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遥 カズナの部屋


[189] つがい
詩人:遥 カズナ [投票][得票][編集]

女は雪の結晶のよう
男は抜け落ちた鳥の羽のよう

もう戻らない過去は
少女が胸に抱いた花束のよう
まだ見ぬ未来は
少年の瞳に映った高い木の黄金虫のよう

僕は扉の鍵を外す
彼女は目を閉じる

台所の湯気の香りは
窓から夕暮れの玄関先へと流れだし
帰る家がある幸せを
通りすがる誰にでもやさしく教えてくれる

「ただいま」
「おかえりなさい」

守ろうとするほど失うのに諦めてしまえば、いつのまにか寄り添っていて

きどってみせても
何かを落とせば格好がつかないし
だらしなくふざけてみせても
結局はみっともなくて
わかり合う意味が
ぼやけてしまう

恋愛詩は書きたくない

君以外だったから
あきらめてこれたのかもしれない

「夕食はなに」
「揚げ出し豆腐とサラダ」
「うん、ありがとう」
「お疲れ様」
「うん」





2014/10/11 (Sat)

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