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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[222] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

鋭利な先端部分が高速で回転する
ハンドピースと呼ばれる道具を使い
毎日、毎日12時間以上を仕事に費やしいる
時々、時々不注意で指をケガしたりする
絆創膏を何枚も使って指先を
ぐるぐる巻きにして作業再開

酸素とLPガスのボンベをつかって
合金を1000度以上の高熱で溶かし
金属と金属を溶接したりする作業もある
ガストーチの先端から吹き出る炎は
高熱になるにしたがつて
順に、赤から青く白く紫ぽっくなっていく
絆創膏の下の傷口の疼きも忘れるくらいに
集中した作業が繰り返し、繰り返し
繰り返えされる

携帯が鳴る

「来週、そっちへ帰るから時間があったら二人て飲みに行かないか?」
「それもいいけど、それよりも釣りに行かないか?久しぶりに二人で」
「ああ、いいな、そのほうがいい」
「じゃあ、来週な」
「来週な」

来週迄には指先の傷も癒えるといい





2017/07/11 (Tue)

[221] 三原色
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あんなにも笑っていられた

道端に捨てらたタバコの吸い殻

バースデーケーキを食べ残したテーブル

誰も居なくなった体育館

オートリバース
ハイファイ
pc8001

点と点から線が生まれ
線と線が文字を浮かびあがらせ
数えきれない文字達が
数えきれない文字にしゃにむに追いすがって
夕暮れだ
ブラウン管テレビの砂嵐が
粉々に吹き荒れ
スイッチをoff

なにもかも今はもう昔の漫画みたいだ

2019/01/02 (Wed)

[220] ガジュマル
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湿地対の薄暗い
ようやく木漏れ日の射す
小川のほとりに
木がある
苔にまみれ
そこいらじゅうの腐った葉っぱやら
ミミズ達か蛆虫に近いかそれ以下の生命の助けをかりながら
生きながらえている
これに、もしも精神が宿っているのならば
人ごときでは
計り知れないおぞましい心もちやもしれぬのに
なのに人には
木は健やかに見える

2017/02/04 (Sat)

[219] 紺碧
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詩は
海原を背にし
空を見上げながら横たわる
二次元上の生と死の境目の煌めき
境目の、どちら側にいようが
こちら側と向こう側とで
お互いを魅力してやまない

波しぶきの立つ
ほんの一瞬の一滴の雫石の中
まばたく
生身の肉に包まれ
こちら側と向こう側とを行き交う

「お父さんはお前が好きだよ」
「そんな事、急にいわれても」
「いつも思っているから言うだよ」

イルカのような瞳で

2017/03/26 (Sun)

[218] 腕時計
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胸が揺らめいてしまう
胸が揺らめいてしまう
その輝きたるや他にあろうか
老いさらばえそうな
この胸さえもすく輝きの時
胸が揺らめいてしまう

2016/08/14 (Sun)

[217] ある岬
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南の島では、ずっと
幸せを花にたとえて
めでてきた

たしかな事だけが
波打ち際に残され
砂の一粒一粒の年月を
裸足で踏みしだいていくうち
若返ってゆく

岸部に咲いたハイビスカスを
摘み取って、たむけ合おう

沖縄の初夏の始まりは
命を咲かせたい夏




2016/06/07 (Tue)

[216] 景色
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「お前は、人の忠告を聞けない」

皆によく言われてきた
だから
そうなのだなと、何度思い返してみても
どうにも恥ずかし気持ちが
わき上がらない

要するに嘘っぱちが好きなのか

そう言えば、小学生の頃
「俺んちの屋根から明け方にUFOが見えるんだ」
そんな話しをしてくれる友達の家に
毎朝、朝早く通って
一緒に薄暗い朝焼けの空を眺めていたっけ

東の空がぼんやりと明るくなっていく

もう、すっかりぬるくなったビールを口にふくむ

風よ吹いておくれ
後からではいやだ
今すぐ清々しく、たおやかに

そう
もうすくさ、もうすぐ
見たこともない
なにかが、見えるはずさ

2017/02/04 (Sat)

[215] 
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蝸牛たちには
待ち遠しい曇り空の頃

のろまな願いが

薄い殻の中

水が
耳の中、いっぱいに流れ込むと
鼓膜の外側と内側の
音の際目を探し
心臓の鼓動と
今はまだ遠い
水滴の弾ける音と
ずれあいながら
調和していく

真っ白い山羊が
草原で草を食んでいる

明日はきっと、雨

2016/05/15 (Sun)

[214] 
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気圧が高いほうから
低いほうへ
気がつかないままに吹き

言葉なんて心
空っぽして
休まずに
やすまれ

そして、泣け

2016/05/09 (Mon)

[213] 黄色い気持ち
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そこに菜の花の一輪を置いて来た
そうして歩いて、歩いて、歩いて
振りかえってみると
何もかもが
その一輪を
そっと置いた日から躍動し始めていた
海の白波よりもはっきりと
出逢いと別れの
一つ一つが
みなこちらに向かって手を振っている

そうした景色に
ブランコを引っ掛け
いつまでも
貧乏揺すりをするようにブラブラと眺めいると
もっと勢いよくブランコを漕いで
飛び降りて
どこまで飛べるのか
確かめたくなっていた

きっと
あの日を置いた菜の花の境目を越えられる
そんな気がして


2016/04/24 (Sun)
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