詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
爆竹で
遊べたころ
俺はしこたま
蟻塚に爆竹を押し込み
吹っ飛ばした
夕飯の匂いが、どこの家からもして
蟻になんの恨みもないのに
やり抜た満足感が夕飯と火薬やら
蟻達の死骸とばらけ
足元にさらけだされていた
もう暗くなりかけの
夕闇を背に
我が家の扉を開くと
もう今は無き母が台所で何かしらしていて
記憶と言うものは
なんとせつないものかと
つくづく思う
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
ウォルト・ディズニーの
ミッキーマウスの夢のような
地球からは見えない月の裏側で
ミニーマウスと優しいキスがしたい
カンボジアでは
裕福そうな外国人に
家族を養うため
自分を買うように懇願され
少女が足元に泣き崩れた
ルーベンスの絵画の前で
フランダースの犬のみたいに
小さな天使達に囲まれながら
パトラッシュを暖かく抱きしめたい
小さな残酷の欠片
可愛らしい捨て猫に
指先を舐められたら
ザラザラした舌先の感触がありのまま
痛みが残った
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
誰かが
「あなたの為」だと語りかけた
クサムシがちょこちょこと
腕立て伏せをする手のひらの横を通り過ぎる
「何の為にこんな無駄な事をするのか」
柳の枝がやんわりと垂れかかるそばを走り抜ける
モンハンはやり込んでるから
そこそこ強いはずがオンラインでたいがい誰かに迷惑をかける
「何の為にこんな無駄な事をするのか」
俺がやりたいからに他ならない
嫁がパート先でパワハラを受けて退職を考えいると話してくれた
誰の為の「あなたの為」なのか
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
この性格が手伝って
思うより随分独りよがりな年齢に
成り果てて、いや、つまらないね
ゴメンね
昨日も傷つけて今日も
こんな俺は
毎朝新聞配達
「手続きが必要ですね」
係員がやってくる
「お頭がお悪いお方々にはお薬をお与えさしあげております」
漫画読めよ
「北極の拳」とか
「ドラエモボール」とか
「ツーピース」とか
最高だよ
55の兄貴は昨年親父に先立たれて
ニート卒業後
電気代が払えなくても働きたくないから
電気切られた。
句読点さ、ぜんぜん丸じゃないから
なんにもない
美しい月夜の海原に
イルカが飛び跳ねる
まだうす暗い朝日の届かない路地で
新聞配達をする
明後日も
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
水平線から
朝日と夕日を
あたりまえに見える
小さな島に住んでいる
人の
どんなシャンデリアやステンドグラスの名工でも
あの荘厳で慎ましやかな
始まりと終わりの光のスペクトルの調合を
世界中にばら撒く事など出来はしない
どこまでも広がる
青い空と
青い海と
その境目にある
小さな島
自分が汚れてしまっているから
美しいものがより美しく
見えてしまうのか
そんなわけない
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
まとまるか
問いかけてはならない
なら
詩ね
という意味か
我が家は
四階建てのマンションの四階
そして
嫁はもう少し働ける時間を増やすと話した
これは
新しい物語
フランダースの犬みたいに
俺はなるのか
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
便秘気味
トイレットペーパーが
痛い
まだ終われない
このままではいたたまれない
なにもかもいやだ
花壇のカタツムリを一つ残らず
殺してしまう
いや、犯罪者なんかには
なりたい話しではないから
安心して欲しい
夢がある
仕事を
極めたいのだ