ホーム > 詩人の部屋 > さみだれの部屋 > 煙草

さみだれの部屋


[928] 煙草
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

見慣れた歩道橋が
色を変えていた朝
いつもすれ違う人が
最近見ないなって気付いた夜
紫陽花がたくさん咲いていた5月も
町が白く覆われた12月も
終わりの兆しさえ
見せようとはしない世界を

煙草に火をつけて
彼女はうつむいていた
同じ煙草に火をつけて
私は空に吐いた

ちゃんと終わってくれる
あと少しで消えちゃうから

彼女に言いたい言葉は
空へ泳いでいく
それだって消えるなら
そんなことを思いながら
今日も歩いている

2018/10/16 (Tue)

前頁] [さみだれの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -