詩人:野上 道弥 | [投票][編集] |
立ち並ぶビルの窓から
四角い朱い光が僕達に降り注ぐ直前のお話
僕らはずっと繋いだ手を少し離して
眩しい夕陽から逃げるように歩いて
ビルの影に人目を避けるように入った
隠れてキスをしてた
長い長いキスを隠れてしてた
四角の朱の光が僕らに差し掛かった
もちろん気付かなかったけれど
影から出た僕らは腕を組んで歩いてた
長く長く伸びた影は一人の姿しかない感覚だった
真夏の夕陽はまだまだ暑く眩しい
忙しない人の流れは逃げるように速い
僕らに流れる時間はなんて遅い
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はぐれないように君の手を強く握ってた
はぐれないように僕の手を強く握り返してた
振り返った時
別の人なら嫌だなと
永遠と思える瞬間があった
君は悪戯心に爪を立ててた
読み取られてたかと
本気で思った
人ごみの中の喧騒に小さくはしゃぐ君は
僕の愛する君なんだと
心から思った
全ての店が閉まる時間まで一緒に居て
君が悲しげに声を奏でた
お祭りの後って寂しいね
二人で居ても寂しいの
と、聞き返したくなる
縁日の夜
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私と
あなたとの思い出を
縁日の屋台で並べたら
私以外の誰が
買っていくのが楽しみで
あなたも買いに来なければ
そのまま花火として
打ち上げるからね
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いつも私だけが待たせれるのは嫌なんだから
待つのは疲れるのよ
待つのには慣れてるって言っても
そうしないと私が私でなくなる
お願いだから
ね
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寂しさに足をとられないように
少しがむしゃらに仕事してみたり
知らない街でたたずんでみたり
ウィンドウショッピングなんて
柄にもない事してみたり
空いた茶館で長居して
店主と他愛のない話をしてみた
ただ、女の子を買う事はしなかった
なのに
何気ない一つ一つの動作が
君と居た時間を想いださせ
また寂しさが足を取りにやってくる
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届かない声が
磨かれたガラスに
ひびを入れるくらい
君の元に届かないから
何度も何度もこだまして
痛いくらいに僕の耳にも心にもこだましてるんだ
その答えになる声と思いが
君の元でもこだましてるんだろう