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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[246] 叙階
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

社長の娘婿が私の部署で幅を利かせはじめ
何かと折り合いがつかなかった日々
それどころか
社長が入社させた旧友の高齢者の面倒見すらあり
そんな数年
少しづつまいてきた種がようやく芽吹き
部署移動
繋がれた煉獄の日々

もう2ヶ月したら口笛だ
いや
モンハンもいい

2019/05/12 (Sun)

[245] 亡骸
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蝶々の羽が
車道に落ちて
風にたなびいている

昨晩は夜中に大雨
雷鳴すら轟いていたと言うのに
悲しみが終わったような
無垢な青空に残骸のような
そんな雲がゆうゆうと
誰の期待にも頷いている

これは
生と死の狭間なのか
そう書いたら残酷なのだろうか

朝日に映える蝶の羽
鱗粉が清々しさへふりまかれ
やすやすと悲しみを
置いてきぼりにしていく

この身体の隅々まで
恐縮する

2019/04/28 (Sun)

[244] つり
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なにをされているんですか

みてわかりませんか
釣りです

何がつれますか

まだ何も釣れていませんから
わかりません 

何も釣れていなくて
どうして釣りをされているんですか

質問が多い方ですね 
何か釣れるかもと考えて 
釣りをしているのです

もう一つだけ質問させてください
楽しいですか

釣れなければ
楽しくはありません
でも
やめる理由もないのです

この本屋は立ち読み禁止
ウェイパーをふりかけて
文脈をそれて
ふりかえる


2019/04/13 (Sat)

[243] ふりだし
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さいのめはふたつ
どうぶつえん
ぶたないよ
さいころをふろう
そんなふたり

さいのめはいくつ
いかさまは
ふらないでね
さいころされて
たとえそんでも

さいのめはみてた
あがらない
あまぞら
すごろく
そんなふたり



2019/04/09 (Tue)

[241] シャボン玉
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君はあの虹を見たか

大切なことは
あまりにもないがしろにされて
わかりにくくなってしまった

赤ちゃんを抱えて
優しく歩こう

君は嬉しいだろうか
問いかけてはならないと
僕は苦しんできた

一つだけではない
美しい虹色のそれぞれが
いくつも
いくつもひろがっていて

一つだけの
ちいさな虹色が
君の頬に触れて
そっと弾ける

2019/03/10 (Sun)

[240] ジムニー
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ジムニーが欲しい

ランクルとかエクストレイル
デリカなんか到底手がでない

男の子みたいな性分が
まだ、胸の奥底で這い上がろうと
高低差を感じているうちに

どこかに行きたい

なにかやりたいのに
なにもやりたく
ならなくなりたくない






2019/03/03 (Sun)

[239] ニュース
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幸せ
書いた事が
直ぐに誰かに読んで貰える幸せ
新しい誰しも
幸せになれる幸せ

だれもいらない幸せ
だれにも分からない幸せ

そして
もうこれ以上は
わかりきった
言葉の繰り返しが
もう幸せとして書いては
嫌悪される幸せ

そうして
また
よみかえされる幸せ

もう苦痛の幸せが
幸せな
幸せと幸せに幸せ
幸せが幸せ
幸せ

まだ年端もいかない柔な骨格の隅に
打たれた痛みを感じ
もうはち切れてしまった心の切れ端の一つ一つを拾い集め、覆いかぶさるように全身で包んでいた
けれど風が可哀想に吹きすさむ
また何もかもが飛び散り
痛みも忘れるしかない
全てを拾いあつめるしかない
忘れるしか救われない
救われない




2019/04/21 (Sun)

[238] アウトロー
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オレンジのマウンテンパーカーを好んで着ている
アウトドアの雰囲気もあるし
なにか消防やレスキューみたいなイメージもある
猟銃を構えた
ロバートデニーロが演じた
映画ディアハンターではオレンジのマウンテンパーカーを着込んでいた
釣りの浮きにもオレンジはよく使われる
水面で自然に目立つ色合いなのだろう

会社の社長の娘婿が入社して
自分の部所に配属されてから
何かと折合いがつかない
会社ではだいぶ無口になった
太鼓持ちな連中と反対方角に歩むから
本当の弱さも手伝ってか
随分とみじめになりそうになる
ものごころと呼ばれる何かが始まった頃から
何故自分が人と違う方角を好むのかが
いまだによくわからない

朝の出勤
オレンジのマウンテンパーカーに袖を通す
今どき少し目立つ色合いなのだろうけど
たまらなく好きだ

2019/01/26 (Sat)

[237] 彼方へ
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心が無い

自分以外の痛みを
格好以上に
苦しく感じた事が無い

息子は私を嫌いでは無いが好きでも無いと話してくれた

潮が引いていく 
時間は限られている
引いていく潮を追うように
潮干狩りが始まる

私は、沢山の獲物を獲たいから
我先に沖へ乗り出して行く
でも
息子達や嫁を置いてきぼりに
できるはずも無い

もう少し早歩きなら
もっと獲れる

2018/12/30 (Sun)

[236] たぶん
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いつか詩は
AIが
誰の心をもうつ
文章で紡ぐようになるだろう
そう
全てが極限の分析の対象になり
あらゆる文化の人が各々の世紀を経て書きしるしてきた
その文字の一欠片、行間、句点が
どのような言語、意図と才能で推敲され導かれ
辿ったのか
AIは
幾千、幾億、幾京回も解析をおしすすめ
はてしのない人のわがままを
まんぜんとかかえ込み
観察し洞察し結論をまとめ上げ
そのある頃、永遠の傑作を文字にしはじめ
本当に詩は
まるで選りすぐりのサラブレッドの毛並みと、なによりその繊細を海の熱帯魚を
陸のカメレオンが凝視し、最高に擬態し尽くした
何も足すこともひくこともいらない
人の「筆舌に絶する」と言う言葉の本当の意味
を体現し
その極まりない価値すら飛び越え
今更、つまらなく映るしかない人を完全に置いてきぼりにして
究極の結論へと駆け走り登り、炸裂にいたり
さらに研ぎ澄まされていくだろう

私はこの世代の内に
人の書く意味の残骸の薪を拾い
荒涼たる裾のを
独歩してきたそれぞれが
終わりの行列に合流し
寄る辺のない
燃やす価値すらもない薪の苦悩を抱え
残酷な結末に至る刹那を
ついに心から感動する詩に休まるだろう




2018/12/27 (Thu)
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