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謳器の部屋


[5] 祝福
詩人:謳器 [投票][編集]

雄鶏の叫び声とともに
その夜は明けたけど

夜明けまで降り続けた雨は
哀しい記憶を冷たくその身に刻んだようだ

あの日の雨は止んだものと思っていたのに
今も心の隙間に
降り続けていたんだね

「大丈夫、大丈夫…」と
何度も何度も繰り返し耳元で
囁くけれど

「大丈夫、大丈夫…」と
どうすればいいのかわからないまま
抱きしめるけれど

夢から覚めて泣きやまない幼子のように
何を恐れているのかすらわからない

それでも
君を抱きしめたこの腕なら
その哀しみも抱きしめられるから

今は無力なこの手を離さないで
今は一緒にこの雨を眺めていよう

ずっと傍にいてあげる

この争いと憎しみの交差する世界で二人
願いを掲げよう
君にはその権利があるだろう?

どうかいつの日か
優しい雨が君の上に
優しい雨が君の心に
祝福のように降り注ぎますようにと

2006/06/05 (Mon)

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