詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
朝の挨拶よろしく
「寒い寒い」
ばかりだったのだが
「花が咲いているよ」
に変わり
かわす言葉も春の装い。
今日はすっきり空が晴れ
風も穏やかで
小鳥たちは枝から枝へ。
まばゆい光の中を
ひらひら舞うのは
今年初めて見るモンシロチョウ。
春よ祝えよ。
試練を超えて今日を迎えた
すべてのものの心を。
心置きなく存分に。
お前の持つ慈しみに満ちた力で。
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春―
別れと出会いの季節。
悲しみをこらえて
枯れた葉と別れ
喜びを胸に
新しい葉と出会う。
春―
別れと出会いの季節。
悲しみをこらえて
朽ちた自分と別れ
喜びを胸に
新しい自分と出会う。
春―
巡りの中で
万物が長じる季節。
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「1年間お疲れさま」と
仲間とお昼ご飯をいただく。
若竹汁に始まり
お造りや菜の花や葉ワサビなど
どれも地元の食材を使った
手作りの品々。
「わー、モサエビだ!」
「頭から殻ごと食べられるんだよね」
「これ、なに?」
「らっきょうじゃな?」
「でも、ちょっと違うよね」
お店の人に尋ねれと
「野蒜(のびる)」とのこと。
年を経るほとに
こんな料理がありがたく…。
年を経るほどに
こんな時間がありがたく…。
ここに
こうしていることに
しみじみと感謝する。
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一夜明けて
賑やかな声が消え
いつもと変わらない部屋の中で
そんな時間があったことを
物語っているのは
お土産にもらった春の花々。
ナンキュラス、水仙、チューリップ、
スイートピー、クリスマスローズ、カモミール…。
冬が返ってきたような寒い夜
心に咲いた春の、余韻。
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最初は、グー。
じゃんけん、チョキ。
あいこで、パー。
庭の山桜の葉と
じゃんけんぽん。
パーが出たら
お花もまぢか。
最初は、グー。
じゃんけんぽん!
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海辺でブランコをこいでいた。
上にスイングすると真っ青な空が広がり
下にスイングすると澄んだ海が広がり
美しい景色に
この上ない幸せを感じた。
それからブランコをおりて海に入り
しただめ(小さな巻貝)を取った。
イギリスの海辺なのに
「なんだ、日本の海辺と
変わらないじゃないか」と思いながら。
そんな夢を見た。
夢に出てきたあの場所は
海辺にブランコなどはなかったが
まぎれもなく
夏になると毎日のように遊んだ
故郷の石浜だった。
空は青く、海はどこまでも澄み
子どもの声で賑わっていた夏の遊び場の…。
海辺でブランコをこいでいた。
上にスイングすると真っ青な空が広がり
下にスイングすると澄んだ海が広がり
美しい景色に
この上ない幸せを感じた。
あの時、確かに幸せだったのだ。
幸せとは何かということなど
考える必要もないほどに…。
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やっとキミに出会えた。
この日をずっと待っていた。
キミに出会って
ワタシはワタシに出会った。
それを確かに感じた。
けれど
古いワタシはどこへも行かず
キミがくれた袋に眠ってる。
困ったときは返れるようにと…。
やっとキミに出会えた。
この日をずっと待っていた。
やっとキミに出会えた。
やっとワタシに出会えた。
爆発低気圧の日に
吹き飛ばされるようにして…。
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振り返れば10年間の歳月。
あなたは立派でした。
でも
言葉にするには
口はばったくて…。
ただ一つ言えることは
私はあなたを
本当にはわかっていないこと。
だからこれからも
そばにいるのだろう。
去来するいろんな思いを
胸に抱きながら…。
新しく歩き始めた
あなたの背中を追いかけながら…。
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その色に
惹かれて植えたスミレが
今年も紫色の花をほころばせる。
愛してやまない大地を
見つめるように…。
そして
焦がれてやまない空を
のぞくように…。
ほんの少しうつむき加減に…。
小さな小さな花だけど
どうしてしゃがんで
見ないでいられようか。
その匂うようなまなざしを。