詩人:カナリア | [投票][編集] |
“ぴるぴる”と言う名の鳥を見つけた
ぴるぴるは暗い夜に
声を殺して鳴く鳥だった
誰にも見つからないように誰にも知られないように
ぴるぴるは声を殺して“泣いていた”
死にたいんじゃない
生きたいんじゃない
消えてしまいたい
ぴるぴるの唄う歌は
そんな孤独を歌っているかのような…
傷だらけの身体震わせた
ぴるぴるは
きっと
生きる意味を探してる
己の価値を探してる…
貴女の声
聞こえたよ
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早く夏にならないかな
…と
僕が口づさんだその日
夏まで持たないだろう
…と
死の宣告を受けた者がいた
焼けるような
暑い…暑い夏を
迎えるまでの残り数ヵ月
彼が必死に生きる姿を
目の当たりにした僕は…
この夏
どう生きればいいのだろう
昨日死んだ者が
必死で生きたいと願った今日を…
僕はどう生きればいいのだろう
人の命には限りがある
明日の保障なんて何処にもない
だからこそ
今を生きろ
今を生きろ
明日伝えようと思っていた言葉に…
明日は待っていないのかもしれないのだから
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貴方と私…
まるで別の世界にいるみたい
だけど
この空は果てしなく広がっているし
あの海は彼方から波を連れてくるんだよね
だとしたら…
イツカキット
貴方に会えるかな
きっと今宵見つめる月は
貴方と一緒
貴方と同じ月を見てるはずだから…
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織り姫のように
美しくはないかもしれない織り姫のように
おしとやかでもないかもしれない
泥にまみれながら
大根作っていたあの人は
決して織り姫にはなれないけれど…
逢わせてあげたいのです
あの人が星になってから
元気のない我が家の彦星に逢わせてあげたいのです
美しくなくても
おしとやかじゃなくても
我が家の彦星は
愛する織り姫に逢いたいんです
どうか…
もう一度父に…
母を抱きしめさせてやって下さい
私の願いは…届きますか?
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何を願うの?
何を願うの?
美しく咲いた花は何故か
悲しい歌ばかり唄っていた気付いたのは月夜の晩で
僕は君に捧げる言葉を捨てたんだ
夜が明けるまで
君の隣で踊っていてあげる赤い靴は留まる事を知らない
まるで僕は操り人形
滑稽な姿と君の掠れた歌声が月に照らされ
孤独を縁取るシュルエットは
リサイタルの観客の如く
罵声を浴びせる
それでも朝は当然にやってきて
美し過ぎた花は枯れ
赤い靴は足を食い尽くしたかのように
ただ転がっていた
月は見ていた
最後に二人が笑う姿を
月は問う
何を願うの?
何を願うの?
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富を手に入れたかった
お金は私を自由にしてくれる
美を手に入れたかった
華麗な女性は何一つ不自由しない
愛を手に入れたかった
孤独な夜に抱きしめて?
総てを手にする者は言う
他に何を望むのか…?
総てを捨てれる
強さを下さい
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ある明るい月夜の晩
汚れたスカートを隠しながら啜り泣く少女がいた
月は問う
何故泣くのかと…
少女は握り締められた僅かな銅貨を掲げてみせた
『裕福になりたいのです』月は問う
裕福とは何かと…
少女は細い足をジタバタ鳴らしてみせた
『自由と言う事です』
月は問う
自由とは何かと…
少女は首を傾げた
『知らない…けれどお金さえあれば自由になれる』
月は少女に星の金貨を山ほど与えた
ある明るい月夜の晩
華やかなドレスに身を包んだ少女はまだ泣いていた
月は問う
何故泣くのかと…
少女ははっきりと答えた
『 』
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涙
に裏切られて
心
は切り裂かれた
それでも信じる意味は
あったのだと
揺るがない自分自身は
胸を張った
この身滅びてゆく時間を
惜しむかの様に
この身消えゆく瞬間を
知っているかの様に
私は前に進み続けた
一歩でも前へ
少しでも近くに
踏み鳴らした足音は
どうやら
神様の機嫌を損ねたらしいね…
どうしようかな
エンドロール
“生きる喜び”なんかで締め括ってみる?
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その瞬間
心
重ねた
すり替えられた
紅イロは
私
を昇天させる
には
充分
よ
シャラシャラ
降る雨
いつか蒸発
して
しまうでしょ?
それでも
その瞬間
心
潤えば
偽りの
台詞<コトバ>
にさえ
アイを求めて
なんて
馬鹿
げてる
ユニゾンは
貴方の方から
終
わり
を打つの?
それこそ
馬鹿げ
てる
馬鹿げて
る
シャラシャラ
シャラ
シャラ
交わらない
モノ
が
絡み付く様<サマ>に
もし
独りよがりに
貴方
終
わらせたりしたら
馬鹿下手
る
馬鹿下手
るわ
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それはそれは
慎しやかに営まれた
“殊”<コト> でございました
長年連れ添った貴方様の
永眠するお姿はなおも美しく
私めは黒い着物の袖口から指を滑らせ
ただただ
貴方様に愛撫するかの如く
乾いた頬に触れるのでした
冷え切った貴方様のそのお体に
この身重ねれば
私めもお傍に逝けるのでしょうか
貴方様の眠る棺<ハコ>に
重く硬い蓋が閉められた時
切なる想いは届かず
その道は閉ざされ
私めは独り
独りきりになってしまいました
煙に姿を変え
天に昇りゆく貴方様
天は白濁した湯の様な
悲しみの色をしております
貴方様の声が
まだ耳の奥に残っておりまして
最後に触れた貴方様の感触が
まだこの指に残っておりまして
貴方様と歩んできました長い長い道のりは
私めの心を揺さぶり
体の震えが止まりません
先立たれた貴方様
私めは貴方様を憎いと思うのでございます
先立たれた貴方様
私めは貴方様を卑怯と思うのでございます
そして何よりも
私めは貴方様を愛しいと
愛しいと
愛しいと
愛しいと
…思うのでございます
私めの生涯で
だた一人
旦那様であった
貴方様の“葬儀”<コト>は それはそれは
慎しやかに営まれた
貴方様の“最後幕引き”でございました