久しぶりに会った幼なじみが我が名を呼ぶ。昔と変わらぬ呼び方で。その声は耳ではなくて体に響き体に響いたその声は血潮を巡りて今と昔にこだまする。夕まぐれどこからともなく聞こえてくる寺の鐘のように…。幼なじみに名前を呼ばれ応え返せば思い出も一緒に応え返する。
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