詩人:謳器 | [投票][編集] |
雄鶏の叫び声とともに
その夜は明けたけど
夜明けまで降り続けた雨は
哀しい記憶を冷たくその身に刻んだようだ
あの日の雨は止んだものと思っていたのに
今も心の隙間に
降り続けていたんだね
「大丈夫、大丈夫…」と
何度も何度も繰り返し耳元で
囁くけれど
「大丈夫、大丈夫…」と
どうすればいいのかわからないまま
抱きしめるけれど
夢から覚めて泣きやまない幼子のように
何を恐れているのかすらわからない
それでも
君を抱きしめたこの腕なら
その哀しみも抱きしめられるから
今は無力なこの手を離さないで
今は一緒にこの雨を眺めていよう
ずっと傍にいてあげる
この争いと憎しみの交差する世界で二人
願いを掲げよう
君にはその権利があるだろう?
どうかいつの日か
優しい雨が君の上に
優しい雨が君の心に
祝福のように降り注ぎますようにと