日当たりのいい庭彼女は水を撒いている花が顔を上げて口を開けているようだ彼女はいつも楽しそうに歌を口ずさんでいる彼女がひとつの「音楽」のように世界はその音に魅入られたわたし、ほんとはよくわからないのなにがたのしいのかどうすればよろこばれるのかだから、ねおしえてほしいのしあわせならしあわせだっていってほしいの彼女はいつまでだって水を撒いた気が遠くなるほど長い月日もう自分の名前だって忘れただろうに彼女はずっと愛し続けた
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