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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[263] 辛子明太子
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頭を下げられない

心底弱いのだろう

ビールのあてに辛子明太子を覚えた
臭いけど美味いよ
この口ん中でバラける
細やかな一粒一粒が命になりたかったであろう
それぞれを噛み締める

美味い

人なんかに味わられる為に
鱈も身ごもる仕度をしてはいまいに
なのに美味い

子を思うなら
俺も自己犠牲的にならないと

美味い

2020/02/11 (Tue)

[262] 川遊び
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さざめく流れに
りょうの手で岩を頭の上に掲げ
ぶん投げる

天気はいいけど
少し寒い

また
りょうの手で岩を抱え上げ
叩きつけるように投げ落とす

彼女は
「人が退屈だとか、つまらないだとか
そう言えるありきたりな日常が欲しい」
と言って居なくなった

水しぶきで服が濡れる
余計に寒くなりそうでも
日差しが慰めてくれていた

帰ったら
破れた障子を
貼り替えたい

昼寝してから

2020/01/25 (Sat)

[261] 散策
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炎のように燃える色した気球が
水平線に舞い降りる

さっきまで
眩しすぎて
やっと、まるいことしか
わからなかった太陽が
もう容赦するかのように
水平線に遮る雲もないまま
だんだんとおとなしく
吸い込まれていく

岬には
夕日を見に向かったのだけど
見上げた白い灯台を囲うような
手摺りの間仕切りの向こう側へ乗り越えていくと
釣り場がある
荒磯の先端にたたずむ一人の釣り人が見えたが
途中足場の悪い岩肌から断崖の下を激しく打つ白波に
足がすくんでしまっていた
十数年程前なら
勇んで車へ竿を取りに帰り向かったであろう、この足が

太陽は沈み
皆帰って行く
夜釣りに備えた竿先のケミホタル※が
灯台を囲う手摺りの内側から
磯の先の空に灯って見えた

※(ケミホタル
魚のアタリを見極めるため、竿の先端部に取り付けたりする小さな化学発光体)

2020/01/13 (Mon)

[260] 贖罪
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蒼いイルカの背びれが
月に淡く照らされた
風の無い凪の海原を裂くように
ゆうゆうとゆっくり
姿をあらわす
朦朧体の完璧な陶磁器
柔らかいようで消え入りそうな
括弧としたなりゆき
紫陽花色の艶めかしさを
つやつやと照らし
輪郭を目で探そうとすると
水面を堺に滑り消え
ペン先さえ表現的に追いすがれない

枯葉色したカタツムリが殻を傾け
大木の切り株の縁を
無駄でない事の裏と表側を探し
渦巻く時計の自動巻きで
めくるめく今を這う
鍾乳石の出来上がる
幾万年幾億年のしずけしさ
誰の愛おしさにも繋がれず
ノートに鼻を押し押し当てた
その匂いだけでは
真っ白い紙面を凝視するしかない

私には
これは死なのか生なのか
全く違う革新なのか
潮の香り、土の匂い
相反する互いが読み手と私すら困惑させながら
私はどうでもよくない
大切な存在としか分からない

どうしてこんな私が


2020/01/02 (Thu)

[259] 
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朝焼けより夕闇がいい
始まりより終わり
生まれ方より死に方
終わり方の方に惹かれるのに
その時には僕はもういない

生きる程
苦しい
それでも
増していく喜びもあるだろう
全部あたりまえみたいに
ならないように
感謝しなければならない
感謝感謝感謝感謝
感謝しなければならない
見回してもそんな事柄に包まれ
それを忘れる浅はかさにつきまとわれ
たえず耐える強さを探すしかない
産まれた時から死に向かって
生きるしかないのに
それが目的ではなく
誰も選択も許されず
死より最悪の絶望はないとしても
それでも産まれて生きるこの一瞬すら
奇跡に近い一瞬
どんなにか絶望的でも
人生は誰かに肩代わりさせては貰えない

まあいい
今晩は誰かと
おでんが食べたい










reiwa2019

2019/12/30 (Mon)

[258] 絵画
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ありがとうございます
いつも
本当に感謝していて
伝えたい言葉に何の価値があるのか
わからないくらいに

詩ね
お前の血の匂いがぶち巻かれ
犬なんて鎖で繋がれて
かわいそう

パトラッシュ
僕は眠いんだ
ルーベンスみたいな
キリスト教徒みたいには
慣れそうにもない

乾いた絵の具
ひつ濃くて
無慈悲な私

2019/12/29 (Sun)

[257] 無題
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暑かった頃 
優雅な星星の瞬きに
覚まされながら
股間の疼きに
どうにもさいなまれ
ラッカー塗装の香りとプラモデル

走り書きさ
そんなあざとらしさ

痛みの位置がどこであろうと
言い訳の許されない
恥ずかしさ
 
まわるい地球
まわるい私
この
せちがらさ

どこか
謝ってすむ事なら
どんなにか
幸せだろう

記憶の宇宙を駆け巡る

わざとらしい

2019/11/25 (Mon)

[256] 残酷物語
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爆竹で
遊べたころ
俺はしこたま
蟻塚に爆竹を押し込み
吹っ飛ばした

夕飯の匂いが、どこの家からもして
蟻になんの恨みもないのに
やり抜た満足感が夕飯と火薬やら
蟻達の死骸とばらけ
足元にさらけだされていた

もう暗くなりかけの
夕闇を背に 
我が家の扉を開くと
もう今は無き母が台所で何かしらしていて

記憶と言うものは
なんとせつないものかと
つくづく思う


2019/11/04 (Mon)

[255] 言いたい事は語れていない
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ウォルト・ディズニーの
ミッキーマウスの夢のような
地球からは見えない月の裏側で
ミニーマウスと優しいキスがしたい

カンボジアでは
裕福そうな外国人に
家族を養うため
自分を買うように懇願され
少女が足元に泣き崩れた

ルーベンスの絵画の前で
フランダースの犬のみたいに
小さな天使達に囲まれながら
パトラッシュを暖かく抱きしめたい

小さな残酷の欠片
可愛らしい捨て猫に
指先を舐められたら
ザラザラした舌先の感触がありのまま
痛みが残った

2019/10/22 (Tue)

[254] プライド
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誰かが
「あなたの為」だと語りかけた

クサムシがちょこちょこと
腕立て伏せをする手のひらの横を通り過ぎる

「何の為にこんな無駄な事をするのか」

柳の枝がやんわりと垂れかかるそばを走り抜ける

モンハンはやり込んでるから
そこそこ強いはずがオンラインでたいがい誰かに迷惑をかける

「何の為にこんな無駄な事をするのか」

俺がやりたいからに他ならない

嫁がパート先でパワハラを受けて退職を考えいると話してくれた

誰の為の「あなたの為」なのか



2019/10/20 (Sun)
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