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遥 カズナの部屋


[106] エリーゼの…
詩人:遥 カズナ [投票][編集]



老夫婦は
ゴミ収集車に
幼い少女を乗せていた

あのメロディーが

早朝の街角で停車すると
深々と 白い息が
軍手にしっかり
ゴミ袋を掴み上げ
その汗が 誰かの汚した
いらないものを
きれいに
洗い流してゆく

そのあいだ

フロントガラスごしの少女は ガラスケースの大切な人形のようにシートに腰掛け
おとなしく 二人を
眺めていた

「少女の父さんや 母さんは今頃 彼女の為に
何をしているのだろう…」






あのメロディーが流れる

老夫婦は 早朝の街を
清々しくしていく

それは きっと

少女の為なのかもしれない



2007/02/06 (Tue)

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