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中村真生子の部屋  〜 新着順表示 〜


[210] 鈴虫とツユクサ
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海のそばの空き地の

咲き誇る露草の陰から

鈴虫たちの大合唱。

互いの季節を祝うように…。

銀色の羽色が

羽花の青の中にとけていく…。

しばし立ち止まり

祝いの末席に加えてもらう。

朝が明けていく…。



2012/08/31 (Fri)

[209] トマトの匂い
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ほったらかしにしていた

小ぶりのトマトが3つ。

サラダに入れようと

トンと包丁を入れる。

酸味を帯びた

青くさい匂いが広がり

ミルク色の霧のように

懐かしさが立ち込める。

去りゆく夏が懐かしいのか

それとも遠い日に

畑でもいで食べた思い出か…。

夏休みに出会った友に

さようならを言う日のような、

しまって忘れていた

子どもの頃の宝物のような、

トマトの匂い…。



2012/08/30 (Thu)

[208] ポトスに降る雨
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昨日から久しぶりの雨。

大地の草木が

庭の花々が

瑞々しさを取り戻す。

机の上のポトスの、

新しい葉先にも水の粒。

雨は外にだけ降るものでないことを、

大気を潤すことで

すべての生き物に注がれることを、

一粒の水滴を結んで

教えてくれる。


2012/08/29 (Wed)

[207] アフリカの舞踊
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鼓動に似たリズムで

踏みならすは聖なる大地。

身も心も捧げるために…。

鼓動に似たリズムで

踏み鳴らすは己の心。

聖なるものに近づくために…。

踏み鳴らせ

踏み鳴らせ

光のごとくたゆまなく

風のごとく大らかに

雨のごとく激しく…。

踏み鳴らせ

踏み鳴らせ

聖なる大地に届くまで

己の胸に響くまで

それが互いにこだまするまで…。

鼓動に似たリズムで

踏みならすは聖なる大地。

人は

それぞれの大地で

それぞれの祈りを捧げながら

人になっていく…。


2012/08/28 (Tue)

[206] 刻みこまれた子守唄
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母なる大地から

生まれたばかりの太陽は

赤子のごとく瑞々しく…。

やがて高みを目指して

父なる空へと駆け上がる。

幼子のように瞳を輝かせながら…。

そして先祖の眠る彼岸へと

伏し目がちに沈んでいく…。

その間に

生きとし生いける

すべてのものを育みながら…。

だたそれだけを

毎日毎日行うことで…。

鳥は舞い

魚は跳ね

あるものは糸を垂れ

またあるものは走る。

刻みこまれた

子守唄をそれぞれの胸に…。


2012/08/27 (Mon)

[205] 初めての夜明け
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夜明けは思い出させる
初めての頃を。
その柔らかな光で
少しずつ世界を染めながら…。
夜明けは思い出させる
初めての頃を。
そのきらめく光で
すべてをときめかせながら…。
初めての頃
朝日が大地を染めるように
心はバラ色に染まった。
初めての頃
朝日が川面を輝かせるように
心はキラキラと輝いた。
夜明けはいつも思い出させる
初めての頃を。
そこに佇めは惜しみなく。
夜明けはいつも
初めての夜明けだから…。

2012/08/26 (Sun)

[204] 岸辺の朝
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早朝、岸辺に佇む。

1日目は日の出の

美しさに心奪われる。

2日目は水面と足元に

虫たちの営みに出会う。

3日目は川底に

砂模様の魚を見つける。

4日目は山並みの

美しさに魅せられる。

同じ頃

同じ場所に佇みながら

心に映る風景は

少しずつ違ってくる。

第一印象から細部へ

細部から深部へ

深部から全体へ。

印象は少しずつ食べられ

心の一部となっていく。


2012/08/25 (Sat)

[203] 読みかけの『コタムリト』
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うだるような暑さの中に

開け放たれた窓から

涼しい風がやってくる。

ほんの一瞬…。

風は言う。

「お前を暑さで焼いたりはしない」

「だからもう目覚めよ」と。

うだるような暑さの中で

目を覚ます。

胸の上には

読みかけの『コタムリト』。



2012/08/24 (Fri)

[202] 夜明けの三重奏
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空の太陽。

川のアメンボ。

岸のクモ。

彼らは奏でる

それぞれの音楽を…。

太陽は宇宙に

七色の光を放って…

アメンボは水面を

透明な波紋で飾って…

クモは大地に

銀色の巣を輝かせて…。

奏でられた音楽が

輪と和を描きながら

夜明けの地球に響きあう。


2012/08/23 (Thu)

[201] いつものように…
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お盆でお休みをしていた

ボランティアのカフェを再開。

間があいたせいか

「なんか調子出ないね」と

話していたのもの束の間。

やってきた

常連さんの子どもたちから

たくさんの元気をもらう。

いつの間にか

みんな調子を取り戻し

いつものように店じまい。

いつものように家路へと向かう。



2012/08/23 (Thu)
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