ホーム > 詩人の部屋 > さみだれの部屋 > 死の乗数

さみだれの部屋


[762] 死の乗数
詩人:さみだれ [投票][編集]

私を殺すのは私の詩だ
腹に突き刺さったナイフを抜くのは
君たちの詩だ
生きろと促すお前の声は
私の詩の残響に似てやかましく
ハウリングが高く高く高く
その首を思い切り絞めてやろうにも
私の詩が邪魔をして
自分は殺したくせに!!
私は何度も叫んだ
叫んだつもりだ
それでも私には死を与えてもらえなかった
(お前たちはたくさん殺したのに)
生きていれば…と呟くお前の声は
目まぐるしく色を変え私を蔑む
お前の手にしたそのナイフは
私の詩であり
君たちの詩である
私は今も叫んでいる
お前の首に手を添えながら

2014/01/14 (Tue)

前頁] [さみだれの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -