詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
君は悪魔か
自覚があるなら
きっとそうなのに違いない
嘘って言われようが
本当の事が
なんかあんたに良いこと
してくれたことがあったのかい
正直なんて代物は
土壇場では
さいの目よりやっかいで
金にすらならない
ようするにだ
糞と同じさ
頭が悪くて
死ぬほど金が欲しいなら
死んだ方がましな
生き方をするしかない
それとも
君は天使かな
真実を軽やかに羽織り
愛を愛し愛に愛され
誰にでも誰からも
愛おしまれ
憎しみなんて
何も生み出せない
負の連鎖は世界を時代を
苦しめつづけるだけ
そうして
愛そのものになりたいのなら
全てを分け与えるといい
それでも後悔のないその時は
たとえ死すら
君にダメージを与えることは
出来ないだろう
どちらも選べない
選ぶ必要にすら
疎ましさを感じるようなら
君は人だ
善と悪を自分だけの
都合の良いように
使い分ける
全てを他人せいにも
自分の為にでも
使い分けられる
泣きたい時に泣き
笑いたい時にだけ笑う
悪魔にも天使にもなれず
なりたくもなく
行く当てもなく
孤独を埋め合わせる手段に
人生の全てを賭する
ただただ無駄に
それなら
いっそのこと
神になれたならいいのに
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忘れてしまいたいことは
空の彼方へと流れ去り
失ないたくなかったものは
海の深みへと沈んでいく
空や海を眺める時
えもいわれぬ感情が
呼び覚まされるのは
しかたがない
明るいうちは青く広く澄みわたり
暗くなれば黒く深く遠い
どんなにか目を凝らそうが
あくことなく手を伸ばそうとも
なにもとどきはしない
空を見れば
大切な約束があるような
海を見れば
探しに行くべき何かがあるような
そんな思いに駆られてしまう
鳥のように
飛び回りたいだとか
魚のように
泳ぎ回りたいとか
そんな話しではなくて
嬉しさや悲しみ
後悔と自信
男と女
どうとも言えはしないが
明日もまた
水平線の彼方から日は昇り
月もまたそこへと沈んでいくだろう
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「生きていないのなら死んでいる」
嘘をつくと鼻が伸びていく
「死んでいるのなら
生きていてもしかたがない」
鼻先が伸びていく
「嘘がいやでしかたがないはずなのに」
鼻先がどんどんと伸びでいく
嘘とかそうじゃないとか
真っ二つに分けて
引き裂いてしまう
考えが
嫌だ
「鼻先がどうなったのかだって
そんな話しがさ」
この体を
引き裂いたところで
薪にすらなれないのに
鼻先がまたどんどんと伸びていく
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ポエムが見る夢があるのだとしたなら
それはきっとリアルだろう
「まごうことなき生身の血肉になりたい」
ポエム、ポエム、ポエム
どこにもないもの
つくられた理由からのがれられないもの
いいわけからはじまるもの
紡がれた時から大空へと糸を切られ
解き放たれたカイトのよう
ポエム、ポエム、ポエム
何にもなれず
どこへも行けず
夢へ向かう自覚だけを漕ぎ手から託された櫂
どれほど文明がすすもうとも
単細胞生物すら人は作れないように
エデンの園を追われたアダムとイブのように
アインシュタインが追い求めた量子もつれのように
「ごきげんよう」
「ごようのおもむきはなんですか」
それはなんのよう
命になりたいポエムのよう
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たまにより
ふつうくらいに
けがをする
こっちが優先だろうが
飛び出してきておきながら
ドライバーの顔を確かめようとすると
目も合わせようともせず
ゆきすぎる
俺もああしたりする
わかりきっていて
なににもなりきれず
さだかでない
どこにでもある
推し量られ
意図をそしられ
無分別の烙印に焼かれ
小手先が丸くなる
どんどんと どんどんと
かさぶたが
かってにはがれる
くりかえし くりかえし
幾年月、幾代も
男はどうにかして
家族を養ってきたからなのだろうから
釣りを休むと
なにかしら嫌になる
それは言葉にはどうにもできない
自然の理不尽さと対峙してきた
受け継がれてきた性なのだろう
行くだけさ
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冷凍されて
カチンコチンのカルピスの
ペットボトルを
金城さんにお礼で渡した。
朝、夜、朝、夜
夕日、朝日夕日朝日夕日、週末
集合住宅の廻廊の排水口に
子猫が居座っていて
いられても困るし
仕方がなく
その前に
練ニンニクを絞り出してやると
翌朝には
居なくなった
天然素材の
良し悪しの要らない
責任転嫁らしい
でも俺
金城さんに貰った魚より
やっぱり
カチンコチンに凍ったカルピスを
やっと溶け始めたそれを
飲みたかった
灼熱の防波堤の釣り場で
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どうにも釣れない
釣り場がある
大城さんと渡久地さん
この二人の名人が
いつもいる
去年からここに来ているけれど
皆が彼らに声かけ
二人も誰かに声をかける
誰も俺も釣れないのに
この二人は釣れる
釣れると
皆にその魚をやる
俺にすら
わけてくれる
とにかくここでは名人だ
二人を慕うように
釣り人達がよくここを訪れる
海水浴のシーズンには
すぐ隣にビーチがあって
子供達のはしゃぐ声が
学校の校庭くらいに
背中に聴こえながら
釣りをしている
本当に
色んな人達がやって来る
釣りよりおしゃべりがしたいような
そんな釣り人やら
ビーチから散歩で来た水着のままの観光客
ビーチで遊び足りなくてやって来る子供達
後期高齢者で釣が出来なくなったと話す老人達
ここにはなにやら
えもいわれぬ
コミュニティが
出来上がっている
レポートではないけれど
なんだか俺は
ここが好きに
なりはじめている
釣れないのだけどね
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してきな
はなしがいをした
ばか ここは
してきな
よりすがり
あいか ここは
ここは
してきな
してきで
はかか ここは
してきな
はかなさで
いたたまれない
どうしようもない
ばか
ここは ここは
してきたか してきか
ここは ここは ここは
はかかばか
してきな
はなし
あい
を
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嘘を書いてきた
そもそも嘘だけしか
人を満たせないのだろうと
鏡を見て思わないか
昨日より老けてないか
一昨日より若くないか
時間とか空間なんてものは
どこかで勝手に
理解されているものでしかなくて
実際に見えているのは
真実かどうか曖昧で
あてにならないのではないのかと
自分が存在している意識だけにしか
よりどころもなく
宇宙規模以上な全に
矮小な視野で
疑う事を
狂気のように
思い込んではいやしないのか
いやもっとある
全てに
本当は違和感を感じてはいないか
確実なくらいにそうなのに
なすすべもなく
創造の向こうがわにだけ
始まりがあり、芽生えがある
これでいいが
だけど俺は
人にはどうやら
狂っているのかな
駄目かな俺は
ならば潔く
書いてみた
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詩を描きたくて
疼く夜は
ガンダーラを目指し
旅支度をととのえ
おもむくかのよう
詩を絵描きたくて
疼く夜は
深く深く
息を吸い込み
深海の
アトランティスを
探しに行くかのよう
詩を絵描きたくて
疼く夜は
朝焼けまじかな
空を仰ぎ
ラピュタを夢みて
たじろぐかのよう
詩を絵描きたくて
疼く夜は
もう帰れなくなって
しまってもいいからと
そんなおごそかな
おごそかななにかに
なりたい夜