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遥 カズナの部屋


[134] 陳腐なさようならに、おはよう
詩人:遥 カズナ [投票][得票][編集]



感傷が
小さな手に似た旗を振る

からっ風に連れられた、たどたどしい温もりが
振り払う腕に巻き込まれて纏わりつくと
目玉の裏側からタンポポが生えてくる

飼えもしない捨て犬を優しく撫で回して
置き去りにしてきた

よじ登った朝の
公園のジャングルジムの頂から臨む
地上から目にする事の出来る最も遠い眺め

主を無くした飛行機雲

四方を景色に囲われ、揺れる様に
手を差し伸べて、寄り添っているつもりになっては
置き去りにしてきた

自らの形を、無限に理解出来ない鏡写し

どこかの家からする
魚を焼く匂いを嗅ぐと
時間は光合成をさせに呼吸を外へ、奪い返す

掴んでいる筈の、ひんやりとした鉄の感触は
口先の友情のように疎ましく
街並みの影絵の向こう
眠気眼の日差しが訝しんでいる

もう
誰にとってもどうでも良い
青い舌触りの、十円玉を吐き出すと
ジャングルジムから、飛び降りていた

タンポポの綿帽子を散らしながら












2009/12/08 (Tue)

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