「寒いね」と窓を閉めて寝た翌朝草むらにはぎっしりの露の玉。あれからひっそりと暮らしていた桜が葉を風に揺らしている。秋をはらんだ風に。なんでもない今を愛しむように…。なんでもない自分を愛しむように…。世界に愛されていることに気づいたもののごとく…。
[前頁] [中村真生子の部屋] [次頁]