詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
明日へと
硬く紡ぎあげる日々
白衣を縫うミシンの目よりも
なお慎ましく整った
朝露に濡れた蜘蛛の糸
洗い晒しの空を背に
油断なく、侮らず、臆さない
東風に易々と揺らされようと
下世話なクワガタ虫の羽に蹴散らされようとも
泣き言なんぞ、素知らぬふうにして紡ぎ直した
華奢な肢体が、なおさら更に魅入らせる
一人娘を育てる以外に
ふるう理由を断ち切った、かたわのかいなに
心当たりのあるやましさが絡め取られてゆく
既に発してしまった言葉に自由を奪い去られていくように
ためらいとわがままを玩味しながら、尺取虫は春を這う
たまらなくて
しかたのない衝動が
どこかで泣き叫んでいる
閃光と雷鳴の時間差が、遠のく距離を伝えてくれる頃
貴方を映えさす程に、晴れ間は満ちたりてゆき
その堅実さを僕は、振り仰いでいる
、