詩人:老女と口紅。 | [投票][編集] |
夜のネオンに咲く花は
虹色花びら身にまとい
赤いベニさし
惚れた蝶々がほしいから
暗い舞台で踊るのよ
夜のネオンに咲く花は
やさしい化粧で華になり
あまい香りで誘うのよ
幸せさがす恋待ち草は
暗い舞台で静かに咲くの
夜のネオンに来る蝶は
悲しい顔してあたしを見るの
交わす言葉は淋しくて
無口なお酒に酔えなくて
こんなあたしに本気で惚れる
羽を休める蝶々なの
夜のネオンが疲れて消えて
惚れた蝶々が飛んでゆく
あたしの想い知らないままに
いつの日か
あたしの所にヒラヒラ飛んで
優しい笑顔で摘みにきて
あたしがそっと散る前に
あたしがそっと 散る前に
おかしいね
あたし夢見て飲むお酒
悲しいね
あたし一人で飲むお酒
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じじいの春は やな季節
道端へフラフラと歩きだす
ばばっちがハラハラする そんな季節
じじいの夏は やな季節
帽子もかぶらずに日射病
ばばっちがオロオロする そんな季節
じじいの秋は いい季節
のんびりと縁側で日なたぼっこ
ばばっちがそっと茶を入れるそんな季節
じじいの冬は やな季節
心臓が冷たくなる そんな季節
ばばっちの心臓も冷たくなる そんな季節
そんなじじいが言っていた
(八十八にゃ体が勝てぬ…)言いながら昔を思い出す
ばばっちは言った そんなじじいを見て…
(来年あたりは死ぬかもしんねぇ〜)
今はもう寝たきりで口もきけない
ばばっちは泣きながらこう言った
(先生や生命維持装置を外してけろ)と…
ばばっちの
最後の愛だった
最後の愛だった
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地平線遥か遠く
星屑さえも見ている
グラスに夢見た
小さな想いと行こう
きっと行けるさ
お前と二人
抱き寄せるベッドの上で
小さな肩を抱けば
やわらかな髪の香りが
夢の中へ誘ってくれた
からめた指の
ぬくもりさえも‥
スローな歌で心を休め
二人で歩いたあの道
いつからか霧の中
君は影さえ薄く
両手を
延ばしても
延ばしても
風に溶けてゆくだけ
そんなお前が悲しくて‥
スローな歌で心を酔わせ
思い出すさ夕暮れの
君の悲しげな
横顔の意味を
涙が
止まらなくて
止まらなくて
見る物全てが
壊れて見えた
そうさ
あの日の二人は幻
あの日の二人は幻‥