詩人:カナリア | [投票][得票][編集] |
彼は陽気なペインターになりたいと言って
毎日毎日
あたしを描き続けた
キャンバスの中の
あたしはまるで
今にも動き出しそうな程そっくりに描かれていて正直あたしは
ソレが少し気持ち悪かった
彼が陽気なペインターになってから
ニヶ月が過ぎた秋に
絵は完成し
彼はその絵を
ベッドに寝かせ
抱いて眠るようになった
いつしかあたしは
ソファーで1人寝るのが当たり前のようになり
彼は絵の中のあたしを
愛し始め
陽気なペインターは
間違いなくイカレて
愛に飢えたあたしは
鏡のような
自分自身に嫉妬した
いっそ
自らを殺してしまおうか
けれど
彼が温もりを求め
ソファーに腰掛ける度にその思いはかき消され
あたしは
月に照らされ
愛に溺れた魚になる