつもより
狭く感じてしまう
ひとつ間違えば靴の中まで
冷たくなっちゃうから
あなたの心に映り込む
空の色が馴染んでいく
眩しくて仕方ないな
黒く塗りつぶしたい
歩くことに疲れはてて
喉が渇いたな、なんて思う
自販機まで歩ける力を
きっと隠し持ってるはず
あなたの心に詰まってる
あなた以外のたくさんを
たぐりよせたらもう大丈夫
僕だってひとりじゃない
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しっぽを踏まれた
とても痛かった
同じように痛い人がいた
踏んじゃったから
でも君は「だいじょうぶ」って言う
痛くないよって
とげのついたしっぽをつついて
「ぼくのからだはとってもかたいんだ」
そう笑っていた
仲良くなれるかな
傷つけないように
寄り添えるかな
君は「だいじょうぶ」って言う
こわくないよって
誰よりも怖がりな君が
誰よりもあったかかったんだ
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あなたの詩を書いて
私は生きる夢を見る
その中には他人がいて
やはりあなたはいなくて
あなたの詩を書いて
夜は瞬く間に過ぎる
その中には私がいて
やはりあなたはいなくて
私の意思は反映されない
おそらくどんな世界であろうと
あなたを求める声は足りない
私が万物の神であるならば
あなたをちゃんと作った?
あなたの詩を書いて
月は鳴りを潜める
手は届いてるかな
あなたのほうを向いてるかな
どんな世界であろうと
あなたを求める声を
生きる夢に私は放つ
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目に見えないものを
私は信じたい
あなたを疑う心を信じて
あなたを見つめたとき
その形や色や輝く様を
心に閉じ込めて
いや、放ちたいんだ
オーロラの向こう
恒星が照らす星々を
この手に掬って
私は思う
暗い夜道を抜けよう
ランタンひとつでいいよ
足元を照らすだけの勇気が
歩き出す道になるのだから
クオリアは言う
信じてみよう、と
私はその声を初めて聞いた
ほんとはずっと聞こえていたのに
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星をなぞる小さな指先
赤いニット帽が目を隠してしまう
それでも嬉しそうに笑うばかりで
直さずにくるくる回りだして
どんな風に見えているのだろう
君にしか見えない世界は
寒さに震える彼の手紙
赤いポストの前で動けずにいた
羽が生えて勝手に飛んでいけばいいのに
そう思う心が楽しそうで
どんな風に見えているのだろう
君にしか届かない世界は
ひとりぼっち夜道を漂いながら
色のない僕を街灯が照らす
ひとりぼっち今日が終わらないのは
きっと僕が笑ってないから
誰かを待っている小さな影
青いベンチに座って泣いている
その涙の色はなんだったっけ
僕にも流せるものなんだっけ
そんな風に思えるだろうか
君にしか見えない世界は
どんな風に見えているのだろう
僕にしか映せない世界は
ひとりぼっち今日が終わらないのは
きっと君と笑ってないから
白い指で星のような涙を掬う
どんな風に見せようか
この世界を
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深い眠りの底に
昨日が積もって
あなたを象る
誰かを思う
胸の温かさが
あなたのぬくもり
この手に触れて
自分を見つけたよ
約束の果てに
消えていく灯火を
あなたの命と呼ぶなら
いつまでも守っている
桜の葉が落ち
見える陽のなかに
あなたの声を聞いて
頬をなぞる雨
あなたは歩く
思い出の街路を
その先にまだ僕は
たどり着けない
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空を染めていたのは
あなたの笑顔だった
海を漂うのは
まぎれもない私の涙だった
この星にはあなたと私がいて
それがいなくなっても
ずっと続いていくんだと思う
写真の中に
あなたの夕焼けはない
ちっぽけな水槽に
私の涙は溢れてしまう
町の片隅に追いやった優しさは
誰の手に触れられるだろう
この星にはあなたと私がいて
私がいなくなっても
あなたは続いていく
あなたがいなくなっても
この空は変わらず
ずっと続いていくんだと思う
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心が真ん中にあって
私の体を繋いでいるなら
私の体はいずれ
心へと収縮するのだろう
そうすればあなたは
あなたはきっと
私の心しか映せなくなるのかな
それが言葉にならなくても
あなたの心に届けばいいのに
窓の向こうには虹色の灯りが
ゆっくり遠ざかっていく
誰かが飛ばした波長が
誰かのもとへと向かって
そうやって暗い部屋に
青い光が回る
心だけの私にあなたが放ったんだ
この重力をどうか無くしてよ
あなたの光がつぶれる前に
それが心にならなくても
あなたの言葉に少しでも触れたい
それが言葉にならなくても
あなたの心に届けばいいのに