詩人:栢徠 | [投票][編集] |
いつの間にか近くに居て
この気持ちを自覚して
隣りに居るのが当たり前になっていた
隣りから居なくなって
話さなくなって
でも、原因は私達二人にはない
『どうしようもない』
そんな言葉で片付けたくない
――なのに――
学校の帰り道
自転車の2人乗り
目の前に見えた背中
学校の授業中
斜め前の席に見えるだけ
手を伸ばしても届かない
近くに居過ぎて
今の状態が苦しい
好きだと言えば
また
隣りに居られますか?
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話さなくなって
苦しくなって
一緒の時間が無くなって
悲しくなって
帰り道、君が待っていてくれる事を期待した
作ったメールはすぐに消して
君からの着信の無い携帯をただ握る
付き合ってた訳でも無く
ただ愛情と友情の平行線
気付かなければ良かった
そうすれば今も一緒に居れた?
想いを告げる事はもう無い
君は近くて遠いから
目の前にあった筈の背中は
もう、ずっと前
手を伸ばしても届かない距離
最後にもう一度
あの頃のように私に微笑んで
そうしたら私はもう、諦める
そう、思ってたのに……
突然の君からのメール
「今どこ?」
ねぇ、もう一度
君に恋しても良いですか?
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そこに写っている一年前の君
今はかけていない眼鏡をかけて
今と同じどことなくやる気のない姿勢
あまり違わない
でも、全然違う
周りと同じ制服に身を包んだ君
私が知らない君の姿
周りと違う私服に身を包んだ君
私が知ってる君の姿
ふと、顔をあげると他の男子と騒いでる
君の視線の先には私の卒業アルバム
君の知らない私がそこに居る
「コレだろー」
「その写真は見るなー!!」
慌てて走り寄る私
楽しげに笑う君
テーブルの上の卒業アルバム
君の笑顔を写しながら
私の笑顔を写しながら
今の私達を見ているのだろう
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溢れ出すは赤い孤独
包み込むは暗い絶望
独りになりたくて
一人路を歩いて
赤を美しいと感じたは一瞬
溢れた赤は真紅に染まり紅くなる
闇に紛れて全てが消える
愚かの神は人を笑い
最後に残るは真白い屍
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吐き気がした
胃がグルグルと回る
原因は別に目の前にある死体じゃない
体はグチャグチャなのに頭は無事
車にでもはねられた?
あぁ、吐き気が止まらない
きっと誰かが片付けるんだ
とても嫌そうな顔をして
吐き、たい……
「なら、吐けば良いんだよ」
体から頭が離れてこちらを向いた
いや、元からついていなかった?
……誰が喋った?
「吐けば良いんだよ」
「それで何かが変わる?」
私は生首に言葉を返す
だって、ここで喋りうるのはこの生首だけ
「少しはスッキリするんじゃないかい?」
あぁ、私も彼のようになれば良いのに
唐突に、本当に唐突にそう思った
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―僕は優しくないんだよ―
大好きな彼に似てた
大嫌いなあの人に似てた
どこかで見た彼に似てた
でも、笑った口しか見えない
―僕は優しくないんだよ―
私を愛おしむように
私を嫌悪しているように
興味すら無いかのように
でも、にんまりとした笑顔
―私も、優しくないよ―
彼とすれ違う瞬間
完全な無表情で
にんまり笑う彼に
小さく、静かに告げた
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首だけになったカレが笑った
「こんな僕でもまた撫でてくれるかい?」
首の無い体は動かない
「えぇ、首だけになっても大好きよ」
愛しい首を抱き上げ、視線を合わせる
「でも、腐らない?」
「その時は、その時さ」
その言葉に笑って私は首を抱いて歩き出す
体はそのままにして
喋る猫の首を抱いて……
それは、きっと、歪んだ私の錯覚
死に際に見た、私の最期の優しい悪夢
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久し振りにあなたの夢を見ました
桜吹雪に隠れた背中
私はなにも言えずに見送った
少しずつ
でも
確実に広がる距離
手を伸ばしても届かない
走り出したいのに動かない足
口を開いても出るのは空気だけ
ただ、涙を流す私を包んでいたのはやむ事のない桜吹雪
あの日からもう2年の歳月が過ぎました
だから、夢に見たのでしょう
あの日の光景を
桜吹雪の中、歩み去るあなたを呼び止めた
振り向いたあなたに
私は笑顔でさよならを
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同じ道を歩いてた
ずっとそう信じてた
なのに気付けば
私達の立っていたのは分れ道
一緒だと思ってた
ずっとそう信じてた
なのに気付けば
僕達の立っていたのは別れ道
一本道は二手に分れ
気付けば二人別れ道
いつの間にか分れ道
いつの間にか別れ道
桜の下での再会誓い
笑顔で二人歩み出す
それは涙隠して分れ道
それは涙隠して別れ道
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キミと出会ったのは雨の朝だった
青い傘をさして
ただ空を見上げてた
キミと初めて話たのは雨の午後だった
青と赤の傘を並べて
雨の音をBGMに
キミと会えなくなったのは雨の夜だった
青い傘は赤くなって
そして雨が赤を洗い流した
あれから雨は降らない
私は探す
青い傘と雨を探す