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中村真生子の部屋  〜 投稿順表示 〜


[91] 柚子の花
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吸い物の椀を開けると

ふんわり花の香り。

漂わせていたのは

鯛とぜんまいに添えられた

白い小さな花。

柚子の花だという。

水琴窟の音のように

香りが静かに響き渡る。

この時季ならではの

お楽しみだという。

お椀に一つ

白い小さな柚子の花。

楽しみはささやかなほど

心に深くしみわたり…。


2012/04/28 (Sat)

[92] 木香薔薇
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朝は蕾だった

木香薔薇が咲いた。

長く伸びた枝には

今にも開きそうな

まるい蕾がぎっしり。

見つめていれば

早送りした映像のように

花開く様子が見られそうな

そんなうららかな日。

足元では

桔梗が茎を伸ばし

隣の子どもは半袖Tシャツ。

夏がそう遠くないことを知る。


2012/04/29 (Sun)

[93] 紅色の牡丹
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奥の家の庭で

紅いものが目に入り

近づいてみると

満開の牡丹の花。

引っ越しをされて

もう3か月は経つであろうか。

他の鉢植えは

持って行かれたのに

なぜだか残された牡丹の鉢。

忘れられた庭で

一輪咲く

牡丹もまた美しく。

忘れえぬ恋のように…。


2012/04/30 (Mon)

[94] ハナミズキ
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母の日が近いので

どこか行きたいところはないか

母に聞いてみる。

行きたいところはないけど

ハナミズキが欲しいという。

近くのホームセンターに

ピンクのものが1本だけあったという。

さっそく行ってみると

幸いまだ残っていた。

2メートルほどのものが3,980円。

しかも3割引きになっていた。

地元の作家さんが作った

茶碗と湯呑もプレゼントした。

いつか、姉と

この日のことや母のことを

話すのだろう。

思い出話として…。

母が植えた庭の

ハナミズキの咲く頃に…。



2012/05/01 (Tue)

[95] ラ・カンパネラ
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花の季節にふさわしく

市場の中も花盛り。

目移りしながら歩いていると

一束のバラが目にとまる。

淡いアプリコット色の

フリルのような花弁

そしてそのボリューム。

あまり見たことのない

バラだった。

買って帰って青い瓶に飾る。

というか青い瓶に飾ろうと決めていた。

日に日にゴージャスさを増す

そのバラに

いっとう喜びを感じたのは

名前を知った時だった。

「ラ・カンパネラ」。

たまらなく好きなリストの曲の名。


2012/05/02 (Wed)

[96] チェンジ
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悩んで悩んで

耕された心の上に

種をまけ。

新しい種を。

ほんの少し

自分を変えるために。

そしてそれを

愛情をこめて育てよ。

ほんの少し

自分に近づくために。

ほんの少し。

けれど

続けられる種をまけ。



2012/05/03 (Thu)

[97] スーパームーン
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表通りの混雑を避け

横道に入ってたどり着いた

ギャラリー&カフェ。

美しい友禅染めと

大山の雄大な眺めと

懐かしいフォークソングの弾き語り…。

思いがけず出会った

ゆるりとした時間。

通りの喧騒は遠く及ばず

心の喧騒も解けていく。

今宵の月は

スーパームーン。

引き寄せられたのは

新たな出会い。

そして

そこで生まれた新たな自分。



2012/05/05 (Sat)

[98] 野菜を植える
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トマトとナスとピーマンの苗を

植える手伝いをする。

竹で支柱を立てたり

黒いビニールシートで覆ったりして

下準備をしたところに

水をたっぷり遣りながら

1株ずつていねいに植えていく。

佇んでいるだけでも

汗をかく大地の上で

野菜たちはこれから

日ごとに強くなる陽を浴び続け

風に揺さぶられ

雨に打たれ

時には虫にかじられ

それでもじっと佇み続ける。

自らを励ましながら

自らを癒しながら…。

こんなふうに

ひたすらポジティブに

生きている野菜たちが

食べる人を

元気にしてくれない訳がない。



2012/05/06 (Sun)

[99] 一輪の笑顔
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5時半に目が覚める。

隣の布団には

小6年生になった姪の娘。

まだ夢の中にいる

彼女が笑い出す。

むふふふ〜と、

この上なく幸せそうに。

朝日の中で花が開くように

夢の中でほころんだ

一輪の笑顔。

こどもの日の朝に

こどもからもらった

この上なく幸せなプレゼント。

胸に飾って

散歩に出かける。

水田ではカエルが鳴き

山藤の葉の上に青トンボ。


2012/05/07 (Mon)

[100] 今、この場所で
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連休が終わり

いつもの生活に戻り

いつものように庭に佇む。

傷んだ葉や

増えすぎたものを取り

咲いた花を愛しく思い

小さな蕾を待ち遠しく思う。

かけがえのない時間が流れていく。

けれど

こうした時間が

永遠に続かないことに気づいている。

ともに住み始めた

ヒバの木ほどにも。

どこでもなく

今、この場所で。

だからこそ

かけがえのない時間。


2012/05/08 (Tue)
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