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カナリアの部屋


[180] 愛に溺れた魚
詩人:カナリア [投票][得票][編集]

彼は陽気なペインターになりたいと言って

毎日毎日
あたしを描き続けた

キャンバスの中の
あたしはまるで
今にも動き出しそうな程そっくりに描かれていて正直あたしは
ソレが少し気持ち悪かった

彼が陽気なペインターになってから
ニヶ月が過ぎた秋に
絵は完成し
彼はその絵を
ベッドに寝かせ
抱いて眠るようになった

いつしかあたしは
ソファーで1人寝るのが当たり前のようになり

彼は絵の中のあたしを
愛し始め

陽気なペインターは
間違いなくイカレて

愛に飢えたあたしは
鏡のような
自分自身に嫉妬した

いっそ
自らを殺してしまおうか

けれど
彼が温もりを求め
ソファーに腰掛ける度にその思いはかき消され


あたしは
月に照らされ
愛に溺れた魚になる

2008/11/13 (Thu)

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