ホーム > 詩人の部屋 > さみだれの部屋 > 新着順表示

さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[893] 那由多にとけて
詩人:さみだれ [投票][編集]

私の命が意味のあるものなら
私は、いらない

この呼吸が理解されるものなら
私は、沈もう

軽視されてきた幸せを
右手に繋ぎ

私は、夢を見る

とても良くできた物語を
歪にしてきたから

沈黙のうちに答えを見いだした
ふりをしたんだから

あなたの命が意味のあるものなら
私は、捨て去ろう

軽視されてきた幸せを
いつの間にか手放して

私は、夢を見る

2016/07/23 (Sat)

[892] 星のない夜
詩人:さみだれ [投票][編集]

眩い光の影に足をとられた
どう転んでも痛くないのに
その時だけはたくさん泣いた
誰も手もなく
言葉も与えられない
それが一番辛かったのかもしれない

膝にできた擦り傷は赤いまま
ひとりでに歩き出す
泣いてばかりの僕を引き摺って
光の方へ
目が焼けて見えなくなるなら
この心だけを見ていたい
ずっと

それじゃダメなんだって
彼女は僕の手をとった
君が永遠に変わらなくても
君以外のものは変わり続ける
ひとりでに歩き出した膝も
私ですらそうなんだよ

それでも僕は目を開かなかった
深い闇のなかで
この心まで見失った

2016/07/11 (Mon)

[891] 君へ
詩人:さみだれ [投票][編集]

悲しみをいくつ乗り越えたら
君の瞳を思い出せるのだろう
ただの涙がこんなに愛しくなるなんてさ
あんなに呟いた 君の名前を
どこに書き残してきたんだろう

声が出せないとき
背中を押してくれる
君の言葉が 夜に落ちてしみる
目を覚ませば聞こえなくなったんだよ

なぜ僕はここにいて
君はココにいないのだろう
なぜ僕は悲しみを握ってるんだろう

こんなに拙い言葉を書いてさ
それでも君が同じ言葉を
呟いてくれたんだ 僕はココにいる
嬉しいことがいくつもあったんだよ
君の瞳にも映ってるかな
ただの涙がこんなに愛しくて
その一滴をここに置いていくよ

2016/07/05 (Tue)

[890] ペルソナ
詩人:さみだれ [投票][編集]

私の心は
星のなかに埋もれ
窮屈に生きていくことしかできない
あなたのように
等しく生きていくことができない
喜びは
岩の影に隠れ
命などは
砕いて放った
私は
自分ではない
それは誰なのかを
わたしは考えた

わたしは

愛することひとつできないのであれば
私は誰
信じる決意すらもたないのであれば
わたしは誰
あなたは私を殺してすらくれない

2016/06/30 (Thu)

[889] 君の名を呼べば
詩人:さみだれ [投票][編集]

君の名を呼べば
私の心は落ち着きを取り戻し
鳥の羽音にも詩を見いだせる
ああ、こんなものか
君に宛てる言葉は
とても単純で
大事な言葉だ

私の心のざわめき
眠れない夜を
君の名を呼べば
風が運んでくれる
そんな距離に
ずっとありたいと
君に宛てよう

2016/05/26 (Thu)

[888] 献花
詩人:さみだれ [投票][編集]

俺は銃を持っていた
前に花が一輪咲いていた
俺は一発目を外した
二発目も 三発目も
俺はマガジンに六発しか入っていないことを知っていた
ふと頭を過ったのは
この六分の一を奇跡と読んでいいのか
俺は撃った
神様も悪魔もない
ただ純粋な理の上で
俺はその花を撃った

2016/03/28 (Mon)

[887] 心音
詩人:さみだれ [投票][編集]

天変地異の雑音を聞きながら
歩く雲の上が果てしなく遠い
こんなにも遅かったのかと
わが足を呪ったりもした
私は青空を見ることに飽きて
さらに向こうの星を見た
当然誰もいないその星を
静かだと思い込んで

光を失った脳を
心へと下げてきたけれど
彼は無機質だった
それが悲しいと思うことを
不思議なことに忘れていたんだ

世界のどこかで
手を持つ人がいる
温度など感じないほど
祈っているんだ
世界のどこかで
幸せを生んだ人がいる
心まで空気に混ざって
祈っているんだ

この星は重たいんだって
ようやく私は知ることができた

誰もいないこの星で

2016/03/20 (Sun)

[886] ほのお
詩人:さみだれ [投票][編集]

燃えているのは
夢みがちな年頃の子
赤いテールを右へ左へ
何を求めているかも知らず
春らしい陽気に
彼女は鬱に病んだ
燃えているのは
在りし日の尻尾

私は燃やされていた
美しい言霊と共に
煤こけた炉の中でも
私はうたうのだろう

あなたがあなたたらんとする
その炎はあなたを傷つけない
燃えているのは
あなたの見たことのある
賑やかな尻尾だけだから

2016/02/10 (Wed)

[885] 海の天頂
詩人:さみだれ [投票][編集]

宙に浮かぶ野原を
絶海の中に見る
反射する春の花々を
片目を閉じて見る
心はもう深海へと沈み
気持ちの彼方にプリズムが射し込む
私はどんな言い訳で生きているのだろう


まばらに聞こえる声を
いちいち気にしている
それだけで心地よく思える
この身を太陽だけは
燦々と焦がしてくれる

そして喜びは輝き失せた

2015/12/23 (Wed)

[884] 無題
詩人:さみだれ [投票][編集]

燃えて光る
メランコリアの残火を
大事に葬る彼を
その国は持っていた

クオリアをなくした
人の脱け殻を見
美しく遠吠えする
そんな彼を

世界を見てよ
地球じゃなくて
あなたが感じ思う
世界を見てよ

煌めく朝露の結晶を
私の手では触れられない
その悲しみを
伝え聞いてくれよ

あなたがいたという事実は
やがて痕跡になり
風化してまた形を失う
艶やかにそびえ立つビル群
それよりはまだ長く

うつくしく
喉を震わせ
あなたは生きて
この世界を見るの

2015/12/20 (Sun)
941件中 (51-60) [ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >> ... 95
- 詩人の部屋 -