ホーム > 詩人の部屋 > 遥 カズナの部屋 > 新着順表示

遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[284] 無理やりポジティブ
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

すっからかんとした
底抜けな
感じで
いいじゃないか

大空のどてっぱらに
胸のすくような
クシャミを
ぶっ放して

ほくそ笑めれば

もう少しましな
考えも浮かぶ

小便臭い苦虫は
紙飛行機にでも折りたたんで
通りがかったの子供達にでも
飛ばさせたらいい

にっちもさっちもどうにも
ピットブル



2020/07/19 (Sun)

[282] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

月の出る夜が好きだよ
いや
どんな月でも
好きな
わけではない

うっすらと
ぼやけた月
大気が湿り気をおびて
そうなるのか

僕が赤ちゃんの頃の
母親には
紙オムツなんて無かった
白い綿の布を
汚れる度に
一生懸命に洗濯して
物干し竿に干して
太陽に殺菌してもらった
清潔なオシメが
あてがわられていた

母の性格からして
汚れたまま
放置された事は
ほとんど
無かっただろう

なんだろう

清潔な綿の匂い

月を
うっすらとぼやかす
赤子と綿のオムツ
何もかもが
ぼんやりと
しているのに

気持ちが良い

2020/07/07 (Tue)

[281] 快晴
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

ほんの
ささいな
出来事

外へ
出て
できるだけ
遠い景色の
見渡せる
場所へ

そうして
見渡して
眺めながら
深く
深呼吸すると
わかる

たいした事じゃあない

真上を飛行機雲が
ゆっくりとゆっくりと
伸びていく

室内とは
明らかに違う
大気のいわれが
鼻から肺
髪から服の裾
スマートフォンを
顔へかざした
腕と顔の間を
まったからしめる

いつも
感じている

どうして
こんなにも辛く
また
幸せなのかと

2020/06/29 (Mon)

[280] 彼女
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

机の上から
消しゴムが転がりおちて
弾んだ消しゴムは
君の足もとに

色鉛筆を
ザクザク、ザクザク、ザクザク

黄色と青と桃色も
鉛筆研ぎで
削りカスがゴミ箱へ
落ちていく

歩みよって来た事務員が

「銀行の方から、お電話です」

「はい」

なにげに汗ばんだ手の甲で
鼻の下を拭っていた

しっとりとした鼻先を
窓の外へ向けながら
眩しい梅雨の終わりの景色を
避けるようにうつむくように
電話を取った

ゴミ箱から
色鉛筆の削りカスの匂いがして
何も分からなくなりたい
衝動に耐えながら

君の足もとにある
消しゴムを
どうすることも
なく

2020/06/14 (Sun)

[279] ほしぞら
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

堕ちていく星の瞬

長年の技術職
中途半端以上にできるから
加齢で間抜けな素行があつても
手荒には扱えないらしい

少し向こう
誰かと誰かの会話が
自分の陰口ではなくても

さんざめく
紆余曲折

いい映画には
いい音楽がある

吐いた嘔吐物
泣いて
感謝

「洗濯物が沢山あるの
わかる」

「じゃあ、一緒に干すよ」

「毎日あるのよ」

「じゃあ、出来るだけ
毎日一緒に干そう」

室内干し
除湿機

でんぐり返り
訝しんでも
まだ死にたい根拠が
ない

でも
さんざめきたい 




2020/06/07 (Sun)

[278] 陰口
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

ワインには
ポリフェノールが含まれてるから
体には
まだましな酒なのだろうが
どうにも
それほど
好きになれない

葡萄の香りも
その姿も
味わいも
堪らない程に
好きなのだけど

レーズンは最低だ

どうでもいい話し
どうにも
好きななれない

会社に
社長の娘婿がいるのだが
俺は
人間を愛してはいるけれど

あいつも最低だ

2020/05/30 (Sat)

[277] 描く
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

我が家の冷蔵庫は
もう15年も働いてくれて
有り難い

玄関の扉に錆で穴が空いた
嫁が少ない家計から
材料の費用をやりくりして
パテ埋めしてみた
これでいい

クリスマスツリーのてっぺんに
星の飾り

上の息子は
勉強は出来る方だが
素直過ぎて
社会へ出た後が
不安だ

手紙はとてもいいと思う
自分の事ばかり
書いてしまう理由が
恥知らずのように
残るから

それらは
とても自然と調和していて
文字の筆致のなす
加減と決意が
まっさらな紙に
織りなされた織物のように
鮮やかじゃないか

明け方の
静かな台所から
冷蔵庫のコンプレッサーの
動き出した音がだけが
外の鳥のさえずりと
寄り添うように
聴こえた



2020/05/24 (Sun)

[276] さようなら
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

歩きたい

許しもなく
許されたいと自然に願う

歯ぎしりは
ストレスのせいらしい

歩きたい

ただこうして
会いに
行きたい


2020/05/15 (Fri)

[275] シネマ
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

いつか
片思いだった女性が
フォレスト・ガンプは
リアリティーが無いと
軽蔑した

もう我慢しなくて良い頃合いだ

映画にリアリティー
 もう映画
なんか
 見ないで貰いたい程
がっかり
 させられた

人が
誰かに
何かの手段で
思いを伝える行為に
あらゆる手段はあるが
それらは
完全な虚構に
ほかならない

表現に伝わる力が
見い出せないなら
生きる意味は
楽に見殺しか

バス停で
お別れした

それでも
音楽だけは
味方してくれて
僕がどんなにか愚図で
能無しでも
たぶん神様ならそうするように
優しくしてくれた

夜明け前から
日が暮れるまで
倒れる寸前くらい迄釣りをして

眠りたい分を通り過ぎ
眠りたく無い部分をさらに超えて
眠った

はだしのゲン
アームストロングが
月の大地を踏みしめ
エルビスが鍵を開け
ビートルズが扉を開いて
アンディーウォーホルがキャンベルスープの缶を切り
山下清は花火大会の最後の切り絵の一枚を貼り終えた

時期だとか人の要領
時代の雨脚を振り返る
確かさを
考える事を考えると
嘔吐した
エクトプラズムが
彼女の形になり
息子達が産まれた理由になった

もう今は何も
こうして
恥ずかしくて
いい

2020/05/09 (Sat)

[274] 惚ける
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

恋いが
あり焦がれている

きっともっと
恥ずかしい
弱さと

たむけたい
クズとアクタ、ゴミ
突然と
景色を淀ませる
雨とその音
いらない予報
足もとの
水溜り

ありがとう
そこに
戦がせて
下さい。

2020/05/04 (Mon)
364件中 (131-140) [ << 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 >> ... 37
- 詩人の部屋 -