詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
深海にある伝説の貝には
そこへたどり着く者に
一番大切な物を包んで待っていると言う
鮫達があざ笑う中
僕は
岬の崖から飛び込んだ
僕は鯨よりも息が長いのだけれど
理由が無くて
今迄 深くは潜らずにいただけなんだ
難破船をかすめ
珊瑚の産卵を擦り抜け
深く 深く 下りて行く…
今なら帰れる迄 息は続くけれど
お爺が死んでから
僕の帰りを待つ人はいない
もう光りも届かない程 下りて来た
人魚達も泣いている
だけど僕は信じている
お爺が
その貝の話しをしてくれたのだから
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外を眺めている
風のように擦り抜けた日々に
数え切れない光りと闇の
取り留めも無い繰り返しがある
青臭くすねた頃を
良いとも悪いとも思わない
「全ては取り留めも無い」
それが分かった
次は何に気が付くだろう…
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朝の
純粋にろ過された大気の中
黄金色の雲を背に
風を翼いっぱいに受けながら
漂う
羽毛の毛細と瞬く日の閃光が弾かれながら微笑み合う
光合成し終えたばかりの緑の吐息が全身を洗いしだく
風に乾燥しそうな眼を潤ませながら何となく笑った
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
ほら僕はこんなに難しくて難しい
大変で大変で大変な悩みと朝から晩迄、土俵の上で
パタパタ、パタパタ
紙相撲してる
これじゃあまるで
オママゴト
これじゃあまるで
よそ行きの服
お子様ランチのてっぺんに
立派な旗が立っただけさ…
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
ミカ…
恋愛詩なんてくだらないよ
この詩がつまらないのは
僕がつまらない男だからさ
ミカ…
君を幸せにしたくなった時から
詩なんてどうでもよくなって
恋愛詩ばかり
書いている
ミカ…
僕はつまらない男さ
恋愛詩を君に書いている
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
どうか何か もう苦く無いものを
せめて ささやかな安らぎを
腰抜けと呼ばれても構いわしないから
どうかただ ただ無事な日々を
哲学や教養 学識や偏見
辛辣な舌から逃れて
ただ ただ
日々の慰めとなる詩を
命の糧となる詩を
私の分の恵みがとり分けられていて
もしも許されているのなら
どうか賜りますように…
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
受け入れられる事と
やりたい事を取り違えてしまった…
やらなければならない事と
やりたい事を交換してしまっていた…
子供の頃…
あんなに
ラジコン飛行機が欲しかったのに
理由を思い出そうとしても思い出せ無い
理由とか言葉等…無意味な程
ただただ欲しくて欲しくて欲しかったのだ…
夢中になるとはそう言う事さ
理由なんて下らない
俺は心から馬鹿でいたい。
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
路面に雨音のような余韻を残し
真夜中の海中道路を
緩やかなスピードで過ぎ去る…
沖に取り残されて浮かび上がった
長くて遠いリーフのようなこの道で
水平線をたどる…
白く伸びた灯台の明かりは
暗い空と海の境目を探すように彼方へと旋回して行く…
その向こうには
島影を忘れた
小さな街明かり達が
ちぎれたネクレスの七色の光りの粒となって
横へそっとちらばっている…
ラジオからのメロディーは奇跡のような選曲で景色と溶け合い
人生が『物語』なのだと教えてくれた
「I'm Not In Love…」
誰も知らない
僕の物語