詩人:老女と口紅。 | [投票][編集] |
銀杏並木の
公園で
落ち葉を一つ
手にとって
君は
僕の前を
歩く
いつだって
ほら
君の名を
呼べば
優しい
笑顔で
振り返ってくれた
‥君は
綺麗すぎて
日差し
やわらかく
頬
撫でる風
少し
はにかんだ笑顔
歩く
ヒールの音さえ
心地よく
‥君は
綺麗すぎて
振り返える
優しい笑顔は
僕だけの
宝物
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ここは
思い出の旅館
幾度となく
足を運ぶ
季節は巡り
もう 何度目の旅路
少しづつ
変わりゆく景色
セピア色の君
変わらぬは
目を閉じて思う
君の笑顔
旅先でつづる
君へ
送らぬ
ポスト カード
いかが お過ごしですか
体の調子は
どうですか
私は
何も変わらずに
過ごせてますよ
筆を置き
煙草に火をつける
涙目は
煙が目に
しみただけ
思い出の地で
詩う
悲しい詩
もう一度
君と
やり直せたらと
叶わぬ
願いを抱いて
旅先から
君へ
また一枚
出せぬままの
ポスト カード
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彼女の横で‥
俺は
うつむきながら
彼女への想いを
一心不乱に
熱く念じた
そして
一言
俺の事‥
好きか?
つぶやいて…‥
ふと‥
見上げてみる
とってもテレビに夢中!
まったくの
うわの空
馬の耳に念仏ぅ〜
さあ〜
馬の耳に届けよ
この切なる想い
そっと
(好きッ!)を
絡ませて
馬
のような
その耳へと
吐息を
吹き掛けてみる
ふぅ〜
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悔やむ事も大切です
悩む事も大切です
そして
また
苦しむ事も
大切な事なのです
あなたが
人生を
素晴らしく
輝いて生きるも
くだらなく
むなしく
生きるのも
あなた 次第です。
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今日は
ただぼんやりと
つまらなく
そして
たんたんと過ぎた
昨日も
何もしない
何も生み出さない
一日だった
そういえば
一昨日も‥
ゆっくりと
確実に
時は過ぎてゆく‥
こんな
日々が
いつまで
続くのだろう‥
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桃‥
老女の手に
ずっしりと重く
のしかかる
女の
尻にも似た
この肌ざわり
柔肌の
ピンク色はもちろん
表面に生えた産毛さえ
心地よく‥
重さを見ているかのように
おもむろに桃を上下させる老女
その手の下側では
秘め事が行なわれる
中指だけが
ゆっくりと果肉に
食い込んでゆく
桃の けがれない肌に
容赦なく
爪まで
食い込んでゆく…
ゆっくり
ゆっくりと‥
辺りに
だんだん立ち込める
魅惑の甘い香り
指を伝い落ちる
一雫くの愛液
目を閉じながら
しばし
官能の世界へと
墜ちゆく老女‥
不覚・
近すぎる背後から
人の気配‥
足元から延びる
もう一つの影
女性店員だ
店員は言う、
やわらかな物腰で‥
今
この時期の桃、
とっても甘くおいしく頂けますよ
ゆっくりと
桃を置きながら
老女は言う、
何食わぬ笑顔で‥
ホントおいしそうな桃ね食べ頃だわ、
手にするとよく分かるもの‥
でも また今度頂くわ‥
足早にその場を立ち去る老女
何げに 振り返る‥
するとそこには
桃を手に取る
老人が一人
目を
細めながら
品定めへと‥
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そう
少女は自分に
素直すぎただけ‥
自分を守る為に…
自分が
傷付く痛みを
知っていても
他人を
傷付ける痛みは
分からない
少女に
足りないものは
何だったの
欠けていたものは?
見えて
いなかったものは
何だったの‥
精神鑑定なんて
必要ないさ‥
そう
少女は自分に
素直すぎただけ‥
自分を守る為に…
ただ‥
ただ
それだけ‥…
これからは
償いの十字架を背負い
生きて行くんだね
後はゆっくり
時が背中を押してくれる
後戻りは出来ないよ
もう
引き返せないんだ…
自己愛が
悪い訳じゃない
精神未成熟が
悪い訳じゃない
けれど
他人を
傷付けてしまった
罪の重さは
計り知れない‥…
また
今日もどこかで
幼い
未熟な心が
突如 牙をむく
世間は
こう言うのさ、
うちの子だけは
大丈夫だと…
家庭から何もかもが
うまく噛み合わなく
なってゆく
そして
家族は
きしむ
歯車のように
音をたて
崩
壊
す
る
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夏、
‥カルピス
小学生の頃
夏休みに飲んだカルピス
懐かしく思う‥
虫取りの後に
プールの後に
宿題しながら‥
カルピス
思い出すね、
やさしい母親と夏の味
お母さん
薄いのは いゃ
薄いのは‥
シャビシャビ は
おいしくないから‥
お母さん
濃すぎるのも いゃ
濃すぎるのも‥
飲んだ後
何か白い固まりが
出てくる‥
あの タン にも似た
舌ざわりが、
とっても‥ ‥いゃ
それを飲み込むのは、
もっと いゃ‥
ちょうどよく、 ね‥
ちょうど‥ お母さん
カルピスの
水玉模様は 天の川
七夕の日に
願いを込めて飲むのです
母さん
いつまでも
元気でいてくださいね‥
カルピス
それは
やさしい母親と夏の味。
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マリア
彷徨える
迷宮の時代に
60億の群衆が
あなたの足に
絡み付く‥
人は
我
先に地を這い
絶望の果てに
一筋の光を乞う‥
あなたの抱く子は
群衆の涙‥
癒しきれるはずのない
民の傷口‥
マリア
語らない声で
うつむいた瞳で
偽りのない
癒された心を
やさしい風にして
平等に
民に与えて‥
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子を望む日より
行く年数え
千里の道も
血
にじまんとする
その足で
神にもすがり
授かりし日の
歓喜の記憶‥
時
流れゆき
月
満ち足りて
大地の割れる
痛みにも似た
陶酔しゆく
意識の中に
この世に
せり上がる
この命
太陽を仰ぐ
双葉のごとく
今
喜びの産声を
高らかに
ここに あげらむ‥