詩人:さみだれ | [投票][編集] |
空を染めていたのは
あなたの笑顔だった
海を漂うのは
まぎれもない私の涙だった
この星にはあなたと私がいて
それがいなくなっても
ずっと続いていくんだと思う
写真の中に
あなたの夕焼けはない
ちっぽけな水槽に
私の涙は溢れてしまう
町の片隅に追いやった優しさは
誰の手に触れられるだろう
この星にはあなたと私がいて
私がいなくなっても
あなたは続いていく
あなたがいなくなっても
この空は変わらず
ずっと続いていくんだと思う
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
心が真ん中にあって
私の体を繋いでいるなら
私の体はいずれ
心へと収縮するのだろう
そうすればあなたは
あなたはきっと
私の心しか映せなくなるのかな
それが言葉にならなくても
あなたの心に届けばいいのに
窓の向こうには虹色の灯りが
ゆっくり遠ざかっていく
誰かが飛ばした波長が
誰かのもとへと向かって
そうやって暗い部屋に
青い光が回る
心だけの私にあなたが放ったんだ
この重力をどうか無くしてよ
あなたの光がつぶれる前に
それが心にならなくても
あなたの言葉に少しでも触れたい
それが言葉にならなくても
あなたの心に届けばいいのに
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
私の命が意味のあるものなら
私は、いらない
この呼吸が理解されるものなら
私は、沈もう
軽視されてきた幸せを
右手に繋ぎ
私は、夢を見る
とても良くできた物語を
歪にしてきたから
沈黙のうちに答えを見いだした
ふりをしたんだから
あなたの命が意味のあるものなら
私は、捨て去ろう
軽視されてきた幸せを
いつの間にか手放して
私は、夢を見る
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
眩い光の影に足をとられた
どう転んでも痛くないのに
その時だけはたくさん泣いた
誰も手もなく
言葉も与えられない
それが一番辛かったのかもしれない
膝にできた擦り傷は赤いまま
ひとりでに歩き出す
泣いてばかりの僕を引き摺って
光の方へ
目が焼けて見えなくなるなら
この心だけを見ていたい
ずっと
それじゃダメなんだって
彼女は僕の手をとった
君が永遠に変わらなくても
君以外のものは変わり続ける
ひとりでに歩き出した膝も
私ですらそうなんだよ
それでも僕は目を開かなかった
深い闇のなかで
この心まで見失った
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
悲しみをいくつ乗り越えたら
君の瞳を思い出せるのだろう
ただの涙がこんなに愛しくなるなんてさ
あんなに呟いた 君の名前を
どこに書き残してきたんだろう
声が出せないとき
背中を押してくれる
君の言葉が 夜に落ちてしみる
目を覚ませば聞こえなくなったんだよ
なぜ僕はここにいて
君はココにいないのだろう
なぜ僕は悲しみを握ってるんだろう
こんなに拙い言葉を書いてさ
それでも君が同じ言葉を
呟いてくれたんだ 僕はココにいる
嬉しいことがいくつもあったんだよ
君の瞳にも映ってるかな
ただの涙がこんなに愛しくて
その一滴をここに置いていくよ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
私の心は
星のなかに埋もれ
窮屈に生きていくことしかできない
あなたのように
等しく生きていくことができない
喜びは
岩の影に隠れ
命などは
砕いて放った
私は
自分ではない
それは誰なのかを
わたしは考えた
わたしは
愛することひとつできないのであれば
私は誰
信じる決意すらもたないのであれば
わたしは誰
あなたは私を殺してすらくれない
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
君の名を呼べば
私の心は落ち着きを取り戻し
鳥の羽音にも詩を見いだせる
ああ、こんなものか
君に宛てる言葉は
とても単純で
大事な言葉だ
私の心のざわめき
眠れない夜を
君の名を呼べば
風が運んでくれる
そんな距離に
ずっとありたいと
君に宛てよう
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
俺は銃を持っていた
前に花が一輪咲いていた
俺は一発目を外した
二発目も 三発目も
俺はマガジンに六発しか入っていないことを知っていた
ふと頭を過ったのは
この六分の一を奇跡と読んでいいのか
俺は撃った
神様も悪魔もない
ただ純粋な理の上で
俺はその花を撃った
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
天変地異の雑音を聞きながら
歩く雲の上が果てしなく遠い
こんなにも遅かったのかと
わが足を呪ったりもした
私は青空を見ることに飽きて
さらに向こうの星を見た
当然誰もいないその星を
静かだと思い込んで
光を失った脳を
心へと下げてきたけれど
彼は無機質だった
それが悲しいと思うことを
不思議なことに忘れていたんだ
世界のどこかで
手を持つ人がいる
温度など感じないほど
祈っているんだ
世界のどこかで
幸せを生んだ人がいる
心まで空気に混ざって
祈っているんだ
この星は重たいんだって
ようやく私は知ることができた
誰もいないこの星で
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
燃えているのは
夢みがちな年頃の子
赤いテールを右へ左へ
何を求めているかも知らず
春らしい陽気に
彼女は鬱に病んだ
燃えているのは
在りし日の尻尾
私は燃やされていた
美しい言霊と共に
煤こけた炉の中でも
私はうたうのだろう
あなたがあなたたらんとする
その炎はあなたを傷つけない
燃えているのは
あなたの見たことのある
賑やかな尻尾だけだから