| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
壊れた
オルゴールの
音色
苺か
梨
リズムが
微妙に
誰の正しいとも
違う
そんな正しさと
疎遠で
ありながら
より
誰の
清らかさに
でも
親しく
あろうと
するように
ずれていく
割れてしまった
木琴の音色のような
夕日に
置いてきぼりにされた
桃黄金色した
雲のように
書き手に
ペンを投げられた
まだ途中の
詩のように
ただただ
こうして
誰かに
寄り添いたがって
分からせたくて
互い違いでもいい
何にも無いのに
コーヒーの香りがする
新たな位置づけ
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(注意
残忍、残酷な表現のある作品です。
グロテスク、残虐行為の伴う文章に反感や抵抗、不安感を残した経験、予感のある方は絶対に読む事をお控え下さい。
注意事項として警告致しましたので
本作の表現への誹謗中傷は一切、受け付けません。
宜しくお願いいたします。
念の為ですが、内容はフィクションです。)
子犬がいる
可愛いい子犬だ
でも飼う事ができない
飼い主も散々探したが
どうにもならなかった
今は無き祖母は
猫を飼っていたが
雌の猫で
野良猫との子がよく産まれて
そんな時
祖母は
ビニール袋に仔猫達を入れると
袋の口を縛り
あろうことか
近くの防波堤から
海へ投げ捨てていた
悪魔だと思った
でも俺も
小学生の頃
ハムスターを飼った事がある
何の知識も無かったから
向日葵の種の代わりに
スイカの種を与えていたら
程なく餓死させて
しまっていた
生き物を飼うのに
無責任さは許されない
子犬は
俺が死なせてやらなければ
と考えて
袋に入れて
袋の口を縛り
ただ
そのまま海にでは
もがき苦しみながら死なせるのでは
あまりにかわいそうなので
袋に入れたままで
頭を掴み、素早く首をねじり殺す事にした
釣りをするから
魚を締める事は普通に出来た
それでも
初めての頃は
抵抗があった
そうして
子犬を
袋に入れたまま
左足の膝で
小さなからだを
殺すつもりで全体重で押さえつけ
両手で頭の部分を
力一杯ねじ回した
一瞬で終わらせてやるのが
優しさだと
信じて
動かなくなった
子犬の亡骸は
燃えるゴミで
処分した
ところが
数日して
近所て
瀕死の子犬が
ゴミ捨て場で
見つかったと
聞かされた
死んでは
いなかったのか
それどころか
さらに、もうしばらくして
ある日曜の朝
近くのスーパーへ
買い物へ歩く途中
明らかに
不自然な足取りの
犬を連れた人が
こちらへ向かい
歩いて来た
すれ違いざま
よくよく犬の
顔を見た
あの子犬なのか
一瞬だったが
俺の目を
見つめ返した
その瞳に
吸い込まれるような
思いがした
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夕闇の
岬の尖端が
車窓の左はしの方から
見えてくる
もう
恋に陥ることはない
助手席から
君が水平線へと
手を伸ばし
連れ立って
今でも
たゆみないスピードで
記憶をかけぬけ
繰り返し
僕を
振り返るとしても
もう
恋に陥ることはない
あの水平線と
手を繋ぎたくて
アクセルを踏み
更にスピードを上げ
どこまでもどこまでも
どこまでへでも
たどっても
やっと僅かな日差しに
なりきって
滞りなく
澄み渡るしか
ないように
もう
恋に陥ることはない
もっと静かに
誰よりも
かけがえもなく
鮮やかに
密やかに
見惚れる
程に
もう
恋に陥ることはない
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外で
鳥の
さえずりが
聞こえて
愚痴ばかり
言いたくなります
笑いたくなる
ふりを
して
みたくなります
そうして
みずが
ほしくなる
くらいに
歩きたく
なるように
もう
何にも
みたくは
ならない
ように
何にも
みず
何にも
いらず
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小3の頃
兄貴の
自転車の後ろに乗り
片手に竿
もう片手に餌
えっちらおっちら
埋立地のもう向こうへ
釣りをしに
出かけた
途中で10円ハゲが
「泥棒と巡査」をやろうと
誘ってきたけど
兄貴は無視して
ギコギコ自転車こいで
防波堤に着いた
袋から臭い餌を出し
針に刺して
テトラポットに降り
仕掛けを投げて
座って
浮き見て
ぼんやり
もう
夕暮れ
パトカーのサイレンが
聞こえたのは
あとから思いだした
10円ハゲは
あの後
一年生も誘って
「泥棒と巡査」を遊んで
巡査が捕まえた泥棒を
裁判して
防波堤の端で
海へ
突き落として
しまっていた
突き落とされたのは
近所のアパートの一階の
顔見知りの子だった
葬儀に半狂乱の母親の声に
外に立ちすくんで
ドキドキしていた
10円ハゲは
同級生だったが
1、2年して道端で
プラモの組立てをしていると
現れ
話しかけてきた
「それ幾らした?」
「200円」
それっきり
二度とは会わなかった
家もどこにあったのか
事件の後どうしていたのか
兄弟はいたのか
一緒に遊ぼうと誘われるような
そんな間だったはずなのに
何も覚えていない
忘れてしまいたかったのかも
しれない
でも
クラスの記念撮影に
その姿は
確かに今も残っている
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カッコウの鳥の鳴くさえずりは
フルートの音色に
似てはいないか
きっと
楽器作りの職人も
その奏者たちも
どこかで
より良い音色の
雛形をと
それとは知らずに
そうしてきたのかも
しれない
だとすれば
船の汽笛が
遥か深海を旅する
鯨達の鳴き声に
似ているような
そんな感慨すら
疑う事を
忘れたくなる
そんな
大海原を
眼下に見下ろす
数百キロの高度
国際宇宙ステーションにも
きっとファンはあって
それは峡谷をすり抜ける
風の音ように
心地良いのかもしれない
物事を
分かりきって
いるつもりが
今までも
そして
これからも
しらずしらずの
うちに
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入道雲を
みている
仕事帰りの玄関先で
ただ空を
すぐにはわからない
呼吸のテンポ
肺が血液中に
酸素をばら撒くように
ゆっくりと
体中が満たされていく
淀むまいと、あらがうような
そんな空を
だんだんと
いなすように
ためらわず
たくましく
むくむく
むくむく
むくむく
と
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マイカーで
朝の出勤
フロントガラス越しに
ボンネットから
白い煙が出ているのが分かる
オーバーヒートだ
色々と頭に浮かぶ
これで会社に遅刻したら
有給消化とかでなんとかなるのか
動けなくなった車は
確か、車両保険とかで移動できたか
ラジオパーソナリティが
いつもより、どうでもいい話しで
リスナーをまくしたてている
気がして
自分があからさまに
イライラしている事に
情けなくなる
機械の事なんて
何にも分からないのに
ボンネットを開ける
アホか俺はみたいに
頭を叩く
通りすがる運転手達の視線が
恥ずかしさに
ガソリンを注ぐ
ケセランパサランに
なりたい
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死んでいるはずの
亡骸を
片足で踏み抑えて
餌食にする
矮小な心と体
抜け殻のような
自信の無さ
突飛に感じても
鈍り続ける
左手から
落とした
スマホ
足もとに
あったはずの
何かが
もう身体の一部に
なっていても
駐車場の
自家用車のタイヤに
新緑色の小さなバッタが
日射しに鮮やかに
へばり付いていて
憂鬱なの朝が
わずかでも
そうでも
なくなる
電線にとどまり
それらを
見下ろしていた
雀の瞳に映った
景色
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「映画は総合芸術だよ」
お前がそう話してくれてから
いったい幾つの映画を観てきたのだろう
青春、恋愛、戦争
好きな映画には名曲が寄り添う
「California Dreamin’」
真白な高波が
サーフボードも性も友情も
なにもかもかきまぜて
打ち寄せた
高校でお前と出会って
喜劇、ミュージカル、SF、ファンタジー
ラブコメ、サスペンス、ホラー
ディアハンターのテーマ「cavatina」
母子家庭で4人兄弟の長男
グーニーズのテーマ「The Goonies "R" Good Enough」
新聞配達
トップガンのテーマ「danger zone」
原付バイクが中型免許をとって250、400になり
プリティウーマンのテーマ「OH PRETTY WOMAN」
広告代理店に入社した
アニメも好きだった
「うる星やつら」の劇場版
「ビューティフル·ドリーマー」は
とても良かった
淀川長治は
映画をみる子供でしかない
生き方をした
いつか
呑んでお前が、お前の息子の前で
ひどく俺の事をからかった翌日
夜、俺は呑んでいて頭にきて
お前に電話して
お前を酷く罵った
それっきりだ
またいつかみたいに
映画の話しをしながら
58号線の海岸沿いを
二人でドライブしたい
免許をとりたてで
朝焼けに
窓全開で
炎のランナーのテーマを
大音量でかけていた
あの頃のように
名画に名曲が
無くてはならないように